コラム

2017年11月13日更新

老健の現状と課題①

介護老人保健施設(以下、老健と略)の現状と課題について、これから2回にわたって考えてみようと思います。

医療的ケアが必要である老健での経営主体は医療法人が圧倒的に多い

老健は入所した高齢者に対して理学療法士(PT)や作業療法士(OT)などの専門的なリハビリテーションを施し、また介護福祉士による食事動作、入浴訓練や衣類の着脱など日常生活訓練を施して在宅復帰を目指す施設です。病院を退院しそのまま入所してくる高齢者が多いので、投薬の継続や治療後の経過観察などの医療的ケアが必要なことから、常勤医師と常勤看護師の配置が義務付けられています。
 
厚生労働省の「平成28年介護サービス施設・事業者調査の概況」から老健の現状を見てみると、老健施設は平成28年現在、全国で4,241施設、定員は370,366人で、1施設当たりの定員は87.3人でした。定員階級別施設数では「100~109人」が最も多く、全体の37.9%を占めています。経営主体別に見ると医療法人が75.1%を占めていますが、前述のとおり、入所者に医療的ケアが必要なことから考えてみると、当然の結果と言えるでしょう。

病院と自宅を結ぶ「中間地点」的特性から老健の個室率は、特養よりも低い

老健の定員別室数の割合を見ると個室が45.1%で第1位、次いで4人室(40.7%)、2人室(12.1%)の順になっています。入所者の終の棲家として、生活を支える特養の個室が73.4%なのに対して、老健の個室率は低いですが、在宅復帰をめざし入所者一人ひとりの状態や目標に合わせてケアサービスを行い、病院と自宅とを結ぶ「中間地点」という老健の性格からすると頷けます。老健のユニットケアの状況を見るとユニットケアを実施している施設数は10.5%にとどまります。特養の36.7%という実施率に比べると低いことがわかり、この点も両施設の特性が異なることから来ています。
 
また、入所者を要介護度別に見ると、老健の場合、要介護4が最も多く26.8%を占め、次いで要介護3(24.1%)、要介護5(18.7%)となり要介護4と5の合計で45.5%と半数近くを占めています。ちなみに特養の要介護4と5の合計は68.6%を占め、介護療養型医療施設(療養病床)においては、87.5%を占めるに至っています。

入所経路は、医療機関からが半数を占め、退所先は家庭が3割、必ずしも中間地点の役割を果たせていない現状

老健の入所者はどこから老健に入所し、老健を退所したらどこへ行くのでしょうか。
入所前の場所では医療機関が51.2%、次いで家庭(31.1%)となっています。退所後の行き先としては医療機関が36.6%、家庭が33.1%、死亡が12.0%です。医療機関から老健に入所し、老健から医療機関に入院した入所者は24.6%、家庭から老健に入所し家庭に戻ったのが19.6%、家庭から老健に入所し医療機関に入院したのは6.1%でした。
 
これらの調査結果から明らかになるのは、老健が病院から在宅復帰への中継点と期待され、在宅強化型老健が増えてきているなかでも、総じて現状では必ずしもその期待に応え得ていないという現実が浮かび上がってきます。これは老健の責任というよりも、医療と介護の連携や地域で高齢者の暮らしを支えるという地域包括ケアシステムの整備が不十分なためといえるでしょう。
 
次回は、医療と介護の連携の要として期待が高まる老健について、お話しします。

※老健におけるユニットとは、少数の療養室及び当該療養室に近接して設けられる共同生活室(当該療養室の入居者が交流し、共同で日常生活を営むための場所をいう)により、一体的に構成される場所をいう。
参考資料:「実例でわかる介護老人保健施設」(法研 平成29年8月)

監修:株式会社エス・エム・エス

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