コラム

2018年3月12日更新

2018年度介護報酬改定 その2
特養・老健・有料老人ホームなど施設、医療ニーズへの対応を評価

2月12日のコラムでは、在宅も含め介護保険サービス全般の改定の概要とポイントについて触れました。
今回は特別養護老人ホーム(特養)、老人保健施設(老健)、有料老人ホームなど特定施設(有料)に絞って、報酬改定の中身をもう少し詳しく見ていきましょう。

基本報酬において、特養は重度化対応と地域密着型に厚く、老健は在宅復帰をさらに推進、有料は微増にとどまる

まず基本報酬(以下表参照)は、特養、老健、有料いずれにおいても引き上げられましたが、老健と特養がわずかな引き上げ幅にとどまったのに対して、特養は要介護度の重さに応じた単位数の大幅な引き上げと、地域密着型への配慮を意図した引き上げが同時に行われました。
老健については在宅復帰・在宅療養支援機能をさらに推進する観点から報酬体系の見直しが行われました。今までの「在宅強化型」「従来型」という2類型から「従来型」を「基本型」と「その他」に分け、「在宅強化型」と併せて3類型とし、「従来型」の老健のうち、一定の在宅復帰・在宅療養支援機能を有するものを「その他」に比べて評価する姿勢が見られます。
有料については要支援は1単位、要介護1~5で1~2単位の引き上げにとどまっています。

次に特養・老健・有料の各施設ごとに新設、あるいは見直しされた加算について整理してみましょう。

特養・老健・有料の基本報酬単価

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

介護老人保健施設

特定施設(有料老人ホーム等)

厚生労働省 第158回社会保障審議会介護給付費分科会参考資料(参考資料1 平成30年度介護報酬改定における各サービス毎の改定事項について)を参考に作成
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000192302.pdf

[特養]早朝・夜間深夜対応の「配置医師緊急時対応加算」が新設、施設内での看取りがさらに評価され、他新加算も増設

特養では入所者の医療ニーズへの対応として、配置医師が施設の求めに応じ、早朝・夜間または深夜に施設を訪問し、入所者の診療を行った場合を評価し、新たに「配置医師緊急時対応加算」(早朝・夜間650単位/深夜1,300単位)が設けられました。
また、夜間に看護職員または喀痰吸引等を実施できる介護職員を配置していると、現行の「夜勤職員配置加算」に加えて、さらに加算されるようになりました。

施設内での看取りに関しては、従来からある「看取り介護加算」に加え、「看取り介護加算Ⅱ」を新設。医療体制を整備して、実際に施設内で看取った場合にはより厚く評価することとなりました。要件としては、配置医師と施設の間の情報共有などで具体的な取り組みがなされていること、配置医師と協力医療機関の医師が連携して24時間対応できる体制を確保していること、「看護体制加算Ⅱ」を算定していることが挙げられます。
 また、他にもいくつかの加算が新設されています。
外部のリハビリテーション専門職と連携した場合は、新たに「生活機能向上連携加算」が加わりました。機能訓練指導員の確保を促進するために、機能訓練対象資格に「はり師、きゅう師」が追加されています。
排泄介護を要する入所者に対しては、多職種が協働して支援計画を作成し、計画に基づいて支援した場合、新たに「排泄支援加算」が設けられました。(関連ページ:コラム 排泄の自立支援 排泄のアセスメントとは
褥瘡の発生予防のために、入所者の入所時に褥瘡の評価を行い、少なくとも3月に1回継続的に評価して入所者ごとに褥瘡ケア計画を作成すると、「褥瘡マネジメント加算」として新たに算定されます。
 
施設内の口腔ケアについても、見直しが図られます。歯科衛生士が行う入所者への口腔ケアについては、介護職員に対して具体的な技術指導を行い入所者の口腔に対する相談に応じることが新たに要件として加えられましたが、口腔ケアの実施回数は現行の月4回以上が月2回以上となりました。
 
入所者の栄養マネジメントや栄養管理の取り組みについても要件の緩和や新たな加算が加わりました。
栄養マネジメント加算「常勤の管理栄養士1名以上の配置」に関する要件について、同一敷地内の他の介護施設(1施設に限る)との兼務も認められるようになりました。
低栄養リスクの高い入所者に対して、多職種が協働して計画を作成し、それに基づいて食事の観察を行い、入所者ごとの栄養状態、嗜好等を踏まえた栄養・食事調整などを行うことを要件とした「低栄養リスク改善加算」が新設されました。
また、入所者が入院し、経管栄養や嚥下調整食などで施設入所時とは大きく異なる栄養管理が必要になった場合、施設の管理栄養士が医療機関の管理栄養士と連携して、再入所後の栄養管理を行うと、「再入所時栄養連携加算」も新たに取得できるようになりました。

特養・老健・有料の各施設ごとに新設、見直しされた加算

[老健]医療と連携して入所者の処方薬の種類が減少した場合、新たに「かかりつけ医連携薬剤調整加算」が取得可能に

老健における医療との連携という点では、かかりつけ医との連携強化によって入所者の処方薬量に関する「かかりつけ医連携薬剤調整加算」が新設されています。入所者に6種類以上の内服薬が処方されている場合、処方方針を老健の医師とかかりつけ医が事前に合意し、入所時に処方されていた内服薬の種類が1種類以上減少した場合には、当該入所者の退所時に加算されるというものです。
 医療機関と連携して入所者に医療を提供した場合は、「所定疾患施設療養費」が支給されてきましたが、今回の改定では新たに「所定疾患施設療養費(Ⅱ)」が設けられました。診断日、投薬、検査、注射、処置等の診療録の記載に加え、「診断に至った根拠」を記載することがその要件となっています。
 
「排泄支援加算」「褥瘡マネジメント加算」の新設、「栄養マネジメント加算」取得のための要件緩和、口腔ケアの見直し等は、特養と共通です。
 また、介護療養型老健(医療的ケアが必要な重度の利用者を受け入れる老健)は従来、報酬体系は「療養強化型」「療養型」の2タイプでしたが、介護医療院の創設もあって「療養型」に一本化されました。ただし「療養強化型」で評価されていた喀痰吸引や経管栄養などの一定の医療処置及び重度者の要件については「療養体制維持特別加算(Ⅱ)」として別に評価されます。

[有料]若年性認知症の人の受け入れに「若年性認知症入居者受入加算」を新設

有料老人ホームなど特定施設でも、入居者の医療ニーズへの対応が評価され、「退院・退所時連携加算」と「入居継続支援加算」が新設されました。
 「退院・退所時連携加算」の要件は、「医療提供施設を退院・退所して特定施設に入居する利用者を受け入れること」で、「入居継続支援加算」の要件は①介護福祉士が入居者6人に1人以上、⓶たんの吸引等を必要とする人の割合が利用者の15%以上となっています。
 
若年性認知症の人やその家族への支援を促進する観点から「若年性認知症入居者受入加算」が創設されました。要件は「受け入れた若年性認知症入居者ごとに個別の担当者を定めていること」です。
 
機能訓練指導員の確保を促進するため、対象資格に「はり師、きゅう師」が追加されました。今まで評価されていなかった有料老人ホームでの介護職員に対する口腔ケアの指導、アドバイスにも、「口腔衛生管理体制加算」が新たに設けられました。

監修:株式会社エス・エム・エス

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