コラム

2018年4月9日更新

介護報酬改定
有料老人ホームなど基本報酬の引上げを抑えて医療との連携に加算
自立支援・重度化防止を評価する方向鮮明に

有料老人ホームなど、特定施設入居者生活介護※1について、今回の介護報酬改定における主な改正点をみていきます。
有料老人ホームの基本報酬引き上げは、1~2単位に抑えられました。その一方で、医療との連携やリハビリテーションには加算や新たな評価が加えられました。有料老人ホームなどについても、医療との連携や自立支援・重度化防止に努めれば、介護報酬できちんと評価するという方向性が明らかになっています。

 
医療提供施設から入居する際の連携を新たに評価「退院・退所時連携加算」

基本報酬では、要介護1は1単位増の534単位に、要介護2から要介護5はそれぞれ2単位増しとなり、要介護5では798単位から800単位となりました。要支援1では179単位から180単位、要支援2が308単位から309単位とそれぞれ1単位増しです。このように、基本報酬の引き上げは抑えられましたが、医療との連携や、自立支援・重度化防止のためのリハビリテーションには、新たな加算が加えられています。
医療提供施設を退院・退所して有料老人ホームなどに入居する場合、医療機関との連携等を評価する「退院・退所時連携加算」が新設されています。単位は1日30単位ですが、期間が決まっていて、入居から30日以内に限られます。また、たんの吸引などの医療的ケアの提供を行う有料老人ホームに対しても、「入居継続支援加算」が創設されました。単位は1日36単位で、この加算が受けられる有料老人ホームの要件は、①介護福祉士の数が、入居者数6またはその端数を増すごとに1人以上であること②たんの吸引等を必要とする人の割合が利用者の15%以上であること、の2点です。

自立支援・重度化防止に向けては、外部のリハビリテーション専門職等と連携した場合に取得できる、「生活機能向上連携加算」が新設されました。単位は1月200単位です(個別機能訓練加算を算定している場合は100単位)。
算定要件は、①訪問リハビリテーションか通所リハビリテーションを実施している事業所や病院の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、医師が有料老人ホームを訪問し、そこの職員と共同でアセスメントを行い、個別機能訓練計画を作成すること②機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種が協働して、この計画に基づき計画的に機能訓練を実施すること、の2点です。
 
また、機能訓練指導員の確保を推進するため、従来限られていた機能訓練指導員の対象資格※2に、一定の実務経験を持ったはり師、きゅう師を追加します。一定の実務経験とは具体的には、「資格を有する機能訓練指導員」を配置した事業所で6ヵ月以上勤務し、機能訓練指導に従事した経験のことを指します。

 
若年性認知症患者の有料老人ホームでの受け入れや口腔ケア、栄養改善の実施について、
報酬面での前進が見られる

このほかに、若年性認知症患者の受け入れや口腔ケア、栄養改善の実施についても有料老人ホームでは介護報酬面からの前進が見られました。
まず「若年性認知症入居者受入加算」が創設されました。単位は1日120単位、算定要件は「受け入れた若年性認知症入居者ごとに個別の担当者を定めていること」です。
さらに、歯科医師や歯科衛生士が、介護職員に口腔ケアについてアドバイスや指導を行った場合、それを評価する「口腔ケア管理体制加算」の取得対象が、現行の特養や老健等の施設サービスに加え、有料老人ホームにまで拡大されました。
単位は、1月30単位、算定要件は「歯科医師または歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、介護職員に口腔ケアに係る技術的助言及び指導を月1回以上行っている場合」です。
 
栄養改善の取り組みの推進としては、管理栄養士以外の介護職員等でも実施可能な栄養スクリーニングを行い、介護支援専門員に栄養状態に係る情報を文書で共有した場合、新たに「栄養スクリーニング加算」が設定されました。
単位は、1回ごとに5単位で6ヵ月に1回が限度です。算定要件は「サービス利用者に対し、利用開始時および利用中6ヵ月ごとに栄養状態について確認を行い、当該利用者の栄養状態に係る情報(医師・歯科医師・管理栄養士等への相談助言を含む)を介護支援専門員に文書で共有した場合」です。

  • ※1
    介護保険では有料老人ホームの他に、ケアハウスや軽費老人ホームなどが「特定施設入居者生活介護」の適用を受けます。
  • ※2
    従来の機能訓練指導員の対象資格は理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師またはあん摩マッサージ指圧師です。

監修:株式会社エス・エム・エス

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