コラム

2018年2月28日更新

排泄の自立支援 排泄のアセスメントとは

平成30年度の介護報酬改定にて
「褥瘡の発生予防のための管理や排泄に介護を要する利用者への支援に対する評価」として以下の項目が新設されました。

○特別養護老人ホーム(特養)等の入所者の褥瘡(床ずれ)発生を予防するため、褥瘡の発生と関連の強い項目について、定期的な評価を実施し、その結果に基づき計画的に管理することに対する新たな評価(褥瘡マネジメント加算)
○排泄障害等のため、排泄に介護を要する特別養護老人ホーム等の入所者に対し、多職種が協働して支援計画を作成し、その計画にもとづき支援した場合の新たな評価(排せつ支援加算)

今までみなさまの施設では、既に取り組まれていたことかもしれませんが、これがしっかりと評価されるという点に今回の改定のポイントがあります。ご利用者様の排泄の自立支援に少しでもお役に立てるように、心構えや介助のヒントなどについてお話しします。

排泄障害も老化現象のあらわれ、適切なケアが必要です

高齢になると、身体の衰えが顕著にみられるようになります。排泄障害も例外ではありません。
多くのご高齢者が失禁や頻尿などの悩みを抱えておられます。
とはいっても、「排泄」に関わることは、大変デリケートな問題です。ご利用者様のQOL(生活の質)を損ねるばかりでなく、精神的な負担となりますし、それを支える介護、看護スタッフ様にとっても、日々向き合う必要のある重要かつ切実な問題です。

ご利用者様の不安な気持ちを理解しましょう

もし、あなたがケガや病気になり歩いてトイレに行くことができなくなり、
おむつをつけられたらどんな気持ちになるでしょうか?
「情けない」「死んだ方がまし」「下のお世話は受けたくない」など、誰もがこのような気持ちになってしまう可能性があります。
しかし、入院したり、介護施設に入所したご利用者様のこの当たり前の感覚や気持ちが考慮されていないことも多いのではないでしょうか。
足腰が弱ってしまい、自分の力ではトイレに行くことができなくなったり、認知症のためにトイレの場所がわからなかったり、病気の後遺症により言葉で「尿意」を示すことができない、など様々な理由で、入院、または入所した途端におむつをあてられてしまうことがあります。
また、入所前からご自宅での生活でもご家族の排泄介助が大変だからということで、おむつをあてているケースもあるでしょう。ただ、入所前からおむつを使っていたからと言って、本当におむつが必要かどうかはわかりません。
いま一度、ご利用者様一人ひとりの「排泄」状況を把握し個別に対応していくことが大切です。

トイレで排泄ができたことで、笑顔が生まれる 排泄のアセスメントとは

本来であれば排泄の一連の流れを全てご利用者様が行えることが一番ですが、何らかの制約があって入院または入所をされているケースが多いわけですから、ご利用者様の持っている残存機能をどこまで活かして排泄介助ができるかということが、「排泄のアセスメント」ということになります。
「尿意」や「便意」があり、自分でトイレまで移動し、衣服をおろし、便器に座り排泄をする。
排泄の後始末をし、自分の部屋に戻る。これが排泄の一連の動作ですが、この流れの「何ができない」のではなく「何ができるか」をしっかりと把握し、介助すべきところを見つけることが大切です。
「尿意」や「便意」があっても言葉で伝えることができないご利用者様もいらっしゃいます。その時は毎日の様子をよく観察し、「そわそわ」落ち着きがなかったり、短い声を発するなどの小さなサインを見逃さないようにしましょう。
また、排尿日誌をつけ、トイレタイムを把握し、その時間になったらトイレに誘導してみましょう。トイレ誘導の時間が間に合わずにおむつの中に排泄してしまうことはあるかもしれませんが、根気強く時間を探りあて、トイレ誘導をおこないます。
 

▼排泄パターンを把握するための排泄記録表もご用意しています

排泄記録表(3日間)ダウンロード

排泄記録表

排尿記録を2~3日間つけることで、ご利用者様の排尿パターンを把握できます。トイレ誘導やおむつ交換のタイミングの判断や、おむつ選びにお役立てください。

以前、トイレに誘導しても、その時にはいつもパッドが濡れてしまっているというご利用者様がいらっしゃいました。しかしスタッフ様の根気強いトイレ誘導によりトイレで排泄ができた時、ご利用者様が「トイレでおしっこができたよ」と大きな声でお話をされ、スタッフ様と一緒に笑顔で喜ばれる様子を見る機会がありました。

また、トイレへ誘導する時間を見つけることができれば、布パンツに尿とりパッドを組み合わせて使うこともできます。通常の下着では、「尿とりパッドがズレたりヨレたりして、トイレに間にあわなかった時にはモレてしまうのではないか?」「せっかくトイレで排泄ができて喜んでいたのに、モレてしまっては、ご利用者様の気持ちがまた落ち込んでしまうのではないだろうか。」など心配もあるかと思います。
尿とりパッドを併用してもズレたりヨレたりしないための工夫を施した介護用の布パンツ(ホルダーパンツ)を選ぶのも一案です。
おむつから下着(布パンツ)になることで、ご利用者様の気持ちが前向きになり自信の回復につながるケースもあります。

トイレで排泄ができるというただそれだけのことと思われますが、それこそがご利用者様、そして介護、看護に携わるスタッフ様にとっても大きな喜びとなり、笑顔がうまれます。
気持ち良く目覚め、おいしく食事をしてもらい、そして気持ちよく排泄をしてもらう。一人ひとりの生活を重視し、「ここなら安心して生活していける」と思っていただくことが、生きる力を生み出しQOL(生活の質)の向上につながるのだと思います。

それでもおむつが必要となる場合もある

トイレで排泄できることはQOLの向上にとても大切なことですが、どうしてもおむつが必要となるケースがあることは否定できません。
意識障害や重篤な疾患で自力での排泄ができない場合や、おむつやカテーテルを導入しなければならないこともあります。
その際には、ご利用者様に少しでも不快感を与えないようおむつを選ぶことや、できるだけ濡れている時間が少なくなるようなおむつ交換時間を見つけるなど工夫し、快適に過ごしていただくことがQOL(生活の質)の向上につながります。不快感を与えないためには、尿とりパッドだけでなく、外側のおむつにも通気性が備わっているものを選ぶとよいでしょう。
また、1日中おむつを使われる方には、褥瘡予防のスキンケアも大事になります。「おむつ交換とスキンケア」については「業務改善のヒント」をご覧ください。
ご利用者様の排尿パターンを把握についてはコラム「ムリ・ムダのない排泄ケア②」でもご紹介しています。
排泄パターン表とともにご活用ください。

参考資料
社会保障審議会 (介護給付費分科会)  第158回社会保障審議会介護給付費分科会
資料1 平成30年度介護報酬改定の主な事項

執筆:花王プロフェッショナル業務改善ナビ【介護施設】編集部

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