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基礎からわかる感染症

Knowledge

ガイドラインとは

ガイドラインとは、政府や団体が指導方針として掲げる大まかな指針を意味します。

ビジネスで使用されるガイドラインは、「ビジネスを進める上での基準や目安」というような意味で、組織や個人が仕事をしていく上で、目指すことが望ましい方向性、守るべき決まり事です。

医療で使用されるガイドラインでは、エビデンス(根拠・証拠)に基づいた、もっとも効果がある標準的な検査、治療、予防といった内容について記されています。ガイドラインの普及で検査や治療、予防策を多くの人々に標準的に提供できるようになりました。

CDCガイドライン

米国CDC(Centers for Disease Control and Prevention:疾病管理予防センター)は多くのガイドラインを公開しており、医療に関するガイドラインは、各国の感染対策の基準にもなっています。ここではCDCガイドラインの目的や意義、これまで公表されたいくつかのガイドラインについて紹介します。

CDCとは

CDCは国内外の公衆衛生の管理・維持向上を目的に、実地疫学の調査や統計調査などを行っている感染症対策組織です。CDCは日本の厚生労働省に相当する米国連邦政府機関「HHS(Health and Human Services:米国保健福祉省)」に属しています。米国ジョージア州アトランタにある本部のほか、合計12のセンター、研究施設を有しています。

数多くのデータや調査を基に作成した公衆衛生や感染対策に関するガイドラインの策定も主な活動の1つであり、日本やイギリスをはじめ各国でも国際的な基準としてCDCガイドラインを活用しています。日本の医療や介護の現場でもCDCガイドラインの一部が感染対策の指針となっています。

CDCの位置づけ

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連邦登録局、国立公文書記録管理局「アメリカ合衆国政府マニュアル(2019年11月21日)版」を元に簡略化したアメリカ合衆国政府の組織図を作成

CDCガイドラインとは

パンデミックを引き起こした感染症や、死亡率の高い病原体や未知の病原体が出現した際にCDCガイドラインが整備、作成されています。特に1980年代以降に、病原体のウイルスや細菌の解析手法が発展し、多くの病原体が特定されたことから病原体による感染を防止するよう、ガイドラインによる勧告がなされるようになりました。
CDCは医療機関の「基本的な感染予防と制御のガイドライン」として4つのガイドラインを公開しています。

隔離予防策のためのガイドライン:医療現場における感染性物質の伝播の予防(2007年)

医療施設での感染対策の基本は、日常的に隔離予防策(標準予防策、感染経路別対策)を実施することです。「医療現場における隔離予防策のためのガイドライン2007」は、1996年に公開された「病院における隔離予防策のためのガイドライン」の改訂版です。

改訂されたガイドラインは、急性期病院からクリニック、長期療養施設、在宅治療などすべての医療環境を対象とした内容となっています。すべての医療現場において感染対策の基本である標準予防策を実施することの重要性が再確認され、感染経路別予防策を実施することの重要性を再度強調しているガイドラインです。改訂版で呼吸器衛生(咳エチケットなど)が追加されました。このほか、SARSや高病原性鳥インフルエンザなど新たに流行している感染症に関する勧告が示されています。

参考資料:

医療機関における手指衛生のためのガイドライン(2002年)

医療機関で実施すべき手指の衛生に関するガイドラインです。医療現場における手洗いと手指消毒についてのデータを評価し、手指衛生法の改善を促進し、医療の現場において患者や医療スタッフへの病原微生物の伝播を減少させるための具体的な勧告を示しているガイドラインです。

参考資料:

医療施設における環境感染制御のためのガイドライン(2003年)

特に医療従事者と免疫不全患者の間で、環境を介した感染の予防のためのデータを評価し、再確認した環境感染管理ガイドラインです。

参考資料:

医療施設における消毒と滅菌のためのガイドライン(2008年)

患者ケア用医療器具の洗浄・消毒・滅菌、および医療環境の洗浄と消毒に関して優先されるべき方法について、エビデンスに基づく勧告を提示しています。

参考資料:

次に、一般向けや職場、学校向けに公表している感染対策のガイダンスを紹介します。

新型コロナウイルスのガイダンス(2021年)

CDCは新型コロナウイルス感染症のガイダンスを公開しています。医療施設での新型コロナウイルス感染症を予防するガイダンスの他に、個人向けの対策や居住地や職場、学校などに分け感染拡大の予防方法に関するガイダンスを紹介しています。パンデミックを引き起こす感染症は、医療機関だけが対策を実施するのではなく、個人や地域、職場や学校など公衆衛生全般で対策を実施する必要があります。地域での予防策のガイダンスの中には、オフィスや学校などの予防策が公開されています。

WHOガイドライン

次に、WHO(World Health Organization:世界保健機関)の役割と、策定しているガイドラインの内容、目的について解説します。

WHOとは

WHOは、健康を促進し、世界を安全に保ち、弱者に奉仕するために世界中で活動している機関です。弱者の人々が国の保険に加入できるようにし、健康上の緊急事態から保護し、さらにより良い健康と福祉を提供することを目標に活動しています。

WHOのガイドライン

WHOもCDCと同様に多くのガイドラインを公開しています。特に2009年に公開された、医療における手指衛生ガイドラインは、日本の医療機関でも活用されています。

医療における手指衛生ガイドライン

WHOの医療における手指衛生ガイドラインは、医療従事者、病院管理者、保健当局に、医療における手指衛生に関するエビデンスの徹底的なレビューと、病原性微生物の患者および医療従事者への伝播を減らすための具体的な推奨事項を提供することで現場での実践の改善を図ります。

参考資料:

まとめ

ガイドラインとは、政府や団体が指導方針としている大まかな指針のことで、医療に関するガイドラインは感染対策をはじめ人々の健康向上や衛生管理のために活用されています。国際的に活用されているガイドラインとして挙げられるのが、CDCとWHOのガイドラインです。

日本の医療や介護の現場でもCDCやWHOのガイドラインが活用されており、一部が感染対策の指針となっています。施設の衛生管理や感染対策を効果的に実施するためには、これらガイドラインで示されている対策の基本を踏襲することも必要です。

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