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安全衛生委員会とは?目的や審議内容、設置から進め方について解説

2023.11.30


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安全衛生委員会は、現代の職場環境においてますます重要な役割を果たしている組織です。

安全衛生委員会の根底にあるのは、職場のあらゆる側面における安全と衛生の強化と向上です。従業員が安全で健康的な環境で働けるように、リスクの特定・評価・対処が行われます。

安全衛生委員会が機能的に働くことによって、従業員の生活の質が向上し企業の生産性が高まるだけでなく、社会全体の健康と安全を促進する結果にもつながります。

本記事では、安全衛生委員会の目的や審議内容、設置や進め方といった詳細をわかりやすく解説します。

【PROFILE】監修者:涌井 好文

平成26年より神奈川県で社会保険労務士として開業登録を行い、以後地域における企業の人事労務や給与計算のアドバイザーとして活動を行う。
また、近時はインターネット上でも活発に活動しており、クラウドソーシングサイトやSNSを通した記事執筆や監修を中心に行っている。

安全衛生委員会とは

安全衛生委員会とは、労働安全衛生法に基づき、職場の安全と健康を確保するために設置される組織です。労働災害防止の取り組みは労使が一体となって行う必要があり、安全衛生委員会では、従業員の安全と健康を第一に考え、事故や健康被害の予防や対策、快適な労働環境を確保することなどを目的に運営されます。

安全衛生委員会は、「安全委員会」と「衛生委員会」の2つの委員会が統合しています。
ある一定の基準で両方の委員会を設置しなくてはいけない場合は、別々で設置せずに一つの委員会に統合してよいとされています。

安全委員会は、事故の予防と対応、機械の設備の安全な操作などを専門としています。一方の衛生委員会は、職場の衛生状態や健康診断、感染症対策などに焦点を当てたものです。

安全委員会と衛生委員会は連携して活動し、企業全体の安全と健康を支えます。この組織の存在によって、職場環境は劇的に改善され、従業員の満足度と生産性の向上が期待できます。

安全衛生委員会の設置基準

安全衛生委員会は、多くの国で法的に定められた基準にのっとって設置されています。一般的には、一定数以上の従業員を抱える事業場が、安全衛生委員会を設置する義務を有しています。

具体的な基準は法令や業界、企業規模などによって異なるので注意が必要です。
下記は、日本国内において、安全委員会、衛生委員会を設置しなければならない事業場を示しています。
両方必要な事業場は、それぞれの委員会か安全衛生委員会を設置しなくてはいけません。

業種 常時使用する労働者の数 安全委員会 衛生委員会
1 林業、鉱業、建設業
製造業の一部 (木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業、輸送用機械器具製造業)、運送業の一部(道路貨物運送業、 港湾運送業)、自動車整備業、機械修理業、清掃業
50人以上 必要 必要
2 製造業 (1以外)
運送業 (1以外)
電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器等小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業
100人以上 必要 必要
50人以上100人未満 義務なし 必要
3 1と2以外の業種 50人以上 義務なし 必要

※スマートフォンをご利用の場合は横にスクロールをしてご確認ください。

たとえば従業員数の要件ですが、建設業や鉄鋼業の場合には、常時使用する従業員の数が50人以上のときに安全委員会の設置を必要とします。電気業やガス業、通信業などにおいては、同じ義務が100人以上の場合に適用されます。

また、衛生委員会は業種を問わず常時50人以上の従業員を使用する事業場で設置が義務付けられています。安全委員会と衛生委員会の設置が義務付けられている事業場では、両委員会を統合した安全衛生委員会の設置が可能です。これにより、様々なリスクに対して専門的な対策が可能となります。

こうした基準に準拠して設置され、定期的に監査を受けるのが安全衛生委員会です。企業は法令や規範に従い、適切な構造と運用が保証されるよう努める必要があります。

安全衛生委員会の目的と役割

安全衛生委員会の主な目的は、職場の安全と健康を確保し、それらの質を向上させることです。 これを達成するために、安全衛生委員会は以下のような重要な役割を果たします。

  • リスクの特定と評価
  • 予防対策の策定
  • 健康促進の実施
  • 対策と改善の推進

職場に存在する危険やリスクを特定し、その重要性と緊急性を評価するのは第一歩ともいえる作業です。これにより適切な対策が計画され、実施されます。

特定されたリスクに対して予防対策を策定し実行するのも、安全衛生委員会の役割です。これには教育訓練、機器の安全設計、作業手順の改善などが含まれます。

職場の衛生状態を改善し、従業員の健康を促進するのも重要です。定期的な健康診断や感染症対策、ストレス管理などがこれに該当します。

また事故や健康被害が発生した場合には、迅速に対応し原因を解析します。その結果をもとに、今後の予防対策の改善を図るのが、安全衛生委員会の務めです。

安全衛生委員会は、こういった役割を適切に実施することにより、職場をより安全で健康的な場所にすることを目的としています。この設定により、企業は法令の遵守とともに、社会的な信用と責任を高めることができます。

安全衛生委員会に必要なメンバー構成

安全衛生委員会の効果的な運営には、適切なメンバー構成が欠かせません。メンバーは企業のさまざまな部門から選ばれ、多岐にわたる専門知識と視点を持ち合わせている必要があります。

一般的には、以下のようなメンバーから構成されることになります。

  • 経営者代表:経営層からの代表者で経営方針や予算配分などの決定権を有する
  • 従業員代表:現場の従業員から選ばれ、実際の作業現場の声を反映させる
  • 専門家:安全や衛生に関する専門家で、法令遵守や専門的な知識を提供する
  • 関連部門代表:人事・法務・総務など、関連部門からの代表者として各部門の視点を取り入れる

これらのメンバーによって、安全委員会と衛生委員会の2つが構成されます。以下でそれぞれについて見ていきます。

安全委員会

安全委員会は、特に従業員の安全に関連する課題を担当します。構成メンバーは以下のような具合になります。

  • 総括安全衛生管理者又は事業の実施を統括管理する者もしくはこれに準ずる者:全体の安全管理を統括し、方針と計画の策定をリードする
  • 安全管理者:安全に関する専門的な知識と技術を提供し、適切な対策を支援する
  • 安全に関し経験を有する従業員従業員:現場の実際の状況とニーズを代弁し、従業員の視点を反映させる

それぞれの立場からの意見がうまく組み合わさることで、建設的なやり取りが可能となります。

衛生委員会

衛生委員会は、職場の衛生状態と従業員の健康を保護・促進する課題を担当します。構成メンバーは以下のような具合になります。

  • 総括安全衛生管理者又は事業の実施を統括管理する者もしくはこれに準ずる者:衛生管理の全体的な方針と計画の策定を担当し、統括する
  • 産業医:職場の健康診断や病気の予防、感染症対策などに関する専門的な支援を提供する
  • 衛生管理者:衛生に関連する法令や基準の遵守、衛生教育などの専門的なサポートをする
  • 衛生に関し経験を有する従業員従業員:従業員の健康ニーズと現場の衛生状態を代弁し、具体的な改善提案をする

衛生状態を向上させるには専門的な知識が不可欠なため、産業医や衛生管理者の意見をきちんと取り入れることが重要です。

安全衛生委員会の審議内容

安全衛生委員会の審議においては、組織の安全衛生に関連するさまざまな課題を取り扱います。具体的には、作業環境の改善・従業員の健康促進・法令遵守・事故防止策の強化などです。

審議内容は企業の特性や業界の標準、政府の指針などに基づき多角的に分析される必要があります。以下で安全委員会と衛生委員会それぞれについて具体的に見ていきます。

安全委員会

安全委員会の審議内容は、企業の安全管理に特化しています。主に以下のような議題を取り扱います。

  • 事故防止策:過去の事故や近接事故の分析を元に、予防策の策定と実施をする
  • 作業環境の改善:作業場の設備・機器・手順などの安全性評価と改善提案をする
  • 安全教育・訓練:新入社員や作業者向けの安全教育プログラムの開発と運営を行う
  • 法令遵守:関連する安全法規の遵守状況の確認と、必要な対策の検討をする
  • 感染症対策: 季節別に流行する感染症のリスク評価と予防対策の策定をする
  • 緊急時対応計画:自然災害やテロなどの緊急時に対する対応計画の策定と演習を行う

安全委員会の審議においては、従業員の身体的な安全を第一に考え、リスクを最小限に抑えるための効果的な対策を積極的に推進します。

衛生委員会

衛生委員会の審議においては、従業員の健康を保護することや、衛生的な労働環境を確保するためにすべきことが議論されます。主に以下のような議題を取り扱います。

  • 労働環境の衛生化:労働現場の清潔さ・換気・照明などの環境改善をする
  • 健康診断の実施:従業員の健康診断の計画、結果の分析と対策提案をする
  • 感染症対策:季節性感染症やパンデミック対策の計画と実施を行う
  • ストレス管理:職場ストレスの評価と緩和策、メンタルケアの提供をする

衛生委員会は、企業全体の健康文化の推進に貢献し、持続可能な労働力の確保を図ります。従業員の健康を総合的にサポートすることで、生産性や従業員の満足度の向上にも寄与します。

テーマ選びのポイント

安全衛生委員会の審議におけるテーマ選びは、多岐にわたる視点から行いましょう。以下に具体的な例をご紹介します。

  • 健康診断の結果から選ぶ
  • 時節柄から選ぶ
  • 時事ネタや直近の事例から選ぶ
  • 職場の人間関係から選ぶ

健康診断は、従業員の健康を守るために労働安全衛生法で義務付けられているものです。そのため、安全衛生委員会においては取り上げやすいテーマであるといえるでしょう。

安全衛生委員会は基本的に毎月開催されるため、夏であれば熱中症、冬であれば感染症対策をテーマにするなど、時節に沿うテーマを選ぶことも可能です。早め早めにリスクを周知させたり対策グッズを用意したりすることで、従業員の健康が維持されるでしょう。

また時事ネタや直近の事例からテーマを選ぶ方法もあります。近年では新型コロナウイルス感染症も代表例といえるでしょう。もちろん時事ネタであっても、自社とほとんど関わりのないものを選ぶことには意味がありません。関連性についてきちんと考える必要があります。

職場の人間関係もストレスの一因となるため、ここからテーマを拾い上げることも大切です。衛生委員会における調査審議事項として、厚生労働省は「従業員の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること」を含めています。このことからわかるように、メンタルケアは非常に重要な役割を担っています。

安全衛生委員会の設置から進め方

安全衛生委員会の設置は、以下のような流れで進められます。

  1. 委員の選出・体制を整える
  2. 安全衛生委員会規程を作成する
  3. 年間計画を立てる
  4. 安全衛生委員会を開催する
  5. 実施状況を確認・振り返り

順番に見ていきましょう。

委員の選出・体制を整える

安全衛生委員会の効果的な運営には、具体的な役割と責任の分担が不可欠です。主査や副主査のほか、各種担当の明確な設定が必要となります。

定例会議の開催周期や意思決定のプロセス、緊急時の連絡体制などもこの段階で設定するのが一般的です。こうした取り決めをしっかり行うことで、後々の運営をスムーズに行うことができるでしょう。

安全衛生委員会規程を作成する

安全衛生委員会規程の作成は、その運営の基盤となる重要なものです。規定には、委員会の目的・役割・権限を明確にすることや、運営ルールの確立が含まれます。

具体的には、議事進行のルール・議事録の取り扱い方法・緊急時の対応策などが詳細に記述されます。
規定のなかで、具体的な業務内容や期待される効果、評価方法なども定めておくとよいでしょう。

年間計画を立てる

年間計画の立案は、安全衛生委員会の活動を組織的に推進するうえで欠かせないステップです。この計画には、年間を通しての目標設定・具体的な活動スケジュール・必要な資源や予算の確保などが含まれます。

また、四半期や半期ごとの中間目標の設定も重要で、その達成状況にもとづいて計画の修正や改善を図ることができます。

期間ごとの安全点検・研修の実施・安全パトロールなど具体的な活動の計画もこの段階で行われるべきでしょう。

安全衛生委員会を開催する

ここまでに解説した準備をしっかりと整えたうえで、安全衛生委員会を実際に開催します。

会議では、安全衛生に関する重要な議題が共有され、具体的な問題解決のための議論が交わされます。また先に立てられた年間計画に基づいて、各活動の進捗状況や成果・課題などが報告され、必要に応じて次の行動計画へとつなげられます。

定期的に開催することで、安全衛生管理の透明性と効果の向上が期待できるため、積極的な開催が重要です。

実施状況を確認・振り返り

実施状況を確認するにあたっては、計画に対する進捗・具体的な成果や効果・遭遇した課題などを詳細に検証します。振り返りの過程では、成功要因と改善点の分析を行い、それらの学びを次の活動に活かすための方策を検討します。

これらのプロセスを綿密に行うことにより、計画の適切な修正が可能となり、組織全体としての安全衛生への取り組みがレベルアップすることでしょう。

―まとめ

安全衛生委員会は、職場の安全衛生を維持し向上させるための、組織的な取り組みを推進する役割を果たします。設立の基準や目的を明確にし、適切な役割分担の下、メンバーを構成し、内容のある審議を繰り返さなければいけません。

また年間計画の立案や定期的な開催、実施状況の確認と振り返りなどが、計画的かつ効果的に活動を進めるためには重要です。組織全体としての方向性を共有し、具体的かつ効果的に目標に向かう取り組みが求められるため、関係各所の協力と連携が大切となるでしょう。

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