2024.04.26
デイサービスを健全な事業として継続させるためには利用者を増やすことが望ましいです。しかし、デイサービスの経営者の中には具体的にどのように利用者を増やせばよいのか、確かなノウハウを確立できず困っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、デイサービスにおいて利用者を増やすにはどのような施策を取ればよいか、具体的な方法を解説します。また、利用者を増やすだけでなく「減らさない」ためにどのような工夫が必要かについても見ていきます。
デイサービスで利用者を増やす施策を考える前提として、まずは業界の現状を把握しましょう。ここでは、以下のカテゴリーに分けて見ていきます。
いずれもビジネスの突破口を開くうえで大切な要素なので、しっかり把握しておきましょう。
高齢化の状況を把握するには、内閣府が公開している「高齢社会白書」が役立ちます。高齢社会白書によれば、令和4年時点の65歳以上の人口の割合は29%と推計されています。そのうち65~74歳の人口は1,687万人、75歳以上の人口は1,936万人です。75歳以上の人口が65~74歳を上回っている現状が見て取れます。
高齢者の割合は、今後さらに増えていくことが予想されています。2070年には、2.6人に1人が65歳以上、約4人に1人が75歳以上になると推計されているのです。
データからは、デイサービスを必要とする高齢者が増加傾向にあることが分かります。
令和4年5月審査分から令和5年4月審査分における、介護予防サービスおよび介護サービスの年間実受給者数は652万4,400人、令和5年4月審査分の受給者1人あたりの費用は、17万5,500円です。
年間実受給者数は、令和2年度で621万9,000人、令和3年度で638万1,700人だったため、増加傾向にあると解釈できます。
また、受給者1人あたりの費用17万5,500円について、令和3年度で17万4,900円、令和4年度で17万2,800円であったため、介護サービスへの出資も徐々に増加傾向にあることが分かります。
高齢者人口が増加していることに伴い、介護サービスの利用者は増加中です。デイサービス業界にとっては追い風であると言えますが、厳しい経営環境に直面している事業所も少なくありません。
【デイサービスの経営状況】
2021年度の介護報酬改定により、基本報酬は引き上げられました。しかし、赤字経営をしている事業所の割合は2020年度が41.9%だったのに対し、2021年度は46.5%と増加しています。
デイサービスが赤字経営になる原因としては、稼働率が低いことや加算を取得していないことなどが考えられます。運営体制や加算の取得などを見直し、経営基盤を確立させることが重要でしょう。
【デイサービスの倒産件数】
東京商工リサーチの調べによると、2022年の東京都における通所・短期入所介護事業の倒産件数は69件であり、これは前年の倒産件数17件の約4倍となっています。
介護業界全体の倒産企業も増加しており、老人福祉・介護事業において、2022年には倒産件数が143件でした。前年の76.5%増であり、過去最多となっています。
倒産急増の原因には、感染対策のコスト増加や、感染リスク回避による利用控えなどが挙げられます。
デイサービスの利用者を増やす方法としては、主に以下の4つが挙げられます。
順番に見ていきましょう。
まず重視すべきなのは、事業所の特長や付加価値を明確に把握することと、利用者や職員の声を聞きサービスの改善点や強みを見極めることです。
ほかの事業所と同じようなサービスを提供していれば、たちまちレッドオーシャンでの戦いを強いられることになるでしょう。そのため、自事業所にしかない強みは何か、分析することが重要です。
例えば以下のような強みが考えられるでしょう。
自事業所の強みを把握できたら、PRするための準備をしましょう。施設の魅力をPRすることは、利用者やご家族に安心感を与え、施設を選択する際の重要な要素になります。
魅力をPRする方法として、具体的には以下のようなものが挙げられます。
デイサービスの利用者を増やすためには、高齢者と接する場面が多いケアマネジャーや地域包括支援センターとの連携が重要です。優れたサービスを提供できるとしても、利用者やご家族に認知されなければ利用者を増やすことは難しいでしょう。連携すべき外部機関としては、以下のようなものが挙げられます。
ケアマネジャーは、利用者のケアプランを作成したり、ご家族とも適宜コミュニケーションを取ります。また、地域包括支援センターは、地域の高齢者を適切な介護サービスにつなぐ役割があります。このように高齢者との関わりの多い機関との関係性を構築することで、より利用者を増やすことも可能になるでしょう。
多くのサービス利用者はケアマネジャーを経由することが多いためケアマネジャーとの信頼関係はとても重要です。月例報告の計画書などで事業所が持つ強みや付加価値などベネフィットをきちんと伝えることができれば、ケアマネジャーとの信頼関係が強化されることでしょう。
自事業所のサービスの強みをアピールし、利用者やご家族、ケアマネジャーの評価を高めることを意識して動きましょう。
デイサービス経営者・ 管理者向け
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デイサービスの利用者を増やす施策も大切ですが、同時に減らさないための施策も重要です。利用者を減らさないためには、以下のような点に注意する必要があります。
それぞれ解説します。
利用者の満足度を高めるには、その人に合わせた対応をすることが大切です。移動や食事、排泄のタイミングなど、一人一人の身体や認知機能の状態を理解し、動きを観察することで、適切に介助することを意識しましょう。
また、利用者の口コミの効果も重要です。満足度が高ければ、口コミによってこれからデイサービスの利用を考えているほかの高齢者にも、評判が伝わるでしょう。ポジティブな口コミは素晴らしい宣伝になります。
反対に、満足度の低いサービスを提供した場合はネガティブな口コミが広まってしまう恐れがあるため、注意しなければいけません。
2020年から世界中に蔓延した新型コロナウイルス感染症は、2024年となった現在でも軽視できない問題です。
特に高齢者が利用するデイサービスでは、感染対策がしっかり行われているかどうかは命に関わる問題です。万が一施設内で感染が広がってしまうようなことがあれば、多くの被害をもたらす可能性も否定できないでしょう。
感染者を出すような事態に陥れば、発生状況を関連施設に報告するなどの業務が増加しますし、これまで利用していた方々が利用を控えたり、事業所が営業できなくなってしまう恐れもあります。また、発生状況を関連施設に報告するなどの業務が増加するでしょう。利用者を減らさないためには、感染対策をしっかりと行い、利用者が安心して通える施設であることが大切です。
デイサービスでは、管理者や生活相談員を何人配置するかといった人員に関する基準が存在します。しかし、デイサービスを運営していくなかでは体調不良などで人員基準を満たせなくなる場合もあるでしょう。
規定された人員を満たせない場合は基準違反となることに加え、安全にサービスを提供することが難しくなります。そのため、事業所は欠員が出た場合の対策を考えておかなければいけません。
欠員が事前に分かっている場合は、他の職員が兼務することで一時的に人員不足を補うことができます。もし、事業所内で対応が難しい場合は地方自治体の介護保険課に指示を仰ぎましょう。
質の高いサービスを提供することで、利用者の満足度向上が期待できます。質の高いサービスを提供するためには、新人職員へ丁寧な教育をすることが重要です。法定研修以外にも、介護職の心構えやマナー、事故が起こったときの対応方法はガイドラインを策定し周知、研修することが望ましいです。
また、口頭で指示をするだけでは限界があるため、先輩職員が手本を示し、それに倣い実践してもらうことで、技術が身につきやすくなります。
デイサービスでは、利用者本人だけでなく、そのご家族とも接する機会があります。ご家族と接するときは、身だしなみや挨拶にも気を遣うことが大切です。
髪型は業務の妨げにならないように配慮しましょう。挨拶は、自分から目を合わせて明るい表情を心がけると、ご家族も施設に対して安心感を覚えるでしょう。
施設を利用するにあたり、ご家族は多くの不安をお持ちです。そのような際は、積極的なコミュニケーションを心がけ、相手の気持ちに寄り添い、不安を取り除くことを意識しましょう。
これまで、デイサービスの利用者を増やすためにどのようなことを意識すればよいかについて解説しました。
高齢化がさらに進む現代において、デイサービスの果たす役割はますます大きくなります。しかしながら、必ずしも経営環境に恵まれた業態でもありません。事業を持続させるには、ポイントを押さえた運営が必須となります。
本記事で解説してきた、利用者を増やすためのポイント、減らさないために注意すべきポイントをしっかりと把握しましょう。適切な方向にリソースを傾けて、デイサービス利用者の増加に繋げていきましょう。
Kiraliaとは、キラリアハイジーン株式会社が提供するトータル衛生ソリューションプログラムです。衛生管理を行う事業者の皆様に、最適な衛生ソリューションを継続して提案いたします。
企業・団体向けの感染予防ソリューション「Kiralia INFECTION CONTROL」は、リスクの評価分析と適切な改善方法をご提案する感染予防ソリューションです。リスクを早期に発見し、施設の感染拡大防止をサポートします。
「Kiralia INFECTION CONTROL」では、有識者との連携によって構築したリスク評価モデルを活用し、施設に潜む感染症のリスクを把握することができます。デイサービスは利用者や従業員の人数が施設によって異なる背景もあり、施設環境や人の動線によって適切な感染対策もさまざまです。適正な対策による労務軽減も期待して頂けます。
モニタリング結果に基づいて、マニュアルの整備や教育のサポートを実施いたします。施設での感染対策体制に関する監査を受けていただいた施設様には、認定証と認定ステッカーを進呈します。認定によって、利用者やご家族、ケアマネジャーや地域の医療機関、地域住民にも衛生水準の高さをアピールできます。
デイサービスの感染対策にお悩みの方は是非お気軽にお問い合わせください。
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