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社会福祉連携推進法人制度とは?介護施設の地域連携で必要な知識についてわかりやすく解説

2024.03.25


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私たちが住む地域には、高齢者をはじめとして、様々な福祉ニーズを抱える人々が暮らしています。その人々を支える社会福祉の現場は、人口の減少や急速な高齢化社会の到来による人手不足など、深刻な問題に悩まされてきました。

このような課題に対応するため、社会福祉連携推進法人制度が施行されました。
社会福祉の現場が大きく変わろうとしています。社会福祉法人の経営に携わる方に向けて、社会福祉連携推進法人制度について、わかりやすく解説します。

【PROFILE】監修者:涌井 好文

平成26年より神奈川県で社会保険労務士として開業登録を行い、以後地域における企業の人事労務や給与計算のアドバイザーとして活動を行う。
また、近時はインターネット上でも活発に活動しており、クラウドソーシングサイトやSNSを通した記事執筆や監修を中心に行っている。

社会福祉連携推進法人制度の概要

社会福祉連携推進法人制度は、社会福祉法人が社員となり福祉サービス事業者間の連携や協働を促進し、地域社会に適切な福祉サービスを提供することで、経営基盤を強化することを目的とした制度です。2つ以上の社会福祉法人が社員として参画し、多様な取り組みを通じて地域福祉の充実や経営の効率化、人材育成を推進します。法人間の連携により、同じ目的を持つ法人が自主性を保ちながら規模の大きさを活かした運営が可能となります。

社会福祉連携推進法人では、以下の3つを目的としています。

  • 社員の社会福祉に係る業務の連携を推進すること
  • 地域における良質かつ適切な福祉サービスを提供すること
  • 社会福祉法人の経営基盤の強化に資すること

2022年に施行された比較的新しい制度で、複数の社会福祉法人が連携・協業し、手を取り合うことによって経営基盤を強化しながら、地域社会に円滑な福祉サービスを提供できるよう導きます。

現在の社会福祉連携推進法人一覧

認定されている社会福祉連携推進法人は以下の通りです。2023年11月27日時点では、20法人が認定されています。

法人名 認定所轄庁 認定年月日
リガーレ 京都府 令和4年5月10日
リゾムウェル 大阪府 令和4年6月17日
日の出医療福祉グループ 兵庫県 令和4年8月1日
光る福祉 千葉県 令和4年10月13日
一五戸共栄会 東京都 令和4年11月4日
あたらしい保育イニシアチブ 和歌山県 令和4年11月11日
青海波グループ 東京都 令和4年12月8日
黎明 岐阜県 令和5年1月27日
園経営支援協会 東京都 令和5年1月30日
福岡親和会 福岡県 令和5年2月3日
きょうと福祉キャリアサポート 京都府 令和5年2月28日
さくらグループ 埼玉県 令和5年3月27日
幸輪ホールディングス 福岡県筑後市 令和5年4月1日
乳幼児教育ユニティ 新潟県 令和5年4月3日
ジョイント&リップル 熊本県熊本市 令和5年5月9日
共創福祉ひだ 岐阜県飛騨市 令和5年6月29日
みらいグループ 福岡県 令和5年7月11日
秋田圏域社会福祉連携推進会 秋田県 令和5年8月2日
となりの 愛知県 令和5年9月19日
キッズファースト 千葉県千葉市 令和5年10月1日

※スマートフォンをご利用の場合は横にスクロールをしてご確認ください。

社会福祉連携推進法人制度が創設された背景

2030年に向けて高齢者人口が増加し、その後は生産年齢人口が大幅に減少することが予想されています。このような人口動態の変化に加え、地域の共同体の機能が脆弱化しつつあるといった社会構造の変化により、子育てや介護、生活困窮などに対する福祉のニーズはますます複雑化・多様化すると予想されています。

社会福祉法人の数は年々増加しており、サービスも多様化しています。しかし、人手や設備の不足などにより、供給が間に合っていないことが問題視されてきました。そこで、社会福祉の現場を円滑に運営できるように、社会福祉法人の連携・協働が推進されたのです。

社会福祉連携推進法人が行う6つの業務

社会福祉連携推進法人が行う業務として、具体的には下記の6つの中から1つ以上を行います。

  1. 地域福祉支援業務
  2. 災害時支援業務
  3. 経営支援業務
  4. 貸付業務
  5. 人材確保等業務
  6. 物資等供給業務

それぞれの業務について、1つずつ見ていきましょう。

地域福祉支援業務

地域福祉支援業務は「地域福祉の推進に係る取り組みを社員が共同して行うための支援」に該当します。業務内容については、主に下記の通りです。

  • 地域住民の生活課題を把握するためのニーズ調査の実施
  • ニーズ調査の結果を踏まえた新たな取り組みの企画立案、支援ノウハウの提供
  • 取り組みの実施状況の把握・分析
  • 地域住民に対する取り組みの周知・広報
  • 社員が地域の他の機関と協働を図るための調整

社会福祉連携推進法人が、地域で抱える問題を調査・分析し、よりよい暮らしに向けた提案を行います。

具体例としては、過疎地域における取り組みとして、月に1回、高齢者と園児の交流を行いつつ、都市部のショッピングモールでの買い物支援を行う企画などが挙げられます。このように、地域の課題を掘り下げながら、ニーズに合った企画を立案する業務が、地域福祉支援業務です。

災害時支援業務

災害時支援業務は「災害が発生した場合に、他の社員と共同して、福祉サービスの利用者の安全を確保するための支援」に該当します。業務内容については下記の通りです。

  • ニーズの事前把握
  • BCPの策定や避難訓練の実施
  • 被災施設に対する被害状況調査の実施
  • 被災施設に対する応急的な物資の備蓄・提供
  • 被災施設の利用者の他施設への移送の調整
  • 被災施設で不足する人材の応援派遣の調整
  • 地方自治体との連絡・調整

災害時支援業務の一環として被災地への応急職員の派遣や、他の施設への移送などがあります。また、BCPの策定には、感染対策も含まれます。

避難所など被災者が集団生活を送る場所では、衛生面の課題も多く、感染症が流行しやすくなります。食事や水分を確保し、室内やトイレ、屋外の衛生環境を整えることが大切です。

また、こまめな手洗いや手指消毒、軽い症状であってもマスクを着用するなど、感染を広げないための取り組みも求められます。こうした災害時の健康維持や感染予防に対する支援も、社員の大切な業務です。

なお、社員ではない地域の被災者に対する支援活動は、先述の「地域福祉支援業務」に該当します。

経営支援業務

経営支援業務は「社会福祉事業の経営方法に関する知識の共有を図るための支援」に該当します。

  • 社員に対する経営ノウハウ等に関するコンサルティングの実施
  • 賃金テーブルの作成等人事・給与システムに関するコンサルティングの実施
  • 社員の財務状況の分析・助言
  • 社会福祉法人会計に関する研修の実施等適正な財務会計の構築に向けた支援
  • 社員の特定事務に関する事務処理の代行

経営支援業務の具体例としては、新たに施設の建設を考えているものの、新規開設のノウハウがない社会福祉法人に対し、社員がノウハウを踏まえた助言を提供するケースなどが挙げられます。知識やノウハウを共有することで、業務の効率化アップが期待されます。

貸付業務

社会福祉連携推進法人では、社員である社会福祉法人への貸付を行うことができます。貸付を希望する際には、下記の内容への合意が求められます。

  • 貸付対象社員の事業計画(貸付金額、使途、返済スケジュール等)
  • 貸付対象社員における予算・決算等の重要事項の承認方法
  • 返済の延滞時や不能時の取扱い等

貸付金の返済期限は3年を上限とし当事者間の合意により、期限を設定します。貸付金の使途としては、施設・事業所に供する建物の修繕、軽微な改修、従業員の採用、処遇改善に関する費用などが想定されます。

人材確保等業務

人材確保等業務は「社員が経営する社会福祉事業の従事者の確保のための支援及びその資質の向上を図るための研修」に該当します。具体的には以下の通りです。

  • 社員合同での採用募集
  • 出向等社員間の人事交流の調整
  • 賃金テーブルや初任給等の社員間の共通化に向けた調整
  • 社員の施設における職場体験、現場実習等の調整
  • 社員合同での研修の実施
  • 社員の施設における外国人材の受け入れ支援

これらの業務によって、人材を確保するために必要な調整や研修が行いやすくなると考えられています。

具体例としては、大学等福祉・介護人材養成施設への募集活動、合同説明会の開催、求人募集広告や求人情報誌への掲載などがあります。単独の施設では難しかった課題がクリアしやすくなり、人材確保に向けての積極的な活動が期待されています。

なお、介護職種に関わる技能実習の監理団体については「経営支援業務」として行います。

物資等供給業務

物資等供給業務は「社会福祉事業に必要な設備または物資の供給」などの業務を行います。下記の例をご覧ください。

  • 紙おむつやマスク、消毒液等の衛生用品を一括調達
  • 介護ベッドや車いす、リフト等の介護機器を一括調達
  • 介護記録の電子化等ICTを活用したシステムを一括調達
  • 社員の施設で提供される給食の供給

従来、物資の調達は事業所ごとの業務であったため、連携によって一括で行われると業務の負担が軽減されます。

具体例としては、介護記録などのシステムを一括調達することにより、そのシステムを全体で共有できるなど、効率的な活用が期待されます。また、紙おむつやマスク、消毒液などの衛生用品の購入においても、スケールメリットを活かすことができます。

社会福祉連携推進法人におけるメリット

社会福祉連携推進法人制度の導入にあたって、メリットは理解しておきたいところです。どのようなメリットがあるのか、具体的に見てみましょう。

介護人材の採用・育成の連携が可能になる

社会福祉の現場で深刻な問題となっている人手不足も、社会福祉連携推進法人によって緩和が期待できます。中小規模の社会福祉法人では目前の業務に追われて余力がなく、人材の確保・育成にまで手が回らない現状があります。

社会福祉連携推進法人制度により、グループ全体の介護人材の採用・育成担当者をけるようになると、事業所ごとに行われていた人材の採用や研修などが合同で行えるようになり、負担が大幅に軽減されます。業務を効率化しながらも必要な人材を確保・育成できるようになるため、とても大きなメリットだといえるでしょう。

よりよいサービスを提供できる

連携することによって得られた規模を、社会福祉法人の自治を保ちながら得られることも大きなメリットです。備品の一括購入や災害時の支援なども、グループ規模で行えるようになるため、各法人での余力が生まれやすくなります。

各法人に余力ができると、提供するサービスの質の向上が期待できるようになります。地域社会や時代の変化に合わせた新しいニーズにも対応しやすくなり、柔軟に適切なサービスを提供できるようになるでしょう。

―まとめ

地域にはさまざまな人が暮らし、多様なニーズが存在します。従来のやり方では難しかったことも、社会福祉連携法人制度によってきめ細やかなサービスを提供できるようになると考えられます。そのために創立されたのが、社会福祉連携推進法人です。

社会福祉の現場では、人手不足による職員の疲弊、人材の定着化にも悩む事業者の方も多いでしょう。しかし、社会福祉連携推進法人制度の活用によって、負担が緩和できることが期待されています。大きな変化に戸惑う場面もあるかもしれませんが、互いに手を取り合い豊かな地域づくりを目指しましょう。

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