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BCP対策とは?概要や目的、策定方法について解説

2023.09.25


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BCP対策とは、企業などの組織が自然災害や感染症の拡大によるパンデミック、システム障害といった非常事態に直面しても、被害を最小限に抑えながら事業を継続するために講じる策のことをいいます。

地震大国であり、豪雨などの被害も甚大な日本でビジネスを行うに当たり、BCP対策は欠かせません。近年は、新型コロナウイルス感染症の拡大によって変容を強いられたことも看過できません。

しかし、内閣府で令和4年1月に実施した「企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」によるとBCP対策を策定済みとしている国内企業は、大企業で70.8%、中堅企業で40.2%となっています。大企業を中心にBCP対策が進んでいるとはいえ、まだ十分であるとはいえない状態です。

大企業と中堅企業のBCP策定状況

本コラムでは、BCP対策の概要や目的、施策の一つであるマニュアル作成を中心に、策定方法について、解説いたします。

【PROFILE】監修者:涌井 好文

平成26年より神奈川県で社会保険労務士として開業登録を行い、以後地域における企業の人事労務や給与計算のアドバイザーとして活動を行う。
また、近時はインターネット上でも活発に活動しており、クラウドソーシングサイトやSNSを通した記事執筆や監修を中心に行っている。

BCP対策とは

BCP対策とは、企業などの組織が自然災害や感染症の拡大によるパンデミック、システム障害といった非常事態に直面しても、被害を最小限に抑えながら事業を継続できるように、あらかじめ講じておく措置のことをいいます。

BCPは、Business Continuity Planningの頭文字を取ったもので、「事業継続計画」と訳されます。意味は、「BCP対策」と同様です。

BCP対策が対象とする非常事態の種類

BCP対策では、ビジネスに影響を及ぼす可能性のある、あらゆる事態を対象とします。
以下は、BCP対策が対象とする非常事態の一例です。

  • 自然災害(地震・台風・落雷など)
  • パンデミック(新型コロナウイルスなどの感染症)
  • 戦争や紛争、テロリズム
  • 事故(原子力事故など)
  • 自社の不祥事(横領、リコール、偽装、食中毒、廃棄物の不適切処理など)

BCP対策と防災対策の違い

防災対策で対象となるのは、地震や洪水といった自然災害時における自社の資産、つまり、社員の安全や防災備蓄品の確保などのみです。

一方、BCP対策では、自然災害を含むあらゆる非常時下で事業を継続できるよう、自社のみならず、協力会社などを含む社外の資産の保護にも努めます。

つまり、防災対策は、BCP対策に含まれる概念だといえます。

BCP対策の目的

BCP対策の目的を細分化すると、「事業・従業員を守る」と「企業としての価値の向上」の2点に整理できます。

事業・従業員を守る

「BCP対策とは」でもお伝えしたように、そもそも、BCP対策が事業を継続するための施策のことなので、事業を守ることが第一の目的となります。

そして、事業を継続するためには、従業員や設備、資金などの資産を守る必要があります。
特に、人は重要な資産であり、従業員がいなければ事業を継続することはできません。生命や健康は災害や感染症などで脅かされる可能性が高いため、BCP対策で守ることが重要になってきます。

従業員の生活や取引先の事業を維持するためにも、お客様個人の快適な暮らしを守るためにも、非常事態の影響を最小限にとどめ、主要な事業を中心に事業を復活・継続できるよう、BCP対策を講じる必要があるのです。

企業としての価値の向上

BCP対策に取り組むことで、企業価値の向上にもつながります。
適切なBCP対策を講じ、非常事態でも事業を継続できれば、競争力強化につながります。実際に、過去に起きた東日本大震災や新型コロナウイルス感染症の拡大によって、多くの企業が倒産しています。

また、BCP対策への取り組みを社内外に周知することで、資金調達や採用活動、従業員満足度といったさまざまな面で自社にとって有利に働くでしょう。

BCPのマニュアルの種類

BCP対策の手順をわかりやすくまとめたものが「BCPマニュアル」です。
BCP対策の方針や、非常事態が発生してから、事業を復旧するまでの詳しいステップを明文化しておくことで、いざという時に対応の拠り所となります。

BCPのマニュアルは、非常事態の類型別に「自然災害」「外的要因」「内的要因」の3種類に分けられます。

自然災害

まずは、地震や水害、竜巻といった自然災害が起きた場合のBCPマニュアルを策定しましょう。
なぜなら、地理的条件のために自然災害による要因によって事業活動が継続できなくなる可能性が高いからです。

自然災害に対するBCPマニュアルでは、次のような項目についての手順をまとめましょう。

  • 避難訓練の方法
  • 被災時の指示系統について
  • 被害状況の確認方法(施設・設備の被害、停止してしまった事業など)
  • 従業員の安否確認の方法
  • 避難・人命救助の方法
  • 人的リソースをどう確保するか(出勤できない社員への対応、代替要員の確保の方法)
  • システムやデータの復旧方法

外的要因

厳密にいえば、前項の自然災害も外的要因の一つですが、BCPにおける外的要因とは、パンデミック、テロや暴動、原子力事故などの大規模な事故、サイバー攻撃、経済危機などのことを指します。

外的要因に対するBCPマニュアルでは、「自然災害」で挙げた項目に加え、次のような項目についての手順をまとめましょう。

  • 代替拠点の確保方法
  • 代替の仕入先リスト
  • 復旧のための資金調達の方法
  • 顧客、株主などへの説明項目、通知方法(サイバー攻撃を受けた場合)

内的要因

BCPにおける内的要因とは、社内不祥事やヒューマンエラー、システム障害、労働災害(労災)などを指します。

内的要因に対するBCPマニュアルでは、次のような項目についての手順をまとめましょう。

  • 人的ミス防止のための対策
  • 労災を防止するための安全対策
  • バックアップシステムの準備
  • 内部監査の体制構築

BCPの策定方法

BCPを策定し、上記のようなマニュアルを作成するには、どのような方法があるでしょうか?
自社で作成する方法のほかに、外部へ委託する方法があります。

BCPガイドラインを参考に作成する

内閣府の防災担当が平成17(2005)年に「事業継続ガイドライン 第一版」を発表しており、翌年、中小企業庁も「中小企業BCP策定運用指針」を公開しています。

こうしたBCPのガイドラインを参考にしながら、自社の実情に合わせてオリジナルのBCPを策定することで、企業のBCP対策に必要な要素を網羅しながら、自社のニーズに合った内容のBCPを策定することができるでしょう。

外部に委託する

自社で作成する人的リソースがないという場合は、社外へアウトソースするという方法もあります。
具体的には、BCPコンサルタント、もしくは、士業など各分野の専門家に依頼することが可能です。

外部に委託することで、短期間で精度の高いBCPを策定できます。
デメリットは、費用がかかる点です。企業規模や業種、マニュアルの種類などによっても異なりますが、大体、数十万円から数百万円が相場となっています。

BCPの策定手順

自社でBCPを策定する場合は、以下の手順に沿って取り組みましょう。

自社に合った方針を決める

「BCP対策の目的」でBCP対策を実施する2つの目的を解説しましたが、その根本的な目的は「事業を継続するため」です。

ただ、事業を継続する意義は、組織によって少し異なります。企業であれば、利益を上げて株主に還元したり、従業員の生活を維持したりすることは共通しているかもしれませんが、業種・業態、企業理念などによっては、社会的責任を果たすことに比重が置かれている場合もあります。教育機関や医療・介護施設などであれば、なおさらでしょう。

まずは、既存の企業理念やミッション、パーパスなどに沿って、BCPを策定する基本方針を定めましょう。
たとえば、「人命を最優先とする」「顧客へのサービス提供を継続する」「社会的責任を果たす」などです。

自社の事業分析・優先事業を決める

非常事態の際は、平常時に行っているすべての事業を継続することが困難になることも十分に考えられます。
そこで、復旧・継続すべき事業の優先順位を決定すべく、現状の事業分析を行う必要があります。

事業の重要度を評価する際は、各事業の売上高や利益、従業員数、取引先の数、顧客数などを考慮しましょう。
さらに、各事業について、非常事態の種類ごとに、想定される事業の停止期間、損失額、顧客への影響などを試算します。

どのような被害が及ぶか損失の分析をする

前項の「自社の事業分析・優先事業を決める」と前後して、非常時に組織全体や各事業に、どの程度の被害・損失が及ぶかを分析しましょう。

事業ごとに非常時のリスクを洗い出し、各リスクの発生頻度や影響度を評価し、損失を金額化します。

BCPを検討・策定する

ここまでの準備が整ったら、非常事態でも事業を止めないための予防策や、いざ事業がストップしてしまった際に復旧する手順など、具体的なBCPを策定します。併せて、策定したBCPを発動する基準も決めておきましょう。

さらに、発動後の体制も定めましょう。実際に事業の復旧・再開に向けて活動する組織(チーム編成)や指揮者を決めて、全体へ周知します。必要に応じて、非常事態を想定した訓練も実施すると良いでしょう。

BCP対策を運用するときのポイント

BCPを策定したら、非常事態にスムーズかつ効果的に活用できるように、次の2つのポイントに沿って運用しましょう。

従業員へ共有し、教育や対応訓練を実施する

繰り返しになりますが、BCPを策定した後は、社内の従業員や取引先、株主などのステークスホルダーへ周知しましょう。

特に、実際に復旧活動を担う従業員には、内容を理解してもらう必要があります。説明会や研修、訓練などを通して、いざという時にスムーズに動けるように備えます。

継続的な見直しと改善を行う

説明会や研修で、参加者から出た質問や意見、訓練時に明らかになった欠陥などをBCPへフィードバックし、改善へつなげましょう。

また、時間の経過とともに、策定した内容が実情と合わなくなってくることも考えられます。
環境の変化により、優先的に継続したい事業や、事業を継続するに当たり課題となる要素も変わる可能性があります。継続的に見直し、改善を行うことで、時代の変化に合った、精度の高いBCPを維持できます。

感染症対策を盛り込む

BCPを策定する際に、特に留意しておきたいのが、感染症対策についても盛り込むということです。
2020年頭から日本でも猛威をふるった新型コロナウイルス感染症の拡大は、2023年5月 8日に感染症法上「5類感染症」に位置づけが変更され、ひとまずは落ち着いていますが、「第9波」の懸念も広がっています。

パンデミックは数十年の周期で発生するといわれています。新型コロナウイルス感染症が収束したからと安心するのではなく、この機会に、次の感染症拡大を見越して、今のうち備えておくことが重要です。

感染症対策のBCPとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 感染症リスクの分析・特定
  • 出社時の検温や健康チェックの実施
  • 感染症対策の研修の実施
  • マスクや消毒液などの備蓄品の確保

なお、新型コロナウイルス感染症の「5類感染症」への位置づけ変更について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

【関連記事】

―まとめ

BCP対策の重要性について解説してきました。
ご紹介してきたように、BCPの対象となる非常事態には、自然災害のほかに、外的要因、内的要因があります。
特に、外的要因の一つである感染症については、新型コロナウイルス感染症が「5類感染症」へと位置づけが変更されたこともあり、ほっと一息つけるフェーズに入りましたが、将来的に再度、パンデミックが発生する可能性は高いです。

貴社では、BCP対策に取り組んでいらっしゃいますか?
BCP対策に取り組むことは、自社の未来のビジネスを守ることにつながります。もし、これまでBCP対策に取り組んでこなかったという企業様も、この機会に今できる対策、将来に向けた対策をぜひ進めてみてください。

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