日常清掃によるリスク軽減

毎日行わなければならない環境衛生に「日常清掃」があります。日々多忙を極めるみなさまは煩雑さを感じる業務かもしれませんが、感染対策を考える上では重要な取り組みです。
日常清掃をしっかり行うことで、感染リスクを抑えましょう。

環境衛生の基本

環境衛生の基本は「清掃による汚染の除去」です。1)そのために洗浄剤を用いた湿式清掃を実施しましょう。
医療施設については、患者様が出入りする院内全般に対して毎日の清掃が必要であるとされています。1)また、どのような環境表面の消毒についても、高水準消毒薬は使用しないことが推奨されています。2)

これらのことは、厚生労働省の「医療施設における院内感染(病院感染)の防止について」や米国CDC(Centers for Disease Control and Prevention:疾病管理予防センター)の「Guidelines for Environmental Infection Control in Health-Care Facilities(2003)」が示すとおりです。

なお、環境衛生は「日常清掃」「定期清掃」「緊急時の清掃」の3つに分類して考えることができます。3)

【日常清掃】
毎日行う清掃です。3)さらに日常清掃は、手が頻繁に触れる部分(以下、高頻度接触部位)と、手が頻繁に触れない部分(以下、低頻度接触部位)に分けて考えます。
 
【定期清掃】
一定期間ごとに行う清掃です。3)例えば、換気口や窓の格子、壁面、カーテンなどが該当します。
 
【緊急時の清掃】
血液や体液、排泄物などで環境が汚染されたときに行う清掃です。3)

日常清掃でリスクを軽減しよう

ここからは、高頻度接触部位と低頻度接触部位の清掃についてご紹介します。

高頻度接触部位の清掃について

高頻度接触部位は「コンタクトポイント」とも呼ばれ、例えばドアノブ、ベッドの手すり、オーバーテーブル、ライトのスイッチ、ナースコール、医療機器、病室のトイレの中やそのまわりの表面などが該当します。

多くの人が触れる部位であるため、他の部位に比べて汚染されている可能性が高いと考えられます。そのため、1日1回以上の頻度で清掃することが重要です。1)2)

ただし、種々のマニュアルやガイドラインで具体的な部位と清掃の回数が示されているわけではないため、施設内や部署内で清掃のタイミングや頻度をルール化しておくことも大切です。

[山田夏子KPS1] 高頻度接触部位は「コンタクトポイント」とも呼ばれ、例えばドアノブ、ベッドの手すり、オーバーテーブル、ライトのスイッチ、ナースコール、医療機器、病室のトイレの中やそのまわりの表面などが該当します。

低頻度接触部位の清掃について

低頻度接触部位の代表例として、床が挙げられます。2)

床が血液や体液などで汚染されている場合は清掃と消毒が必要ですが、それ以外の場合は消毒薬を使用せず、1日1回、洗剤を用いて湿式清掃することが求められます。床がカーペットで覆われている場合は掃除機で清掃を行いましょう。2)

また、患者様が退院したタイミングや汚染時など、時期を決めた清掃を行うことも必要です。1)

消毒する場合は、まず洗浄から

汚染した環境表面の消毒を行う際には、事前に消毒範囲をきちんと洗浄しておくことが重要です。4)
①消毒成分は、汚れの中に入り込む働きがない等の理由で、細菌やウイルスが血液などの汚れで覆われている状態では効果を発揮しません。 5)むしろ汚染を拡げてしまう恐れがあります。
②消毒成分はタンパク質を変性または固着させてしまうことがあるので、その後の洗浄が不十分になる恐れがあります。
 
まずは洗浄剤で汚れを除去し、それから環境表面に残った菌やウイルスに対して消毒を行いましょう。これにより衛生的な状態を保つことができます。

消毒する前に洗浄することが重要であることをあらわすイラスト。消毒成分は、汚れの中に入り込む働きが弱く、またタンパク質を変性または固着させるものがあるため、洗浄が不十分になる恐れがある、などの理由で、細菌やウイルスが血液などの汚れで覆われている状態では効果を発揮しない。

消毒する前に洗浄することが重要であることをあらわすイラスト。消毒成分は、汚れの中に入り込む働きが弱く、またタンパク質を変性または固着させるものがあるため、洗浄が不十分になる恐れがある、などの理由で、細菌やウイルスが血液などの汚れで覆われている状態では効果を発揮しない。

消毒する前に洗浄することが重要であることをあらわすイラスト。消毒成分は、汚れの中に入り込む働きが弱く、またタンパク質を変性または固着させるものがあるため、洗浄が不十分になる恐れがある、などの理由で、細菌やウイルスが血液などの汚れで覆われている状態では効果を発揮しない。

参考資料:
1)平成15年度 厚生労働科学研究費補助金分担研究報告書「医療施設における院内感染の防止について」
2)CDC:Guidelines for Enviromental Infection Control in Health-Care Facilities,2003
3)医療機関における院内感染対策マニュアル 作成のための手引き(案)[更新版](160201 ver.6.02)
4)小林 寬伊(2015) 消毒と滅菌のガイドライン へるす出版
5)国立医薬品食品衛生研究所(2015) ノロウイルスの不活化条件に関する調査報告書

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