大阪大学免疫学フロンティア研究センター 招へい教授、大阪大学 名誉教授
宮坂 昌之
新型コロナウイルス感染症の出現後、直接的なエビデンスが無かったにもかかわらず、「日本人の多くは既にこのウイルスに感染している」「日本の社会にはすでに集団免疫がある、だから行動制限やマスク着用は不要」などというコメントが世間を駆け巡った。しかし、実際はどうであっただろうか?mRNAワクチンについても「ワクチン成分が卵巣に貯まるので女性が不妊になる」「ワクチンでできた抗体はすぐに下がるのでワクチン接種は無意味。感染したほうが良い」「欠陥ワクチンだ」などと言われた。一方で、国際的に論文として発表されたデータではこれらの見解を支持するものは非常に少ない。それはどうしてだろうか?ここでは、新型コロナウイルスに対する免疫反応とそれに関する誤解について解説する。
集団免疫とは、はしかやおたふく風邪で見られる現象である。特定の病原体に対して集団の中で免疫を持っている人が一定割合以上居ると、感染するのは一部の人に限られ、集団の大部分には感染が広がらないというものである。あたかも集団全体に免疫が出来上がっていて特定の感染症から守られているように見えることから、集団免疫とよばれる。
これまでの常識では、社会が集団免疫を獲得するためにはその社会の中に一定以上の割合で免疫保有者が存在することが必要で、この最低限の割合のことを「集団免疫閾値」とよび、次のように算出される。
集団免疫閾値(%)=(1−1/R0)x100
ここで、R0とは一人の感染者がまわりの免疫のない人のうち何人に感染させるのかを示す数字である。麻しん(はしか)ではこの値が12~18なので、集団免疫閾値が92~94%となり、集団の9割以上が免疫を持っていないと集団免疫が保てないことになる。これに対して、新型コロナウイルス感染症ではR0が当初は2.5ぐらいと考えられ、そこから60%という数字が出てきた。つまり、新型コロナウイルスでは集団の6割以上が免疫をもっていれば感染が収まるということになったのだが、実際はどうだったであろうか?
欧米諸国では、新型コロナ感染のみで陽性となるN抗体の存在を調べると9割近くが陽性であり、一度N抗体陽性になった人がしばしばその後何度も新型コロナ感染をしている。そして新型コロナ感染症の流行はほとんどの国で年2回(夏と冬)見られている。つまり、新型コロナ感染症では、はしかやおたふく風邪で見られるような強い集団免疫は見られていないのである。それは、新型コロナでは感染でもワクチン接種でもいったん強い防御的免疫を獲得したとしても、それが半年程度しか続かないためである。
問題はどうしてそうなるかである。現在考えられているのは、はしかやおたふく風邪の場合、病原体にもワクチンにも長期に免疫を与える「何か」が含まれているが、新型コロナウイルスの場合は病原体にもワクチンにもそれが含まれていないということである(しかし残念なことに、その「何か」がどんなものか現時点ではわかっていない)。ワクチンは通常、病原体の一部から作るので、病原体に長く免疫を付与する能力があれば、ワクチンにも長く免疫付与できる可能性が高い。一方、病原体にその能力がなければ、ワクチンにも当然その能力がない。つまり、この場合は、新型コロナウイルスという病原体に問題があると考えられ、ワクチンがだめなのではないと考えられる。
ところが、このことが世の中ではほとんど理解されていず、未だに「新型コロナでも多くの感染者が出れば集団免疫ができるのではないか」などという話が一人歩きしている。一方、実情は、世の中の人の多くがワクチン接種を受けてしかも感染をした現在、以前よりはわれわれは新型コロナに感染しにくくなり、重症化率も下がってきている。しかし、それは集団免疫というほどの強いものではなく、新型コロナに対するわれわれの抵抗力が以前よりは少し増しているぐらいであり、一過性のものである。上に述べたように、新型コロナウイルスあるいはワクチンが一時的にしか免疫を与えないために、一度免疫を得た人がしばらく経つとその免疫が減弱し、社会全体としては感染防御ができるような持続的な免疫が得られないのである。この病原体の特徴を正しく知る必要がある。
一部のテレビ番組やSNSでは「新型コロナワクチン接種のために未曾有の数の死者が出ているのでこのワクチン接種はやめたほうがよい」という意見が出ている。一方で、海外でも日本でも「新型コロナワクチンは重症率を下げ死者数を減らす」という論文がいくつも出ている。どちらが正しいのだろうか?
これまでの多くの文献から明らかになっていることは、新型コロナ感染でもワクチン接種でも、どちらにおいても、ウイルスに対して複数種類の防御的免疫反応が順番に動き出し、これによってウイルスがやがて体内から排除されることである(Miyasaka M, Int Immunol, 33(10):507, 2021)。すなわち、最初に自然免疫というわれわれが生まれつき持っている免疫(=ウイルスや細菌など多様な病原体に対して働く免疫システム)が働き、次に獲得免疫(=感染経験とともに得られ、生後に獲得する免疫システム)が働く(図1)。
自然免疫が強く働く人では、獲得免疫を動かすことなしに自然免疫だけでウイルスを排除できる。事実、イギリスで青年ボランティアに対して新型コロナウイルス人為的投与実験が行われたが、ウイルス投与を受けた約半数の人たちでは感染が起きず、その後、ウイルスに対する抗体産生も見られなかった(Lindeboom RGH et al, Nature, 631:189, 2024)。これらの人たちでは、ウイルス感染した人たちに比べて、自然免疫がより早く、より強く働いていた。つまりこれらの人たちでは、自然免疫がうまく働いたことにより獲得免疫を動かすことなしにウイルスを排除できたと考えられる。一方、自然免疫だけではウイルスを排除できなかった人たちでは、獲得免疫が働き、リンパ球の一種であるB細胞がウイルス排除に働く抗体を作り、同じくリンパ球の仲間であるT細胞がウイルス感染細胞を排除する(図1)。ただし、B細胞が作る中和抗体(=ウイルスの働きを中和し、ウイルスを排除する抗体)は新型コロナの場合、時間とともに作られる量が大きく減る。そして、最近のオミクロン株に対しては抗体の中和能力も大きく下がっている。これは、オミクロン株のスパイク蛋白質部分(=ヒトの細胞に結合する部分)に多くの変異が入り、ウイルスがヒトの細胞に感染しやすくなっているとともに、抗体自体がウイルス変異株に結合しにくくなっていて、ウイルスを中和しにくくなっているからである(Cao Y et al, Nature, 602(7898):657, 2022)。
図1 病原体が侵入すると、先に自然免疫が働き、次に獲得免疫が働く
自然免疫は複数の病原体に働くやや広い免疫であり、獲得免疫はT細胞、B細胞などのリンパ球が主役であり、特定の病原体にピンポイントで働く強い免疫である。
ただし、ウイルス防御に働くのは中和抗体だけではない。たとえ中和活性がない抗体であっても、抗体の上に補体という血中に存在する生理活性物質が結合すると、抗体・補体の複合体がウイルスに結合して、ウイルスを溶かしてしまう。あるいは抗体がウイルスに結合すると、食細胞がウイルスと抗体の複合体を異物として認識し、それを細胞内に取り込み、ウイルスを殺すので、ウイルスがからだから排除されることになる。したがって、オミクロン株になってから中和抗体が効果的に働きにくくはなっているものの、中和抗体以外の抗体は確かにウイルス排除のために働いている(Zhang A et al, Nat Rev Immunol, 23(6):381, 2023、Paciello I et al, 9(98):eadp9279, 2024)。さらに、獲得免疫の重要な構成成分であるT細胞(=リンパ球の一種)は、変異株も今まで通り認識して殺すので、変異株流行時であってもウイルス感染細胞の排除に効果的に働く(Sette A et al, Ann Rev Immunol, 41:343, 2023)。
このために、現在使われているメッセンジャーRNAワクチンは、今流行中のオミクロン変異株に完全にマッチしたものではないが、それでも感染防御、重症化防御にかなり役立っている(Tartof SY et al, JAMA Int Med, 184(8):932, 2024)。新型コロナウイルス感染における抗体とT細胞の役割については、紙幅の関係から、図2に短くまとめた。
図2 新型コロナウイルス感染における抗体とT細胞の役割
●中和抗体はウイルスに結合して、感染というプロセスを阻止する
●中和活性がなくても抗体はウイルスに結合し、食細胞への取り込みを促進する
●抗体は感染細胞にも結合して、細胞傷害や食細胞への取り込みを促進する
●ただし、抗体は変異に弱い(変異により、結合できなくなることがある)
●T細胞はウイルスではなくて感染細胞を認識する(=感染自体は防げない)
●T細胞は感染が起きてから感染細胞の認識と除去に働く(=重症化を防ぐ)
●T細胞は変異ウイルスでも認識できることが多い
ワクチン接種により、抗体が作られ、さらに、T細胞の働きが強化される
抗体とT細胞の両方が働くと、からだからウイルスが排除されるようになる
では、ワクチンは重症化をどのぐらい予防できるのだろうか?図3に示すのはアメリカで得られたデータである(Marks & Califf, JAMA, 331(4):283, 2024)。図3Aと図3Bはそれぞれ、デルタ株流行時、オミクロン株流行時の人口100万人当たりの死亡率を対象者の年代別にワクチン未接種者と接種者の間で比べたものである。これを見ると、デルタ株流行時はワクチン未接種者では50才以上の年代層で大きく死者数が増えていたが、接種者ではどの年代層でも死者数が数分の1に減っていた。また、オミクロン株流行時ではデルタ株に比べて死者数が大きく減っていたが(図の縦軸がBはAの10分の1となっていることに注目)、接種者の死者数は非接種者に比べてやはり数分の1に減っていた。つまり、アメリカでは、デルタ株やオミクロン株の流行時でも、ワクチン接種者では非接種者に比べて明らかに死者数が減少していたのである。
図3 デルタ株、オミクロン株流行時における人口当たりの死者数:各年代層でのワクチン未接種者と接種者の比較
2021年10月時点のコロナ致死率(デルタ株)
2023年4月時点のコロナ致死率(オミクロン株)
原典(Marks & Califf, JAMA, 331(4):283, 2024)から一部のデータを抜粋した。
そして、ワクチン接種によって救われた人の数は、疫学的解析から、ワクチン接種初年度だけで世界で2千万人近くであろうと推測されている(Watson OJ et al, Lancet Infect Dis, 22(9):1293, 2022)。これらのことから、新型コロナワクチンは、接種により得られるベネフィットがリスクよりずっと大きく、重症化予防に関してはこれまでのところ大きな役割を果たしてきたと判断できる。
ただし、このワクチンは、接種後の局所の痛み、腫れや、全身性の副反応(ex.発熱、頭痛、筋肉痛、疲労感など)が他のワクチンに比べて強めであることから、多くの人にとっては好んで何度も受けたいというものではなかろう。しかも上記のごとく、免疫が付与される期間が比較的短く、感染を完全に防げるわけではない。さらに、重篤な副反応が出る頻度が100万回接種で数回から10回程度ある。この頻度は、実は他のワクチンと同程度なのであるが、ゼロリスクでないことは確かである。これに関して、2024年5月に米国科学アカデミーが成人の新型コロナメッセンジャーRNAワクチン接種に対する安全性評価の結果を発表した(表1)。その結果、ギランバレー症候群、女性不妊を含む6つの疾患に関してはワクチンとの因果関係はなしと結論された。また、心筋炎に関しては因果関係ありとしたが、実際の発生頻度はきわめて稀であると結論された。
これらのことから、現在使われている新型コロナメッセンジャーRNAワクチンによる重篤な副反応はきわめて稀であると判断されるが、現在よりも安全性が高く、効果の持続性があり、副反応の少ないワクチンの開発が必要であることは間違いない(Miyasaka, Front Immunol, 13:1041025, 2022)。
表1 米国科学アカデミーによる新型コロナメッセンジャーRNAワクチンの安全性評価結果まとめ
2024年5月、米国科学アカデミーはこれまでに公表された新型コロナメッセンジャーRNAワクチンの副反応報告を詳細に調べた結果を報告書として発表した(https://nap.nationalacademies.org/read/27746/chapter/2#6)。そこから一部のデータを抜粋した。
新型コロナ感染症の現在の大きな問題の一つは後遺症の存在である。しかもブレインフォグや記銘力低下などの神経系の後遺症がしばしば見られる(Cai M et al, Nat Med, 30(6):1564,2024)。幸い、当初の武漢株の時に比べて、デルタ株、オミクロン株などの変異株では後遺症の発症頻度は下がり、ワクチン接種が後遺症発症リスク軽減に有効であることがわかっている。一方で、オミクロン株感染であっても感染から1年の時点で約3.5%の人が後遺症を持っている(Xie Y et al, New Engl J Med, 391(6):515, 2024)。特に新型コロナ感染の際に重症化した人たちでは、ワクチン接種をしていても後遺症の発症リスク、重症度や死亡率が高い傾向がある(Cai M et al, Nat Med, 30(6):1564, 2024)。また、自覚していなくても認知障害が高い頻度で感染後に出現しているという報告がある。イギリスからの論文では、新型コロナウイルス感染後に後遺症がなかった人たち(年齢分布:48.8才±10.1才)では認知障害を示したのは一部のみだったが、感染から3か月の時点で後遺症症状を有していた人たちにおいてはなんと半数以上に明らかな認知障害が見られていた(Zhao S et al, eClin Med, 68:102434, 2024)。
このような後遺症をもたらす原因の一つとして考えられているのがウイルスの持続感染であり、それによる炎症反応と組織の損傷である。実際、ウイルスの持続感染が起きていることを示す報告は多い。たとえば、新型コロナ後遺症患者で感染から163日目と426日後に、虫垂、皮膚、乳房組織でN抗原(新型コロナウイルスのヌクレオカプシド蛋白とよばれる構成成分のこと)とウイルスRNAが検出された(Goh D et al, Front Immunol, 13:939989, 2022)。また、感染から110日目、196日目で、嗅覚消失を訴える患者から採取された鼻腔上皮にN抗原とウイルスRNAが検出された(De Melo GD et al, Sci Transl Med, 13:eabf8396, 2021)。さらに、新型コロナ後遺症患者の約6割で血中にスパイク抗原が検出されたが、後遺症を示さない患者ではすべて陰性であった(Swank Z et al, Clin Infect Dis, 76(3):e487, 2023)。これらの報告は、少なくとも一部の感染者ではウイルスが活動性をもちながら体内に存在し、持続感染が起きている可能性を示唆している。
これに加えて、最近、コロナ感染後の患者では活性化T細胞が長期にわたって炎症を起こしている可能性がある。Pelusoらは新型コロナ後遺症患者の体内で何が起きているのかを調べるために、活性化Tリンパ球を特異的に識別する放射性トレーサーを用いて、新型コロナ感染後27~910日に24人の患者を対象にPETイメージングを行った(Peluso MJ et al, Sci Transl Med, 16(754):eadk3295, 2024)。その結果、後遺症患者では、脳幹、脊髄、骨髄、リンパ組織、心臓、肺、腸などの多くの組織に活性化T細胞が検出され、これはコロナの症状が消失した患者でもしばしば観察されたが、一方で新型コロナ感染を起こしていない人ではほとんど観察されなかった。また、症状のある後遺症患者では、脊髄と腸管壁に活性化T細胞が持続的に存在する傾向があり、肺の症状が持続する患者では肺下部に活性化T細胞の存在が観察された。そして、一部の患者では感染から2年経った後でも大腸に新型コロナウイルスが継続して存在していた。つまり、新型コロナ感染後では、症状が消えてすでに治癒したと思われた人たちでも神経系や腸管を含む種々の組織で持続的にT細胞が活性化されていて、特に後遺症症状を示す人でこの傾向がよりはっきりと見られ、一部の後遺症患者では感染から約2年経った後でも実際にウイルスが持続的に存在することが示唆された。
このような報告は、新型コロナウイルスが一部の症例では持続的に体内に存在しそのためにT細胞が活性化されてそれが組織を持続的に傷つけている可能性を示す。通常は、新型コロナウイルスが体内に侵入しても、上に述べたごとく、ウイルスに対する中和抗体や非中和抗体がウイルス自体の排除に働き、さらにT細胞がウイルス感染細胞を排除するのだが、一部の人ではワクチン接種をしていてもウイルス排除が完全にはできないようである。それはなぜなのだろうか?
この理由はまだわかっていないが、一つの可能性はこれらの人々ではT細胞であってもウイルス排除できない炎症性のタイプのものが活性化されて体内で増えていることである。実際、新型コロナ感染が体内のT細胞分化に影響してそれが半年以上も続き(Govender M et al, Front Immunol, 13:931039, 2022)、特に後遺症患者では炎症部位に入り込みやすいT細胞が体内で増えていることが最近報告されている(Yin K et al, Nat Immunol, 25(2):218, 2024)。
欧米先進国の状況を見ると、どの国においても新型コロナ感染症の流行が続いていて、夏と冬の2回流行が起きる傾向がはっきりしている。また、新型コロナウイルスはすでにヒト以外の動物種にも感染が広がっている(Goldberg AR et al, Nat Comm, 15(1):6210, 2024)。このことから、このウイルスの流行が収束する可能性は当分の間きわめて低いと思われる。
それではわれわれはどのように対処したらよいのだろうか?もっとも大事なことは、短時間に大量のウイルスに暴露されないようにすることと、このウイルスに対する免疫を維持することの二つである。前者のためには室内の換気励行がもっとも大事なことであり、要時のマスク着用も念頭に置くべきである。後者のためには変異株に効果を示すワクチンの追加接種が大事である。接種回数が増えるにつれてワクチン接種者の死亡リスクが下がることがわかっているので、高齢者や持病を有するハイリスクの人たちではワクチンの追加接種をすることが望まれる。
それと追加接種ではもう一つ重要なことがある。これはあまり知られていないことだが、実は、新型コロナワクチン接種で作られる抗体量に大きな個人差がある。アメリカでワクチン接種後の血中のスパイク蛋白質に対する抗体価が経時的に測定された(図4:Srivastava K et al, Immunity, 57(3):587, 2024)。それを見ると、ワクチン1回接種者では新型コロナ感染経験のある人のほうが感染経験のない人よりも多くの抗体を作る傾向があるが、感染経験者、非経験者のどちらの群においても、血中に出現する抗体量には大きな個人差があることがわかる。ところが3回、4回と接種回数が増えるにつれて血中抗体価の個人差が少なくなり、感染経験のない人たちでも高い抗体価を示す頻度が高くなっている。つまり、ワクチン接種で誘導される抗体量は、1回接種では個人差が大きいが、接種回数がふえると個人差が小さくなり、やがてほとんどの人で高い抗体価を示すようになる。追加接種が重要であることがここでもわかる。
図4 ワクチン接種により変動するスパイクタンパク質に対する抗体価
図中のドットは個々のワクチン接種者を表す。ワクチン接種により誘導される抗体量は個人差が大きいが、接種回数が増えると個人差が小さくなり、ほとんどの人で血中抗体価が高いレベルで維持されるようになる。原典(Reprinted from Immunity, 57(3), Komal Srivastava et al., “SARS-CoV-2-infection- and vaccine-induced antibody responses are long lasting with an initial waning phase followed by a stabilization phase”, 587-599.e4, Copyright (2024), with permission from Elsevier. https://www.sciencedirect.com/journal/immunity)から一部のデータを抜粋した。
新型コロナウイルスの感染勃発が始まってもうすぐ5年である。この間、新型コロナ感染症やワクチンに関して多くの誤解が生まれ、その誤った情報がしばしばSNSなどを通じて拡大、拡散されてきた。一方で、このウイルスについては多くのことが明らかになってきた。そして、メッセンジャーRNAワクチンが開発されてからは新型コロナ感染者の死亡率が大きく下がった。上に述べたように、感染流行時の死亡率は接種者のほうが未接種者の数分の1とかなり低くなったのである。ただし未接種者集団でも以前(当初の武漢株流行の時)よりは死亡率が下がっていたことから、ウイルスそのものの変化もこれに寄与していることは間違いない。このために感染者がばたばたと亡くなるような状況はなくなった。一方で、新型コロナウイルス感染後の後遺症の程度や発症頻度、さらには後遺症による経済的損失の程度を見ると、この感染症がただの風邪程度のものではないことが明らかである。「敵に勝つ」ためには、正しいエビデンスを得て「敵を正しく知る」ことが必要である。
Contact
サイトの掲載内容に関するお問い合わせ、製品に関するご不明点などは下記からお問い合わせください
営業時間/9:00~12:00、13:00~16:00
(土・日・祝日・年末年始・夏季休業を除く)
ご返信できますようお客様の氏名、
電話番号、ファクシミリ番号をご記入下さい
お電話の混雑状況によって、つながりにくい場合がございますので、
メールによるお問い合わせも併せてご利用ください。
ご不便とご迷惑をおかけいたしますが、ご理解賜りますようお願い申し上げます。
製品の誤飲・誤食、製品が目に入ったなど、緊急の場合は、すぐ医療機関にご相談ください。
また、製品サポート・Q&Aもご参照ください。