お客様の声
花王プロフェッショナル・サービスは2019年8月24日、北海道札幌市にて「手指健康セミナー」を開催。同セミナーでは、日鋼記念病院で感染管理認定看護師として従事されている矢口加奈子氏をお招きし、手指衛生と手荒れ対策に関する取り組みについいてご講演いただきました。
本記事では、同講演でご紹介いただいたお話の中から、主に手荒れ対策の一環として同施設が実施したEX-CAREコンパクト導入の取り組みをご紹介します。
講演者プロフィール/矢口加奈子(やぐち・かなこ)氏
日鋼記念病院 感染制御室/感染管理認定看護師
2001年、日鋼記念病院に入職。2007年に院内感染対策コアスタッフ(リンクナース)修了。2018年に感染管理認定看護師資格を取得し、以降、同施設の感染制御室で勤務している。
日鋼記念病院には院長直轄の組織として感染制御室があり、その下部組織としてICT(Infection Control Team)が設置されています。ICTに従事する感染管理認定看護師は専任のスタッフ様が1名と、ICUと兼任している矢口氏の計2名。さらに看護課長2名、看護主任4名を加えた計8名で構成されています。
さらにICTの下部には、感染対策に参加する多職種(病棟や外来の看護師スタッフ様、リハビリテーションや放射線科のコメディカルスタッフ様など)で構成された「感染対策コアスタッフ」が設置されており、現場における感染対策を実行しているそうです。
ICTは感染対策に関する研修の実施に加え、上述した感染対策コアスタッフの養成、ラウンドでの指導などを行っています。以下に示すのは、同施設でこれまでに行われてきた手指衛生に関する取り組みです。
【手指衛生に関連した取り組み】
▼2006年
▼2007年
▼2008年
▼2010年
▼2011年
▼2014年
▼2015年
▼2016年
上記のうち、2011年に開始した手指消毒剤の使用量測定については、以下のように病棟の使用量をグラフ化し、施設内のイントラネットに毎月掲載してフィードバックを行っているといいます。
患者1人当たり使用量=(手指消毒剤使用量/のべ入院患者数)
上記は2019年1~7月における一般病棟の手指消毒剤使用量をグラフ化したものですが、ほぼ全ての病棟が2018年の平均使用量を上回っていることが分かります。
ただし、こうした手指衛生に関する取り組みを強化することで生じるのが、スタッフ様の手荒れに関する課題。同施設でも、ノンアルコール手指衛生剤の導入やハンドケアに関する指導、スタッフ様の手荒れ状況に応じた手指消毒剤の払い出しといった対策が講じられています。
その一環として、同施設は2017年と2018年に手指洗浄剤の変更を実施しました。
同施設が手荒れ対策として新たな手指洗浄剤を導入したのは、2017年10月。それまでは液体タイプの手指洗浄剤を使用していましたが、泡タイプであるソフティ薬用泡ハンドウォッシュ コンパクトに変更しました。しかし、手指洗浄剤変更後も「手荒れが続いた」というスタッフ様が少なからずいたといいます。
「流水で手を濡らさず、直接石けんを付けて擦るスタッフがいたのは問題だったと思います。また、当時使用していた製品との相性も一因だったのではないかと考えています。」(矢口氏)
こうした状況を受けて矢口氏が新たに検討した手指洗浄剤が、EX-CAREコンパクト 泡ハンドウォッシュでした。試用の実施を行うに至った理由は、同製品に以下の特徴があったからだといいます。
【検討理由となったEX-CAREコンパクトの特徴】
EX-CAREコンパクトのサンプル実施後、矢口氏は18看護単位のスタッフ様を対象にアンケートを実施。その結果、当時導入していた手指洗浄剤を使用して「手荒れをしたことがある」と回答したスタッフ様が50%以上いたのに対し、EX-CAREコンパクトを使用して手荒れがあったかという問いには80%以上の方が「ない」と回答したそうです。
サンプルを行いアンケートを実施
(2018年9月)
またサンプル後、スタッフ様からは以下の感想が寄せられたといいます。
【スタッフ様の感想】
さまざまな意見が出たようですが、アンケートの結果が決め手となり、2018年10月から導入が開始されています。
「1プッシュでしっかり泡立つこと」はEX-CAREコンパクトの特長の一つですが、製品導入後に矢口氏がラウンドを行ってみると、2~3プッシュして使用しているスタッフ様がいることが分かったといいます。
こうした状況を踏まえ、手洗いに関する研修ではKPS提供のDVDを必ず使用し、「1プッシュでしっかり洗える製品であること」を説明しているそうです。また、まず流水で汚れを落とす手順が抜けている(または不足している)ことから「1プッシュでは足りない」と感じるケースもあるといい、そうしたスタッフ様には「流水手洗いを行ってからEX-CAREコンパクトを使用するように」と伝えているそうです。
「現在導入しているEX-CAREコンパクトはポンプタイプですが、専用オートディスペンサーでのサンプリングも行ったところ、ポンプタイプを使い切るまでの期間が1カ月ほどだったのに対し、1カ月半ほど使っても使い切らなかったので、より1プッシュ使用ができていると捉え、オートディスペンサーの導入も検討したいと考えています。」(矢口氏)
手指衛生や手荒れ対策に関するさまざまな取り組みを行ってきた同施設。こうした取り組みを「医療従事者として基本的に行わなければならない看護技術」と表現した一方で、矢口氏は「一度や二度の指導では現場で生かされないことがある」と話しました。
「スタッフには根気強く指導を続けなければなりません。研修やラウンドなどで指導したことが現場で実施されているか、コアスタッフを通して常に確認することが必要だと考えています。」(矢口氏)
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