感染対策担当者のみなさまには、院内外を問わず勉強会や研修を行う機会が多いかと思います。その際、スライド資料を用いて発表や講義を行うことも多いと思います。
内容を聞き手の方々に理解していただくには、効果的なスライド資料を作ることが重要です。
ここでは、勉強会や研修を行う際に役立つ、スライド資料づくりのコツをご紹介します。
スライド資料を作り始める前に、まずは発表の目的やテーマを設定し、構成を作ることが肝心です。
※以下、スライドを作成する方を「発表者」、勉強会や研修を受ける方々を「聞き手」と表記します。
初めに、「なぜその発表を行うのか」という目的を定めることが重要です。聞き手に何を理解・納得してほしいのか、発表後どのように行動してほしいのかを明らかにしましょう。このとき、聞き手の「課題や願望」を明確にすることもポイントです。
次に「テーマ」を考えます。ここで留意したいのは、テーマは必ずしも発表者の「伝えたいこと」とは一致しないということです。聞き手が求めていることを無視してしまうと、「物足りない」「ためにならない」と思われる発表になりかねないためです。
そこで、目的を定める段階で明らかにした聞き手の「課題や願望」を起点に、テーマを設定します。聞き手の求める情報とテーマをリンクさせれば、少なくとも「見当違い」と思われるような発表は回避できますし、満足度向上にも役立ちます。
テーマを設定したら、必要な情報を集めて整理します。情報を整理する際は、伝えるメッセージに「根拠」を添えるよう意識することがポイントです。発表に説得力を持たせるために、「なぜ◯◯が重要なの?」「なぜ△△を実施しなければならないの?」といった聞き手の疑問を想像し、根拠となる情報を用意しましょう。
必要な情報が出揃ったら、「どのような順序で発表するか」を考えます。構成を練る手法はいろいろありますが、「イントロダクション(導入)」「ボディ(本題)」「クロージング(まとめ)」の三部構成が基本です。
この構成要素を基本形として、発表の目的に応じて具体的なアウトラインを定めましょう。
例えば、構成要素を細分化することで、より流れを定めやすくなります。
ここからは、実際にスライド資料を作成する際のコツをご紹介します。「理解を促すためのコツ」「見やすくするためのコツ」「その他の工夫と注意点」のそれぞれについて見ていきましょう。
1枚のスライドに載せるメッセージ(伝える内容)は、一つに限定しましょう。情報を詰め込みすぎると聞き手が「どれが重要なの?」と混乱するだけでなく、印象にも残りづらくなってしまいます。
【悪い例】
【良い例】
上記のように1スライド1メッセージにすると、聞き手の方々の印象に残りやすくなります。ただし、研修資料として紙で配布する場合は枚数が多くなってしまうため、複数のスライドを1枚の紙にまとめてメモ欄を付けたり、配布用として別のデータを用意するとよいでしょう。
テキストは簡潔で短く、シンプルにすることが大切です。大量の文字を1枚のスライドに載せると、聞き手は読み取ることに必死になり、肝心の発表者の話が耳に入らなくなります。意味が重複している文章や、書かなくても意味が通るような文章は削りましょう。また、言い換えたり分割したりすることで文章を短縮できないか考えてみるのもコツです。
【悪い例】
【良い例】
あいまいな表現や抽象的な表現を使うと、聞き手が適切な「程度」を理解できなかったり、誤解してしまったりする恐れがあります。もちろん文脈や補足情報の有無などにもよりますが、意識すべきポイントの一つです。
スライド内のテキスト・イラスト・図表などの要素に関連性の高い組み合わせがあれば、それらを近くに配置することで、聞き手は内容をより理解しやすくなります。反対に、関連性の低い要素は遠くに配置するようにしましょう。
【悪い例】
【良い例】
一つの資料には複数のスライドが含まれていますが、中には同一の役割を果たすスライドもあるでしょう。そのような場合は各スライドのレイアウトを統一するのがポイントです。聞き手が「情報が提示されるルール」を把握し、内容を理解しやすくなります。
【悪い例】
【良い例】
上述のようにスライド間のレイアウト統一も大切ですが、1スライドの中にある要素の位置を揃えることも、見やすい資料を作るためのコツです。テキスト、図表、画像、囲みの装飾など、すべての要素に同じことが言えます。
【悪い例】
【良い例】
上で「テキストはシンプルにすることが大切」とお伝えしましたが、それを実践したとしても、テキストを隙間なく敷き詰めれば見づらいスライドになってしまいます。画像や図表など、その他の要素も同様です。余白をとることで圧迫感を減らしましょう。
【悪い例】
【良い例】
テキストを読みやすくするには、「フォント」「サイズ」「装飾」の使用ルールを定めることが大切です。全スライドに適用するルールとしましょう。
明朝体は読みづらいため、スライドではゴシック体を使用するのが無難です。特別な狙いがなければフォントは統一しましょう。
スライドには「タイトル」「見出し」「本文」「注釈」などの要素がありますが、それぞれの使用サイズを統一すると見栄えがよくなります。スクリーンの大きさや聞き手の距離によって見え方が変わるため推奨サイズを一概にお伝えすることはできませんが、各要素のジャンプ率(テキストの大小の差)を高めに設定するのがコツです。
【ジャンプ率が低い】
【ジャンプ率が高い】
テキストの主な装飾である「太字」「下線」「斜体」「影」の使用ルールを定めましょう。例えば、「太字はタイトル、見出し、強調したい箇所に使用する」「下線と影は一切使用しない」「斜体は英文の強調したい箇所にだけ使用する」というようなイメージです。このルールが定まらないと強調箇所が分かりづらくなり、見た目も煩わしい印象になってしまいます。
【悪い例】
【良い例】
スライドで使用する色は、大きく「背景色」「文字色」「メインカラー」「アクセントカラー」に分類できます。1スライドで使用する色数を5色程度に抑えると、全体にまとまりが出ます。
それぞれの色は、以下の視点で決めると良いでしょう。
薄い色を敷くこともありますが、その場合は後述する「文字色」「メインカラー」「アクセントカラー」との相性を考慮しなければなりません。特別なこだわりがなければ、背景色は最も使いやすい「白」にしましょう。
文字色は「黒」でも問題はありませんが、「濃いグレー」もおすすめです。スライドを投影する環境(聞き手にとっての閲覧環境)にもよりますが、背景色を白とした場合、その反対色である黒を載せると目が疲れることがあるためです。
なお、文字の背景にメインカラーを敷く場合の文字色は、背景色と同じ「白」にしましょう。また、強調したい文字の色をメインカラーにする手もありますが、その際は「太字」や「下線」などの装飾とどう使い分けるかを考えてください。
メインカラーは、スライド資料全体のテーマとなる色のことです。発表者の方が所属する施設のカラーなど、象徴的な色と同系統のものを使用すると良いでしょう。ただし、「原色」は主張が強すぎるため避けるのが無難です。
メインカラーを選ぶ際は、「文字の背景に敷いた場合」と「文字色として使う場合」の、どちらにも適応できる色にするのがポイントです。
【悪い例】
【良い例】
アクセントカラーは特に強調したい箇所、目立たせたい箇所に用いる色です。メインカラーと補色関係にある色を選択すると際立ちます。色相環の反対側に位置するのが、補色関係にある色です。
必ずしもメインカラーと補色関係にある色を選ぶ必要はありませんが、アクセントカラーの効率的な選び方として参考にしてください。
グラフ化できる数値があれば、積極的に図化しましょう。テキストだけで示すよりも視認性が高まり、聞き手の瞬間的な理解を促すことができます。
【悪い例】
【良い例】
グラフにはそれぞれ特徴があるため、示したいデータに合わせて適切なタイプを選びましょう。以下に代表的なグラフとその特徴を示します。参考にしてみてください。
▼棒グラフ
ある数値の大小を、特定期間内の増減とともに示すことができます。例えば、年間の手指衛生遵守率の変化(特に増減)を1カ月ごとに示したいときなどに向いています。
▼円グラフ
あるデータを構成している複数項目の比率を示せるため、アンケートや意識調査の結果を示したい場合に向いています。例えば「手指衛生は重要だと思うか?」という問いに対する「はい」「いいえ」「どちらでもない」というそれぞれの回答の割合を示したいときなどに使えます。
▼帯グラフ
あるデータを構成している複数項目の比率を示せる点は円グラフと同じですが、さらにそのデータを期間別に示すことができます。例えば、手指衛生の重要性に関する質問の回答「はい」「いいえ」「どちらでもない」の割合の変化を、月や年ごとに示すことができます。
▼折れ線グラフ
特定期間内におけるある数値の変化を、異なる数値の変化量と同時に示すことができます。例えば、「手指消毒実施回数」と「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の新規検出率」を紐付けて示したいときなどに使えます。
「伝える内容の理解を促すため」「具体例を示すため」といった目的がない場合は、原則としてイラストや写真の使用は控えましょう。スライドで伝える内容と関係のないイラストや写真は、聞き手を混乱させる原因になり得ます。
ご存知のように、スライドではアニメーションを利用できます。聞き手の興味をひく効果的な機能ではありますが、使いすぎると聞き手の注意が発表内容ではなく「動き」に移ってしまう恐れがあります。特に強調したい箇所など、「ここぞ」という部分にのみ使用することをおすすめします。
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