• 食中毒予防

食中毒の種類と症状 | 飲食店が知っておくべき基礎知識

食中毒が発生しやすい季節は?

突然ですが質問です。日本国内で食中毒が一番多く発生するのは何月だと思われますか?

多くの飲食店経営者は、「そりゃ一番暑い時期だから真夏の8月じゃないの?うちの店でもスタッフが食材をすぐに冷蔵庫にしまわないと、かなり強めに指導しているよ」とおっしゃることと思います。

でも、実は食中毒は夏だけのものではないのです。むしろ4月や5月、10月などの涼しい時期に夏よりも多く発生しています。びっくりですよね。

食中毒月別発生状況のグラフ。平成30年から令和2年の発生件数

食中毒月別発生状況のグラフ。平成30年から令和2年の発生件数

食中毒月別発生状況のグラフ。平成30年から令和2年の発生件数

この厚生労働省がまとめている「令和2年食中毒発生状況」を見ても分かる通り、食中毒は1年中発生しています。飲食店経営者としては、「夏は特に食中毒に気をつけろ」ではなく「1年中常に食中毒には気を付けろ」とスタッフを指導しないといけないようですね。

そもそも食中毒ってなに?

では、気軽に口にしている「食中毒」ってそもそも何なのでしょうか?分かりやすく言えば、食中毒とは「細菌やウイルス、有害な物質などがついた食べ物を食べることによって、下痢、腹痛、発熱、吐き気などの症状が出る病気」のことを言います。
ひどいときには食中毒が原因で死亡してしまう例もあります。
 
先ほど「食中毒は1年中発生している」と言いましたが、もう少し細かく分類すると

  • 細菌による食中毒・・・気温が高く細菌が育ちやすい6月から9月頃に多く発生する
  • ウイルスによる食中毒・・・主に冬に多く発生する
  • 自然毒(きのこやフグなど)による食中毒・・・1年中発生する
  • 寄生虫(アニサキスなど)による食中毒・・・1年中発生する

ということになります。いずれにしても食中毒には1年中気を付けておいたほうが良さそうですね。

〈令和2年に多くの食中毒患者を出してしまった主な病因物質〉
細菌・・・特に高温多湿の梅雨時期や夏に注意

  • 腸管出血性大腸菌O157(オーイチゴ―ナナ):患者数6,314人
  • ウエルシュ菌(1事件あたりの感染者数が多く、「給食病」の異名がある):患者数1,288人

そのほかにも、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ菌、カンピロバクターなどがあります。

ウイルス・・・食中毒を引き起こすのはほとんどがノロウイルス。冬を中心に1年中注意が必要

  • ノロウイルス:患者数3,660人

食中毒を引き起こす細菌とウイルスについて、「衛生ナビ」でもくわしくご紹介しています。
ぜひ「衛生ナビ」もご覧ください。 

飲食店が食中毒を引き起こしてしまったらどうなるの

では、実際に飲食店が食中毒を発生させてしまった場合、どうなるのでしょうか?

怖い話ですが、食品衛生法第6条第3号違反(食中毒の発生)により、行政より食品衛生法第55条に基づく営業停止命令、もしくは営業禁止処分を受けることになってしまいます。営業停止命令書を見てみたい方はこちらをご参照ください。

食中毒を発生させてしまうと具体的にどんなデメリットがあるのかを見てみましょう。

営業停止処分・・・営業ができなくなる。売上が入らず、固定費のみが出ていく
風評被害・・・食中毒を出した飲食店だ、といううわさが広まり、営業再開後も客足が遠のく
損害賠償・・・被害にあわれた方の医療費、通院交通費、休業補償費などを支払う必要がある

損害賠償金額は事案によって異なりますが、医療費実費、通院交通費、休業損害、見舞金などの合計で1人あたり3万円~5万円程度になるケースもあります。
 
先ほどウエルシュ菌は「給食病」の異名があるとお伝えしましたが、これは1事件あたりの感染者数が多いからです。もし店で出した煮込み料理が原因で20名の食中毒を起こしてしまった場合、5万円×20名=100万円となり、損害賠償額だけで100万円もの現金がでていってしまう可能性もあります。
 
飲食店においては、「多少食材が古くなっていたり常温で放置していても、高温で煮込めばなんとかなる」などという妄想は捨て、食中毒発生を予防するために、しっかりと対策することが必要です。
 
特にノロウイルスについては感染力が非常に強いウイルスですので、細心の注意を払って対応しましょう。
食中毒発生を予防するための具体的な策はこちらをご覧ください

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