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地域包括ケアシステムとは?生まれた背景と今後の課題について詳しく解説

2024.02.29


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超高齢社会を迎えている日本において、近年注目を集めているのが「地域包括ケアシステム」です。高齢者が自分らしい生活を続けられるよう支援するために開発されました。前例のない速さで高齢化が進むなか、高齢者が如何にして自宅や住み慣れた地域社会で自立した生活を続けることができるかが大きな課題となっています。

本記事では、地域包括ケアシステムの基本的な概念から、生まれた背景、今後の課題について、詳しく解説していきます。

【PROFILE】監修者:マンベンダ奈穂子

資格:
介護福祉士
介護支援専門員(ケアマネジャー)
福祉住環境コーディネーター1級
福祉用具専門相談員

2005年に信州大学工学部(建築)を卒業。福祉リフォームの現場で建築の経験を積む。小規模多機能型居宅介護サービスで、ケアマネ・介護士として、7年間、介護の経験を積み、訪問サービスを含め、生活介護や身体介護に携る。

地域包括ケアシステムとは

地域包括ケアシステムとは、高齢者がたとえ重度の要介護状態になっても、住み慣れた地域で自分らしい生活を続けられるよう設計された包括的な支援・サービス提供体制です。

地域包括ケアシステムは、日本が直面している高齢化問題への対応策として重要な位置を占めています。

地域包括ケアシステムは、単なる医療や介護サービスの提供にとどまりません。高齢者が地域社会のなかで「自主的・主体的な生活」を活動的に送ることを推進するための重要な取り組みとなっています。

地域包括ケアシステムの5つの構成要素

地域包括ケアシステムは、専門的なサービスである「介護」「医療」「予防」と、それを支える基盤としての「住まい」「生活支援・福祉サービス」の、合計5つの要素に分解できます。

ここでは、それぞれの要素の特性について詳しく見ていきましょう。

専門的なサービス「介護」

地域包括ケアシステムにおける「介護」は、主に2つの形態で提供されます。

1つ目は、在宅で利用できる介護サービスです。訪問介護や訪問看護、通所介護など、自宅で生活しながら受けられる各種のサポートが含まれます。施設への通いと自宅への訪問サービスを組合わせて利用できる複合型サービスとして、小規模多機能型居宅介護も提供されています。高齢者が自宅で安心して生活できるよう、日常生活の支援や医療的なケアを提供することが目的です。

2つ目は、施設や居住している場所で提供される介護サービスです。特別養護老人ホームや老人保健施設、認知症共同生活介護、特定施設入所者生活介護など、施設において提供される介護サービスのことです。

専門的なサービス「医療」

地域包括ケアシステムにおける「医療」サービスは、高齢者の健康管理と緊急時の対応をカバーする重要な要素です。かかりつけ医や地域の連携病院、患者の状態に応じた看護サービスなどが含まれます。

日常的な医療ケアと緊急性の高い医療ケアを連携させることにより、高齢者が在宅での生活・入院・退院後の生活をスムーズに行えるよう支援します。実現のためには、関係する医療機関の情報共有が不可欠です。

専門的なサービス「予防」

地域包括ケアシステムにおける「予防」サービスは、介護予防を中心とした重要な要素です。 「予防」サービスには介護予防・生活支援サービス事業と一般介護予防事業があります。

一般介護予防事業は、65歳以上のすべての人が利用でき、保健所や福祉会館で介護予防の知識を学び、通いの場や地域サロンなど、地域の身近な場所で人と人とのつながりを通して介護予防の活動を継続できるように支援するための事業です。

予防サービスによって、介護が必要になる状態となることを遅らせたり、動作にかかる負担を軽減したりすることが期待されており、地域包括ケアシステムにおいて欠かせない要素となっています。

前提としての「住まい」

地域包括ケアシステムにおける「住まい」の概念は、単に自宅のみを意味するのではなく、高齢者が人生の最後まで過ごす場所全般を指します。各種の介護施設も含まれており、高齢者が安心して暮らせる環境を提供することが最重要事項です。

地域包括ケアシステムは、住居を提供するだけではなく、賃貸住宅に居住する際の保証人確保などの手続き支援も提供します。高齢者が安心して住居を構え、生活を続けるためには、多岐にわたるサポートが必要です。

前提としての「生活支援・福祉サービス」

「生活支援・福祉サービス」には、ボランティアやNPO法人によるカフェやサロンの開催・運営・配食サービス・買い物支援などが含まれます。

生活支援サービスは、医療や介護の分野に比べて専門性を要しないため、専門業者だけでなく、自治体や老人会、ボランティアやNPO法人など地域住民の積極的な協力や参加が重要なポイントです。

地域包括ケアシステムの4つの「助」

地域包括ケアシステムにおける支援の基本的な枠組みは、「自助」「互助」「共助」「公助」の4つの「助」に分類可能です。厚生労働省は、4つの概念を通じて、高齢者の自立と社会全体の支え合いを促進する方針を打ち立てています。

それぞれの枠組みについて、以下で見ていきましょう。

自助

「自助」とは、文字通り、自分自身で自分を助けることを意味します。個人が自発的に自身の生活課題を解決する力を指し、地域包括ケアシステムの支えとなる基本的な原則です。自らが自分の健康や福祉に責任を持つことを意味します。健康維持のための運動や趣味活動、社会参加、自己管理の能力などが鍵です。

自助の原則として、高齢者が自分自身の能力と資源を最大限に活用し、自分の生活に積極的に関与することが挙げられます。高齢者が自分らしい生活を維持し、自己実現を図るうえで「自助」は重要な要素です。

互助

「互助」は、地域包括ケアシステムにおいて、家族や友人、クラブ活動仲間など、個人的な関係性を持つ人同士がお互いを助け合うことを指します。

互助の基本は自発的な支え合いであり、制度的な費用負担によって裏付けられるものではありません。たとえば、お茶会を通じた親しい仲間づくり、地域住民同士の日常的な助け合い、自治会など地縁組織の活動などが、互助の具体的な形です。

共助

「共助」は、制度化された相互扶助の形態です。医療や年金、介護保険、社会保険制度など、相互の負担によって成り立っているシステムを指します。

共助の概念は、個々の市民が一定の負担を負うことによって社会全体の福祉を支えるという原理にもとづくものです。すべての人が必要なときに適切なサポートを受けられる社会システムを目指します。

公助

「公助」とは、地域包括ケアシステムにおいて、行政や政府が提供する社会福祉制度のことです。個人や地域社会の努力だけでは解決できない生活課題に対して、公的機関が介入しサポートを提供するという考え方にもとづいています。

基本的に税金を資源として活用し、高齢者福祉事業等の他にも生活困窮者を保護するなど、最終的な生活保障の役割を担うのが公助の役割です。

地域包括ケアシステムが生まれた背景

地域包括ケアシステムが必要とされるようになった背景として重要なのは、日本における急速な少子高齢化です。

2000年(平成12年)に介護保険制度が創設されて以来、要介護で介護サービスを利用する高齢者の数は増加中です。さらに注目すべきは、団塊の世代が75歳以上に達する2025年以降で、高齢者の医療や介護の需要がさらに大幅に増加すると予想されていることです。

また、2005年(平成17年)の介護保険法改正で「地域包括ケアシステム」という用語が初めて使用されました。少子高齢化によって引き起こされる問題を緩和する措置の一環として、地域住民が介護や医療に関する相談ができる「地域包括支援センター」の設立を含んでいたことなどが特徴です。

2011年(平成23年)の同法改正では、自治体が地域包括ケアシステムの推進において重要な役割を担うことが明記され、システムの構築が自治体の義務とされました。

さらに2015年(平成27年)の法改正では、地域包括ケアシステムのさらなる強化が図られ、在宅医療と介護連携の推進、地域ケア会議の推進、総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)の創設などが取り入れられました。

地域包括ケアシステムのメリット

地域包括ケアシステムを推し進めるメリットとしては、以下の4つが主に挙げられます。

  • 高齢者が住み慣れた地域での生活を続けられる
  • 医療と介護の連携が強化され一貫したケアが可能になる
  • 生活支援・介護予防などにより高齢者がいつまでも元気に暮らせる環境が整う
  • 高齢者の日常的な生活に必要なサービス・支援が豊富に提供される

高齢者が住み慣れた地域での生活を続けられる

地域包括ケアシステム は、高齢者が住み慣れた地域での生活を続けられるよう支援するための取り組みです。これには、地域の医療・介護・福祉・住まいなどのサービスが連携して、高齢者が安心して地域で暮らせるよう支援することが含まれます。また、地域包括支援センターが整備されることで、高齢者が必要な支援を受けやすくなります。

自宅等の住み慣れた地域で生活することで日常生活動作(食事、入浴、衣類の着脱など)を維持することにつながり、身体機能の維持や向上につながる効果が期待できます。 また、高齢者がそれまでに築き上げた人間関係や社会の中で過ごすことができるため、精神的にも安心した暮らしを続けることも可能になるでしょう。

医療と介護の連携が強化され一貫したケアが可能になる

地域包括ケアシステムによって、医療と介護の連携が強化され、より一貫したケアが可能となるでしょう。高齢者が在宅で生活するためには、介護サービスだけでなく適切な医療サービスが不可欠です。医療と介護の連携強化により、必要に応じた医療と生活に必要な介護支援を自宅で受けることが可能になります。これにより、病状の悪化や健康状態の急激な変化を防ぎ、緊急入院や施設入居の回避につながることや、病院を退院する前に、医療と介護が連携をとることで、高齢者の在宅での生活をサポートする体制を整えることも可能になります。

生活支援・介護予防などにより高齢者がいつまでも元気に暮らせる環境が整う

高齢者が住み慣れた地域で生活を継続するための生活支援や介護予防は、地域包括ケアシステムの基本となる要素です。生活支援とは、高齢者や地域住民が住み慣れた地域で生活をつづけられるように必要な支援をおこなうことです。介護予防とは、要介護状態の発生をできる限り防ぎ、要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐこと、さらには日常生活での動作にかかる負担の軽減を目指すことです。生活支援や介護予防に取り組むことは、高齢者にとって生活の質の向上につながる重要なメリットといえるでしょう。

高齢者の日常的な生活に必要なサービス・支援が豊富に提供される

地域包括ケアシステムが浸透することで、従来の介護保険の枠組みを超えて、高齢者向けのさまざまなサービス・支援が増える可能性があります。

たとえば、外出支援・食材配達・見守りサービス・安否確認など、日常生活をより充実させるサービス・支援が活発になるでしょう。自宅で生活する高齢者に対して、生活の質を高め、より快適で安心感のある環境を提供するサービス・支援が増えていくことが予想されます。このような支援が地域包括ケアシステムの一環として提供されることで、高齢者が安心して生活を送るためのサポートが総合的かつ多角的に行われることが期待されています。

地域包括ケアシステムの今後の課題

地域包括ケアシステムは多くのメリットをもたらしますが、まだ完成されたシステムではなく、今後解決すべき課題も存在します。その代表的なものは以下の3つです。

  • 認知度が低い
  • 地域格差がある
  • 医療と介護のさらなる連携強化が求められる

認知度が低い

システムの効果を最大化するためには、高齢者や家族だけでなく、医療機関や介護サービス事業所、さらには地域住民全体による理解と認識の向上が必要となります。

地域包括ケアシステムに関する情報の普及と啓発活動は、自治体や関連機関による取り組みを通して強化されるべきです。

地域包括ケアシステムの理解と支持を広げることにより、高齢者とその家族が必要なサービスを適切に受けられるようになり、地域社会全体の福祉が向上するでしょう。

地域格差がある

地域包括ケアシステムは各自治体が主体となって構築されるため、自治体ごとの財源や人的資源の違いによって、提供できるサービスの質や量に格差が生じています。

格差が存在することによって、よりよいサービスを求める高齢者や家族が、サービスの充実した自治体に流出し、一部地域の過疎化を招く恐れがあります。

しかし、自治体間で積極的に情報共有を行うことで、この格差を埋められる可能性もあるでしょう。

医療と介護のさらなる連携強化が求められる

高齢者が安心して生活できる地域社会を作るには、医療と介護のさらなる連携強化が必要です。情報共有の不足を解消していくことで、連携も円滑に進み、適切な医療と介護の提供につながります。

―まとめ

この記事では、地域包括ケアシステムの概要と重要性、主なメリット、今後の課題について詳しく見てきました。地域包括ケアシステムについては、認知度の低さや地域格差、医療と介護の連携強化などまだまだ課題を抱えていますが、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活を続けられるよう、多角的なサポートを提供するシステムとして今後も期待が持てます。

また、これまでの章では取り上げていませんでしたが、高齢者ケアを考える上で忘れてはならないことが、近年クローズアップされてきている感染症や災害などに対する危機管理機能の側面です。とくに過去に起こった感染症の流行によるパンデミックの状況下では、高齢者施設における感染症の予防や施設管理など、平時からの対応力を強化することが鍵となるでしょう。

Kiralia(キラリア)とは?

感染症は高齢者に致命的な影響をおよぼす可能性があるため、高齢者が施設を利用する現場での感染予防システム構築は必要不可欠です。

「Kiralia INFECTION CONTROL」は、専門コンサルタントによるヒアリングや現場訪問を行い、行動分析によるリスクシミュレーションと環境モニタリングを総合し、現場のリスク評価を実施します。そして、現状のオペレーションに関する改善等をご提案し、マニュアルやガイドラインの整備もサポートします。

さらに、勉強会の実施や、e-ラーニングによる学習システムなどで、教育面でもサポート。感染対策体制に関する監査を受けていただき、合格となった施設に対し、認定証と認定ステッカーを進呈。ご利用者様へのPRにもご活用いただけます。そして、定期的に現場のアセスメントを確認し、感染対策を継続的にサポートします。

職場の感染予防にお困りの施設様はキラリアハイジーンまでお気軽にご相談ください。

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