2024.01.31
オフィスの感染対策を始める際、まずどこから手をつけたらいいか分からない人は多いでしょう。感染対策といっても、感染症の種類によって適切な対策は異なるため、その実現方法もさまざまです。
これから感染対策に取り組み始めようと検討している企業のご担当者に向けて、感染対策すべき理由や感染経路の種類、状況に応じた具体的な感染対策の方法を解説します。自社に足りていない感染対策の選択肢を把握し、ステップに進むことも可能になるでしょう。
【PROFILE】監修者:小正 晃裕
専門:循環器内科、産業医
資格:
日本内科学会認定内科医
日本循環器学会認定循環器専門医
日本不整脈心電学会認定不整脈専門医
日本医師会認定産業医
2011年京都大学医学部卒。関西電力病院、京都大学医学部附属病院で循環器内科として勤務、特に不整脈領域を専門として従事。日本医師会認定産業医として、2023年4月より大手企業にて専属産業医としても勤務中。
企業がオフィスの感染対策をすべき理由は以下の4つです。
これらのことから、感染対策は企業側にも従業員側にもメリットがあることが分かると思います。
会社内でクラスターが発生すると、従業員が自宅待機しなければならなくなる場合があり、出社しなければできない業務には支障をきたすおそれがあります。社内で感染症が広まり、一定以上の感染者が出るとクラスターが発生したとみなされます。
クラスターは、一つの空間で人が密になりやすい環境で発生する場合が多く、さまざまな場所から人が集まるオフィスは特に発生しやすいと考えられます。予防するには、オフィス内で十分な感染対策を講じる必要があるでしょう。
業務に支障が出ると多額の損失が発生するおそれがあるので、感染対策でクラスターの発生を防ぐことは企業にとって重要です。
企業には、労働契約法5条によって「労働者の安全への配慮」が課せられています。労働者の安全への配慮とは、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」というもので、雇用主が遵守すべき項目です。
感染症が蔓延している際、企業が感染対策を行っていなければ労働者の安全への配慮の義務違反に問われる可能性もあります。労働契約法には罰則は定められていませんが、違反すると民事訴訟に発展するおそれもあるので、義務違反に問われないよう注意しましょう。
近年、⾃然災害や、感染症などの危機が増えていることから、企業の危機管理が重要な課題となっています。
従業員が感染症に罹患すると、業務の中断や休業などが⽣じる可能性があり、事業継続に影響を与え、顧客や取引先の信頼を失うおそれがあります。顧客や取引先との信頼関係を維持し、ビジネスの継続性を確保するためには、危機管理として適切な感染予防を行い、従業員が安心して働くことができる環境を提供することが⾮常に重要なことであるといえます。
オフィス内での感染症の蔓延はいつ起こるか分からないため、日頃から対策を講じておくことが大切です。オフィスの衛生状況の確認や従業員への感染予防に関する教育を定期的に実施することは有効な手段といえるでしょう。
オフィスの感染対策を講じることは、従業員が心身ともに健康に過ごすためにも重要です。感染症が流行している中、オフィスの感染対策が十分に施されていなければ従業員は安心して働くことはできません。従業員の心身の健康を守るためには、以下のような対策が考えられます。
感染防止対策を施すことで、従業員は感染症からの不安が軽減し、心身の健康を保ちながら業務を遂行できるでしょう。
オフィス内のウイルス感染経路は以下の3つです。
※今回の感染経路は、インフルエンザ(季節性)の場合を想定しています。
感染経路を理解した上で感染対策を行うことで、感染症の特徴に応じた適切な対策を実施できるでしょう。それぞれの特徴や予防策を具体的に解説します。
接触感染とは、感染者と直接的に接触することや、ドアノブやスマートフォンなどを介して間接的に接触することで手指などが汚染され、さらに汚染されたまま目、口、鼻などに触れることにより感染することです。
オフィス内で感染場所として考えられるのは、共有のワークスペースや会議室、トイレなどです。接触感染を防止する方法には、こまめな手洗い・手指消毒、共有スペースの定期的な清掃や消毒などがあります。
オフィスの広さや、従業員の人数、それぞれの行動によって、行うべき対策方法はさまざまです。また、感染症の種類や感染経路によって有効な対策は異なるため、自社で感染対策を講じる場合は、専門家の意見を参考にした上で取り組むことをおすすめします。
飛沫感染とは、感染者の咳やくしゃみ等の飛散ったしぶきの中に含まれている5μm(マイクロメートル)以上の粒子の飛沫を口や鼻から吸い込んだり、目などの粘膜に浴びることによって感染することです。
飛沫感染を予防するには、物理的距離を確保することや、マスクの着用、パーテーションの利用などが挙げられます。たとえば、以下のような対策を取るといいでしょう。
感染リスクを完全に無くすことはできませんが、これらを適切に実施することにより飛沫感染のリスクを低減することができるでしょう。飛沫感染の特徴を押さえた上で、それぞれの環境に合った対策を実施していきましょう。
オフィスでできる感染対策として、例をいくつか紹介します。
それぞれの方法について具体的に解説します。
マスクを使用すると、感染者が病原体を拡散するのを抑えるとともに、非感染者が病原体を吸い込むことを防ぎやすくします。また、感染者が咳などをすることでオフィスの共有備品に病原体が付着する量も、マスクを着用していない状態と比較すると少なくすることができるので感染を広げないために重要な対策といえるでしょう。
感染症の流行状況によって適切に、従業員にマスクの着用を促すことも必要です。
流行の時期などは特に、会社側で従業員がいつでも使用できるようなマスクを用意しておくのも良いのではないでしょうか。
オフィスでは、ドアノブやトイレなど複数の人が共有する物品や設備があります。
また、ミーティングなどでの複数の人との会話や、会議室を利用することも多いため、手指にウイルスが付着することも多くなると想定されます。
共通の備品を利用した後や、ミーティングや会議室を利用する前後には、こまめな手洗いや手指消毒が感染を広げないために有効ではないでしょうか。また、従業員に対しても手洗いや手指消毒の重要性や正しい方法を啓発することでより感染対策への意識が高くなるとも考えられます。
共有スペースについては、特に清潔を保ち、手洗いや手指消毒用品を設置することが重要です。
カフェや食堂などの共有部の消毒や、必要に応じたパーテーションの設置やソーシャルディスタンスの確保などによって飛沫防止に留意しましょう。人通りの多い商店街や満員電車など、ウイルスとの接触が多い場所を経てオフィスに来る従業員もいるため、オフィスは感染リスクが高い場所だといえます。
感染対策の現状を把握し、特に感染リスクの高い場所には定期的な清掃や消毒、飛沫の拡散を抑えられる仕組みづくりが必要です。ウイルスは目に見えないため正確な現状把握が難しいでしょう。そのため、オフィス内の感染リスクを見える化できるシステムを利用するのがおすすめです。
感染リスクを見える化することができれば、効果的・効率的な感染対策を行うことができます。これからオフィスの感染対策に取り組もうとしている場合は一度オフィス全体の感染リスクを評価してみることも検討してみてはいかがでしょうか。
オフィスの分散化・縮小も感染対策として有効です。これは、従来のオフィス面積を縮小し、複数の拠点に分散する形態にすることです。
一つのオフィスに従業員が全員集まった空間でクラスターが発生すると、一度に大勢の従業員が休職してしまうといったおそれがあります。オフィスを分散しておくと、たとえば、一つの拠点でクラスターが発生した場合でも、他の拠点には影響は出にくいため完全に業務が停止してしまうといったリスクを防ぐことができます。
また、オフィスを分散化・縮小すると以下のようなメリットがあります。
業務形態によってはオフィスの分散化は難しい場合もありますが、PCで業務を完結できる従業員が多い企業であれば、オフィスの分散と縮小を検討してみるとよいでしょう。
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感染対策は従業員やお客様の協力があってこそ成り立ちますが、常に最高水準の感染対策を継続的に実施するのは、身体的にも精神的にも難しいと感じる企業も多いでしょう。重要なのは、感染症の流行段階に応じた対策を実施することです。
「Kiralia INFECTION CONTROL」では、検査モニタリングによって感染リスクを可視化し、それに応じた感染対策の実施をサポートしております。自社に適した感染対策の導入をご検討であれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。
感染対策を適切に行うことで、クラスターの発生による業務停止や信頼性の低下、従業員の健康悪化を防げます。感染経路の種類を適切に把握し、流行している感染症の防止に適した対策の実施が大切です。
マスクの着用や定期的な清掃や消毒の徹底などは、感染対策として当たり前だと思いがちですが、多くの人は、適切なマスクの選び方や手洗い・消毒の仕方などを意外に知らないことも多いです。オフィス内で、感染を起こしにくくし感染者の増加を抑えるためには、従業員を含め感染症に関する正しい知識や対策方法を身に付ける必要があります。
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