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デイサービス(通所介護)の人員配置基準とは?
満たすための取り組みなどを解説

2024.04.26


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デイサービスの利用客は、高齢化の進捗に比例して増加の一途を辿っています。ポイントを押さえた運営ができれば、事業を拡大していくことも可能でしょう。

しかし、高齢者の福祉に関わる事業であるために、携わる人員の配置や人数について基準が設けられています。必要な人数は介護施設の種類によって異なりますが、違反した場合には罰則もあるため、注意を払わなければいけません。

本記事では、デイサービスの人員配置基準について、詳細や罰則、基準を維持するための取り組みなどについて解説します。

【PROFILE】監修者:マンベンダ奈穂子

資格:
介護福祉士
介護支援専門員(ケアマネジャー)
福祉住環境コーディネーター1級
福祉用具専門相談員

2005年に信州大学工学部(建築)を卒業。福祉リフォームの現場で建築の経験を積む。小規模多機能型居宅介護サービスで、ケアマネ・介護士として、7年間、介護の経験を積み、訪問サービスを含め、生活介護や身体介護に携る。

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デイサービス(通所介護)の人員配置基準

デイサービスを運営するために、必要な職種や人員を配置することが、法律で定められています。

デイサービスの運営基準上配置が必要な職種は全部で5種類あり、以下の職種について定められています。

  • 管理者・施設長
  • 看護職員
  • 介護職員
  • 機能訓練指導員
  • 生活相談員

ここではそれぞれの基準について、詳しく見ていきます。

人員配置基準①:管理者・施設長

デイサービスの管理者は、常勤専従で必ず1人確保しなければならないと定められています。資格要件は特にありません。1人いれば良いため問題がないと思われがちですが、常勤専従であることに注意が必要です。

ただし、以下の場合に相当し、かつ管理業務に支障がない場合に限り、ほかの職務を兼ねることも許されています。

  • デイサービス事業所の事業者としての職務に従事する場合
  • 同一敷地内、または道路を隔てて隣接しているなど、管理業務に支障がないと認められる範囲内にほかの事業所、施設などがあり、管理業務に支障がない場合

人員配置基準②:看護職員

看護職員の人員配置基準は「デイサービスの単位ごとに専従で1人以上」と定められています。単位とは、同時に一体的に提供が行われるデイサービスのことです。例えば次のような場合は2単位という解釈になり、それぞれに看護職員を確保しなければいけません。

  • デイサービスが距離を置いた2つの場所で同時に行われており、一体的に行われていると解釈できないケース
  • 午前と午後で、それぞれ別の利用者に対してデイサービスを提供しているケース

また、看護職員は誰にでも務まるものではなく、看護師もしくは准看護師の資格を持っている必要があります。

人員配置基準③:介護職員

介護職員の人員配置基準はやや複雑で、事業規模によって分類されています。具体的には以下のようなルールがあります。

1.単位ごとにサービス提供時間に応じて専従で次の数以上
(1) 利用者の数が15人まで1以上
(2)利用者の数が15人を超す場合(1)の数に利用者の数が1増すごとに0.2を加えた数以上
2. 単位ごとに常時1名配置されること
3. 1.の数及び2.の条件を満たす場合は、当該事業所の他の単位における介護職員として従事することができる

例えば利用者数が40人の場合、15人を超える部分の人数は25人です。上記(1)に基づいた1人に、上記(2)に基づき0.2を25人分加えた数(25×0.2)である5人を加えた6人が必要な介護職員の人数となります。

これに加え、介護職員が常時1人以上となるように配置しなければならない点にも注意が必要です。利用者数が15人を超えるときは「1+(利用者数-15)×0.2」で算出した人数以上を配置する必要があります。
例えば、利用者数が20人の場合、計算式は「1+(20-15)×0.2」となり、必要な人数は2人以上となります。
また、生活相談員あるいは介護職員のうち、最低1人は常勤でなければいけません。

人員配置基準④:機能訓練指導員

機能訓練指導員は、各事業所に常時1人配置する必要があります。ただし専任である必要はなく、事業所のほかの職務に従事することも可能です。

誰にでも務まるものではなく、以下のいずれかの資格を有している必要があります。

  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 言語聴覚士
  • 看護師
  • 柔道整復師
  • あん摩マッサージ指圧師
  • はり師及びはりきゅう師(※ただし、上記資格を有する機能訓練指導員を配置した事業所で6か月以上、機能訓練指導に従事した経験を有する者)

人員配置基準⑤:生活相談員

デイサービス事業には生活相談員が必須であり、人員配置基準は「事業所ごとにサービス提供時間に応じて専従で1以上(生活相談員の勤務時間数としてサービス担当者会議、地域ケア会議等も含めることが可能。)」と定められています。また、生活相談員あるいは介護職員のうち、最低1人は常勤でなければいけません。

生活相談員は誰にでも務まるものではなく、以下の資格要件を満たした人物である必要があります。

  • 社会福祉主事
  • 社会福祉士
  • 精神保健福祉士

デイサービス(通所介護)の人員配置基準に違反した場合の罰則

人員配置基準を満たしていると虚偽報告をすることは、重大な不正行為に該当します。デイサービスの運営指導は、基本的に指定更新期間内の6年に1回以上行われます。その際、人員配置基準違反が見つかった場合には、監査が行われ違反等の事実関係を明確にした上で、不正が認められる場合は、公正かつ適切な措置として行政処分がおこなわれます。指導内容は以下の通りです。

指定取り消し

人員配置基準違反が発覚した場合には、指定取り消しを受ける可能性があります。指定取り消しを受けると、新規利用者の受け入れやサービス提供ができなくなります。

人員基準欠如減算

人員基準欠如減算とは、事業所に属する看護職員あるいは介護職員の人数が、厚生労働大臣が定める看護職員又は介護職員の員数の基準を下回った場合に適用されるものです。厚生労働省では、減算の要件について以下のように示しています。

人員基準上必要とされる員数から1割を超えて減少した場合にはその翌月から人員基準欠如が解消されるに至った月まで,利用者全員について所定単位数が通所介護費等の算定方法に規定する算定方法に従って減算する。

1割の範囲内で減少した場合には,その翌々月から人員基準欠如が解消されるに至った月まで,利用者等の全員について所定単位数が通所介護費等の算定方法に規定する算定方法に従って減算される(ただし,翌月の末日において人員基準を満たすに至っている場合を除く。)。

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デイサービス(通所介護)の人員配置基準を維持するための取り組み

デイサービス事業において人員配置基準を維持するのは、コストの面でも人材確保の面でも難しい課題です。なるべく効率よく人員配置基準を維持する方法としては、主に以下の4つが挙げられます。

  • 介護現場の人間関係を良好に保つ
  • 人員不足時の代替策を準備する
  • 採用活動でのミスマッチを防ぐ
  • 感染対策を行い安心して働けるようにする

順番に見ていきましょう。

介護現場の人間関係を良好に保つ

介護現場ではさまざまな職種の人と関わるため、人間関係で苦労する場面があります。また慢性的に人手不足で、業務過多になることも多く、相手を思いやる余裕がなくなってしまうこともあるでしょう。

介護現場の人間関係を良好に保つには、周囲に相談しやすい環境を整えることが大切です。職員への積極的なコミュニケーションや、各職員の業務負担を把握し調整することも重要です。
また、事業所内で相手の意見を否定したり、悪口を言ったりする習慣がついていないかを確認することも大切です。異なる意見が出る場合に備えて、相互尊重や協力関係を重視し、職員間の信頼関係を築くための支援も必要です。
職員の抱える人間関係などに関するストレスや負担を可能な限り軽減し、長く働ける環境に整えましょう。

人員不足時の代替策を準備する

デイサービス事業においては、利用者が急にキャンセルをする、職員が欠勤するといった予定外のことがいろいろと起こります。突然の予定変更にうまく対応できないと、業務がうまく回らない事態や特定の職員に負担が集中してしまうなどの事態が起きかねません。どのようなトラブルが想定されるか、事前に具体的にイメージをすることも重要です。

例えば、感染症の流行による人員不足を予想して臨時でスタッフを雇用できるめどをつけておくことや、他の施設や地域との協力体制を整えておくことも重要です。また、さまざまなケースに対応したマニュアルを職員全員が共有していれば、いざというときにも慌てることなく対処できるでしょう。

採用活動でのミスマッチを防ぐ

人員配置基準を維持するためには、採用活動でのミスマッチを防ぐことが重要です。ミスマッチが起こると職員が職場環境に合わないことでストレスや不満が生じ、離職に至ることもあります。
短期離職を避けるためにも、採用は慎重にすすめる必要があります。例えば、求人票を作成する際は、業務内容、必要なスキルや資格、求められる人物像などを具体的に記載することで候補者が適したポジションで働けるか明確にすることができます。また、現場で働いている職員との面談も候補者が職場環境や業務の内容に対して理解が深められるので効果的です。

職員としても一緒に働けるかどうかを具体的に把握できるためミスマッチを防ぐことが期待できます。

感染対策を行い安心して働けるようにする

近年の新型コロナウイルスなどの蔓延により、利用者や職員の数が思うように増えないこともあるでしょう。デイサービスにおいても、一定の人数が同じ空間で長期間行動を共にすることから、感染リスクが懸念されます。

また、事業所内で感染症が流行した場合、職員の欠員で必要な人員の確保が困難になるでしょう。また、利用者、その家族への感染等2次的な被害も想定されます。職員や利用者との信頼関係を維持し、安定的に事業運営を行うためには、適切な感染対策を実施することが重要になるでしょう。自社の感染対策だけで不安な場合は、専門家に相談するのも良いでしょう。

そのほかデイサービス(通所介護)に関する基準

デイサービス事業には、人員配置基準のほかにも「運営基準」と「設備基準」という2つの基準が設けられています。どちらも安全で確実なサービスを提供するために、守らないといけない基準です。

デイサービス(通所介護)の運営基準

デイサービスにおける運営基準とは、事業所のサービス内容や提供方法について規定したものです。以下のような項目があります。

  • 利用料などの受領
  • 指定通所介護の基本取扱方針
  • 指定通所介護の具体的取扱方針
  • 通所介護計画の作成
  • 運営規程
  • 勤務体制の確保など
  • 定員の遵守
  • 非常災害対策
  • 衛生管理など
  • 地域との連携など
  • 事故発生時の対応
  • 記録の整備

デイサービス(通所介護)の設備基準

デイサービスにおける設備基準とは、最低限設置しなくてはならない設備や備品などについて定めた規則です。以下のような項目があります。

  • 食堂
  • 機能訓練室
  • 静養室
  • 相談室及び事務室
  • 消火設備その他の非常災害に際して必要な設備
  • 指定通所介護の提供に必要なその他の設備及び備品等

―まとめ

本記事では、デイサービスにおける人員配置基準について解説しました。デイサービスは、集団で過ごす施設でありつつ、利用者の個別のニーズに対応する必要があり、専門的な資格を有する人員も含め適切に配置することが重要です。そのため、厚生労働省が明確な基準を設けています。

ただ、人員配置基準を維持するためには、職員や利用者との良好な関係構築やミスマッチを防ぐ採用活動、また、感染対策など、職場環境の改善が必要でしょう。

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