2021年5月10日更新
2021年4月22日(木)(再配信 4月27日(火))にフレイル対策WEBセミナーを開催し、多くの方にご参加いただきました。理学療法士の方をはじめ、多くの方にご視聴いただき誠にありがとうございました。
(回答者:花王)
複数箇所に塗布しても効果はあるのかという点について、冷刺激は効果を期待する筋上の皮膚に塗ることが有効と考えられます。目的に応じて冷刺激を付加してみてください。例えば、大腿前面なら大腿四頭筋が、下腿後面なら下腿三頭筋がターゲットになります。歩行では、どちらの筋もターゲットになりますので、いずれも効果が期待できます。
なお、ご案内した冷感ジェルを用いる場合には、パンフレットに書かれた使い方をお読みになり、使用量の目安を参考にお使いください。
(回答者:菅原先生・花王)
運動している最中に(25℃相当の)冷感を付加し続けることが有効と考えられます。目安としては、冷たさを実感している間に運動することをお勧めします。ご案内した冷感ジェルを用いる場合はパンフレットに記載された製品特長に冷感の持続時間が記載されておりますので、そちらを目安にしてください。
なお、コールドパック等で行う物理的な冷刺激(25℃)については、運動せずに冷やし続けると筋温が低下するため、筋力を発揮しずらくなります。そのため、運動開始前に冷刺激を付加し、皮膚温が25℃になった時点で運動することをおすすめします。また、皮膚温が通常の温度に戻ってくれば冷やすようにするとよいです。冷感ジェルの場合には、筋温が低下することはありませんので、パンフレットに記載された時間内に運動することが目安になります。
(回答者:菅原先生)
皮膚冷刺激の感覚情報は、脊髄のレベルでα運動ニューロンにシナプス結合を有しており、速筋線維に対して促通的に作用することは実験で明らかにされています。また、皮膚冷刺激を付加すると皮膚血流や代謝が変わりますので、皮膚冷刺激の効果は、α運動ニューロンへの促通的な作用のみでない可能性がありますが、他の作用による効果は現時点では明らかになっていません。
これまでに皮膚冷刺激の他に、触刺激の実験はおこなっておりますが、触刺激では速筋線維に対して抑制的に作用することが確認されています。皮膚への温熱刺激の効果については、明らかになっていませんが、最大筋力は筋温を上げることで増大することが報告されています。
(回答者:花王)
ご紹介した以外の市販品については、適切な冷刺激が付加できるメントール配合品であれば、同様の効果が期待できますが、効果の検証はしておりませんのでわかりません。例えば、市販のメントール入り軟膏やハンドクリームは、手や腕に塗ることを目的にメントール量を調整していることが多く、下肢に塗布した場合、同じ効果が得られるかはわかりません。冷感があることをご確認してお使いくださることをお勧めします。
湿布や塗り薬についても同様ですが、これらは「消炎鎮痛」を目的とした薬効成分が入っている医薬品であることが多く、例えば、痛みのない部位に消炎鎮痛剤を使う場合には、目的外の医薬品使用になるため、デイリーな使用についてはお勧めしていません。目的外で医薬品を使用することについてのリスクは、その医薬品会社にお尋ねください。
なお、ご紹介した冷感ジェルは、使用量の目安通りにお使いになると、太ももやふくらはぎに適切な冷刺激が付加されるように設計された処方になっており、デイリーな使用に向いております。
(回答者:花王)
メントール配合の剤に関しましては、皮膚に疾患があるご利用者様に利用したい場合は、事前にかかりつけの皮膚科医にご相談の上お使いください。乾燥による赤み・ひび割れ等の症状がある場合は、その部位には使えません。(しみます)。症状がおさまってからお使いください。
メントール配合の精油(ハッカ油等)の場合、適切な冷刺激が付加できれば、効果は期待できます。ただし、精油の代表であるアロマオイルは、皮膚に適用し冷感を得ることを目的としたものではないため、使用部位に冷感があることを確認した上でお使いいただくことをお勧めします。
なお、メントール等の冷感成分が配合されていない精油では、効果は期待できません。
(回答者:菅原先生・花王)
運動により筋活動が起こっている時に(25℃の)冷感を付加することが必要です。したがって運動の直前や運動の途中に付加することをお勧めします。速筋を動員する目的として運動後はお勧めできません。
(回答者:菅原先生・花王)
冷感刺激は皮膚にある冷センサー(TRPM8チャネル)で電気信号に変換され、感覚神経を介して中枢に届けられますので、その感受性は筋繊維よりも、皮膚の影響を受けやすいです。また脳卒中によって脳の感覚を受容する部位に障害を受けた場合には、感受性にも影響を及ぼすことが推察されます。
なお、高齢者の速筋線維の筋萎縮に対して、皮膚冷刺激が有効かは明らかにされていませんが、速筋線維に促通的な作用があることから、筋萎縮に対する予防的な効果が期待できます。皮膚冷刺激は神経系を使ったトレーニング戦略として考えていますので、トレーニング初期の効果が高いと考えています。研究においてもトレーニング初期(3週間)が効果的であり、長期トレーニングの効果は示されていません。
また、脳卒中に対する皮膚冷刺激付加のトレーニング効果は、現時点では明らかになっていません。そのため、感覚障害があることによる影響もわかっていません。皮膚冷刺激の作用メカニズムは、脊髄レベルと考えていますが、大脳皮質を介した作用があるとすると脳障害による影響を受ける可能性があります。なお、これまで脳卒中例にも皮膚冷刺激付加を付加したトレーニングを実施しておりますが、痙縮を強めることがなく、RFDを高められるようですが、今後のさらなる研究が必要な領域です。
(回答者:菅原先生・花王)
筋温をあげるような温熱により最大筋力が増大する報告はありますが、皮膚への温熱刺激による神経筋活動への影響は明らかになっていません。
(回答者:花王)
60歳前後の年代の方にも効果はあります。
運動習慣のない60代の女性を対象として大腿四頭筋上皮膚に皮膚冷刺激を付加してから歩行トレーニングを実施した結果、筋力と瞬発力が6週間で有意に向上するという結果が得られています。
詳細は、下記の論文をご覧ください。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpts/32/4/32_jpts-2019-237/_pdf/-char/en
(回答者:菅原先生)
基礎疾患にもよりますが、運動の許可が得られている患者様には適応できます。パワートレーニングでは運動強度を低く設定できるため、循環器、呼吸器への負荷を少なくしてトレーニングできます。特に遠心性収縮トレーニングでは、心拍数や血圧上昇も少なく実施できます。階段の昇り(求心性収縮)では息が上がりますが、階段の降り(遠心性収縮)では息が上がりません。遠心性収縮では、呼吸器への負荷が少なく、COPDの患者様にも利用されています。
皮膚冷刺激については、皮膚疾患がなければ安全に使うことができます。
(回答者:花王)
整形外科術後の皮膚の状態は個人差がありますので、使用前にかかりつけの皮膚科医か、整形外科医にご相談の上、お使いください。
(回答者:菅原先生)
立ち上がり運動では、速筋の動員が必要となりますので、速筋を動員する工夫が必要と考えています。そのため、両側同時運動では、座位から立位までの立ち上がり動作の強調ではなく、立位から座位へのしゃがむ動作を強調されるとよいと思います。よって、大腿四頭筋を標的として、ゆっくりな遠心性収縮を付加したしゃがむ動作を強調し、速筋線維を動員を促すとよいと思います。
なお、両側運動時、神経筋活動は抑制的でありますが、トレーニング課題として使うことも必要です。抑制的に作用しているときに運動を行うと軽い負荷でも負荷量が強くなっていることを考えて行えば、両側運動も使えます。なお、高齢者の神経筋活動の促通では、片側運動や交互運動は必須な運動課題となります。両側運動と片側運動(交互運動)の組み合わせ課題を行うことをおすすめします。
(回答者:菅原先生)
速い運動は関節への負荷や転倒の危険性もありますので、十分な注意が必要です。特にマシーントレーニングでは注意が必要となります。マシーンの種類によりますが、重錘(おもり)を使っている場合には速い運動は行うべきでないと考えています。そのため自重や重錘バンドなどをつかった運動課題を使うと良いと思っています。また、速い運動では、メトロノームを使うなどして過剰な速度にならないようにすべきです。速い運動は1秒、遅い運動は3秒で実施するようにしています。速い運動は、日頃行っていない対象者が多く、トレーニング開始時は上手に運動ができない場合もありますが、すぐになれる方が多い印象をもっています。つまり、機能は残っているのに使っていないことが問題かもしれません。
(回答者:菅原先生)
ACSMなどのガイドラインをみても、トレーニングでは課題を多くした全身運動が推奨されていますので、上肢の運動も大切であると思います。壁に向かった腕立て伏せ(肘伸展時:ゆっくり、肘屈曲時:はやく)や、立位でセラバンドを踏みつけ、セラバンドを手で保持した肩関節の外転運動などは使いやすいです。課題を行うときは下肢と同様ですが、両側同時運動では、抑制作用がありますので、両側同時運動と片側運動の組み合わせを使われるとよいと思います。なお、皮膚冷刺激を付加する場合は、ターゲットとなる筋上の皮膚に付加することが有効です。
(回答者:菅原先生)
筋の虚血を使ったゆっくりな運動では速筋線維が動員され、トレーニング効果は高いと思われますが、疲労してくると運動を維持する努力が必要となります。努力を必要とした運動課題が実施できる場合には、スロートレーニングは有効です。しかし、ある程度の力発揮を維持しずらいような場合には、低強度の速い求心性収縮と遅い遠心性収縮を使った低強度トレーニングは使いやすいと思います。対象者の状況によって使い分けができるといかと考えます。
(回答者:菅原先生)
座位での集団体操では、重錘を付加しづらいですので、速い運動と遅い運動を使うことで速筋線維を動員するのがよいと思います。大腿四頭筋トレーニングでは、伸展時(上げる時)に速く、屈曲時(おろす時)は遅く運動するとよいです。負荷が少ないときこそ、速い運動と遅い運動を使った速筋線維を動員する工夫をされるとよいと思います。
(回答者:菅原先生)
スライドで使用しましたレビュー文献では、最大筋力の60%を境として高強度、低強度を分類しておりました。しかし、トレーニングのガイドラインでは、40-60%強度は中等度になっている場合が多いと思います。筋力トレーニングや有酸素運動では、40%以下を低強度としている場合が多いようです。
高強度はトレーニング効果が高く、高強度で実施できる患者様には高強度が適応になります。また、ACSMとアメリカ心臓協会の共同のガイドラインでは、心疾患に対しても運動強度は中等度だけでなく、高強度との組み合わせでもよいとしています。運動負荷の強度設定は、医師とも相談しながら決めることは必要です。
筋力トレーニングの負荷強度の比較では、1RMの80%程度と40%~50%の強度を比較している報告が多いです。結果は80%程度の高強度が良い結果が得られていますが、回数を増やすと40%~50%でも高強度のトレーニング効果に近づくようです。
やはり、低強度のトレーニングを効果的にするためには、工夫が必要になると思います。高齢者の健康増進では、安全で自己管理できるトレーニングがよいですので、低強度トレーニングが使いやすいと思います。
(回答者:菅原先生)
重錘負荷を行う場合には、等尺性収縮による筋力測定を行っています。関節角度により最大の筋力発揮はことなりますが、低強度のため過剰な負荷になることはありません。また、マシーンのトレーニングでは、多関節運動になりますので、1RMの測定は直接法、あるいは間接法で測定することになります。直接法は実施しずらいため、間接法が使いやすいと思います。
(回答者:菅原先生)
高齢者の運動機能測定では、最大筋力や周径の測定は必要です。歩行スピードも一つの指標になるため測定された方がよいと思います。筋機能では、最大筋力だけでなく、速く強い力発揮の能力をみるRFD(力発揮率)の評価は必要ですが、RFDの測定には機器が必要となります。別の手段となりますが、30秒立ち上がりテスト、10回立ち上がりテスト、また、バランス機能も含まれますが、four square step testも簡便で、RFDの機能を含めて評価することができます。
(回答者:菅原先生)
一般的に中等度以上の運動が推奨されているため、知る限りでは低強度運動のガイドラインはありません。低強度トレーニングの研究結果からは、トレーニング頻度を週に2から3回以上であれば効果を示しています。また、運動時間は、速い運動1秒、遅い運動3秒とすると合計4秒です。交互運動で行った場合、左右1回終えるのに8秒となります。10回行うのに80秒、3セットを行う場合でも240秒です。左右交互に運動を行うと片側は休憩していることになりますので、交互運動は休息をとらなくてもよく使いやすいトレーニング方法です。1課題は短時間ですが、運動課題の種類を8から10個とすると、ある程度の時間は必要です。
(回答者:菅原先生)
自重トレーニングは使いやすくトレーニングの中心に使っています。課題には階段昇降、ステップ台昇降、下り坂、ランジなどが多いです。
ステップ台昇降では、例えば右下肢のみ上段へ上げ、大腿四頭筋の求心性収縮を速い速度で行い身体を持ち上げ、次に大腿四頭筋の遠心性収縮を遅い速度で行い身体をおらす課題を一側中心に行います。下り坂(スロープ)を使った歩行練習も遠心性収縮トレーニング運動課題として使っています。片側運動を強調する場合には、ランジもつかっています。ただし、筋肥大を目的としていないため、膝の屈曲角度は浅くしています。神経活動の特異的な作用を使い、速い運動と遅い運動を使った速筋線維の動員を促しています。
セミナーの動画では、交互のヒールレイズ、ヒールドロップをみていただいたと思いますが、バランス練習も含めた方法もあります。肩幅程度に下肢を広げた立位から、右下肢への荷重→右ヒールレイズ→踵を上げたまま左への荷重→左ヒールドロップ→左ヒールレイズ→踵を上げたまま右への荷重→右ヒールドロップの繰り返し運動を、平行棒内からはじめ、上手になってくれば平行棒外で行うようにしています。つま先立ちでの左右への体重移動を含めたバランス練習と筋力トレーニングの双方の効果を得られると考えています。
(回答者:菅原先生)
私も楽しく運動することの大切さを痛感しています。それは、運動の継続と実施頻度を維持することの難しさがあるためです。そのため在宅での運動では次のことを考えて実施しています。
例えば、トイレに行った際には、必ず1つの運動課題を5回行って頂きます。例えば、立った状態での速いヒールレイズと遅いヒールドロップを運動課題とします。トイレに行く回数にもよりますが、1日で相当な運動回数となります。私が指導するときに気をつけていることは、運動を継続して頂くことの工夫と説明と思っています。1回にたくさんの運動を行って頂くのは難しくても、5回であれば簡単にできる印象を持っていただけます。運動の効果は止めるとすぐに消滅してしまいます。運動の継続が、次の運動実施や社会参加につなげられるようにできれば最高です。
体操教室やデイケア、デイサービスなどでの運動やレクレーションでは、楽しさを感じるように工夫されている施設を多く見かけます。楽しい運動やレクレーションは、外出先での実施として、在宅では、日常生活の中で運動機能向上につながる機会の頻度をあげ、活動的な生活をしていただくことがよいと思います。冷感ジェル剤の使用では、塗り込む作業(楽しさ)もあり、ぬったら運動せねばと感じてもらえるようで、一定の継続ができていると感じています。
(回答者:菅原先生)
私自身、スポーツの領域に関わっておらず、論文や学会活動などで知り得た回答となりますので、現場的でない可能性がありますので、その点を踏まえて下記をお読み下さい。
スポーツの分野でも、最大筋力よりも筋パワーを上げることの大切さが注目され、中程度の強度でのパワートレーニングがよく使用されているようです。比較的軽めのバーベルを担いで、速い求心性収縮と遅い遠心性収縮のスクワット運動などが行われています。
また、高強度の遠心性収縮トレーニングは効果的であるとする報告があり、スポーツ分野ではよく用いられているようです。トレーニング効果を高ためるために、求心性収縮トレーニングでは、回数を増やす必要があり、ケガにつながる可能性があります。そのため、求心性収縮よりも強い筋力発揮のできる遠心性収縮を用いることになります。遠心性収縮で強い筋力を発揮して、運動回数を減らして効果を得ようとしているようです。
その他、ストレッチショートニングトレーニングの手法も使われており、生理学的な背景がしっかりとしたトレーニング手法が用いられています。
私は、スポーツ系で使用されいてるトレーニング手法を高齢者に使うことを考えて、臨床応用しています。
皮膚冷刺激付加した高強度トレーニングの研究結果はなく、明らかになっていません。サイズの原理からすると高強度では、既に速筋線維が動員されているいため、効果が得られずらいと思われます。また、皮膚冷刺激付加による低強度トレーニングは、高齢者や運動機能が低下している場合に効果的であり、若年者などへの利用は今後の研究課題と考えています。
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(土・日・祝日・年末年始・夏季休業を除く)
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