介護現場の用語集

2023年2月14日公開

口腔ケア

こうくうけあ

口腔ケアは、日本歯科医師会と日本歯科医学会によって、多職種と共同して行う日常ケアとしての非専門的な口腔の清掃や、経口摂取のための嚥下訓練、姿勢調整などの日常的なケアと定義されています。
ご高齢者様は、唾液の減少により口腔内の自浄作用が低下したり、介護度によっては適切な歯みがきが難しくなったりする場合があります。
口腔ケアを実施することで、ご利用者様の口腔内を清潔に保ち、虫歯や歯周病などの口腔内トラブルの予防につながります。

口腔ケアとは

口腔ケアの目的は、「口腔内の汚れの除去」と「咀嚼や嚥下などの口腔機能の改善」です。
口の中が不潔だとむし歯や歯周病の原因となりますし、義歯の調子が悪くなることもあります。また、口腔内に細菌が増加していると、誤嚥した際に誤嚥性肺炎のリスクが高まります。
口腔機能が低下すると、食べられるものの種類や量が制限されるため、栄養バランスが悪化し、健康に影響を及ぼします。また、表情が損なわれるなどコミュニケーションにも不都合が生じるため、ご利用者様のQOL低下にもつながる恐れがあります。
以上のことから、口腔内を清潔に保ち、口腔機能を維持・向上させることは、ご利用者様の全身の健康維持のために重要と言えます。

器質的口腔ケアと機能的口腔ケア

ケアの内容を区別するための分類として、口腔内を清潔に保つための「器質的口腔ケア」と、口腔機能の維持・回復に向けた「機能的口腔ケア」があります。ここでは、それぞれのケア内容を解説します。

器質的口腔ケア

器質的口腔ケアとは、歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロスなどを利用して歯や口、舌を清潔かつ健康に保つケアです。食後や就寝前に毎日実施します。ここでは一部のケアをご紹介します。

むし歯の予防にはフッ素入り歯磨剤、歯周病予防には歯垢(プラーク、バイオフィルム)の除去が効果的です。歯が残っている場合や部分入れ歯の場合、総入れ歯など、それぞれに応じた清掃方法と配慮も必要となります。
 

◆自分の歯が残っている場合

  • 歯ブラシを使った歯磨き
  • 歯間ブラシ・デンタルフロスなどを使った歯と歯の間(歯間)の清掃
  • フッ素入り歯磨剤の使用
 
◆部分入れ歯を使っている場合
  • 歯ブラシを使った歯磨き
  • 歯間ブラシ・デンタルフロスなどを使って歯と歯の間を清掃
  • フッ素入り歯磨剤の使用
  • 義歯用ブラシ、義歯洗浄剤を用いた入れ歯の清掃
 
◆総入れ歯の場合
  • 義歯用ブラシ、義歯洗浄剤を用いた入れ歯の清掃
  • 舌ブラシ、粘膜用ブラシによるケア

機能的口腔ケア

機能的口腔ケアとは、歯や舌、頬など口の機能の維持やリハビリテ-ションを目的とするケアです。代表的なものとして以下の3つがあります。
 

◆顔の体操
目をつぶり、唇を横に引いて頬を上げ、口と目を思い切り開ける。再び口をしっかり閉じてから頬を膨らませ、口を左右に動かす。

◆口の体操
口を開けたり閉じたりする、舌を上下左右に動かしたり出したり引いたりする、頬をふくらませたりすぼめたりするなど、口の周りの筋肉を動かす。

◆唾液腺マッサージ
耳の下や頬、顎の下を揉んだりさすったりしてマッサージする。

高齢者の口腔ケアの4つのポイント

ご利用者様の口腔ケアを実施するときのポイントとして以下の4つが挙げられます。

ポイント1:口腔内をチェックする

口内炎や欠けた歯、歯肉の腫れ、義歯による傷が口腔内にないかチェックしましょう。特に、ケアを避けようとするときは口腔内に何かしらの異常があるケースが多いため注意してください。

ポイント2:介護を最小限にする

ご利用者様の障がいの程度によって、どの部分を介助するか検討しましょう。自助具や清掃具を活用して、できるだけ本人の能力を生かす心がけが大切です。

ポイント3:誤嚥しないよう注意する

嚥下機能が低下しているご利用者様の場合、顔を横に向け、枕などを使ってあごを引き、食べかすや細菌が気管に入らないよう注意しましょう。水分の使用を極力少なくした上で、スポンジブラシや口腔ケア用ティッシュなどで水分を取りながら実施すると誤嚥を防ぎやすくなります。

ポイント4:口腔内の乾燥に注意する

加齢や薬の副作用によって唾液が少なくなると、口腔内が乾燥し、細菌が溜まりやすくなります。口腔内が乾燥しないよう、口腔湿潤剤を塗布して保湿しつつ、機能的口腔ケアを実施して唾液の分泌を促すようにしましょう。

介助の度合いに応じたケアのポイントや、口腔ケア時の感染対策などについては、コラム「歯周病は全身疾患の悪化も招く!口腔ケアのポイントとは?」をご覧ください。

参考:
厚生労働省 e−ヘルスネット「口腔ケア」「健康高齢者の口腔ケア」「要介護高齢者の口腔ケア

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