2025年2月18日更新
教育の負担を軽減!介護分野の人材育成を外部委託するメリットと注意点
監修者プロフィール/本間 義昭(ほんま・よしあき)
株式会社キャリアファクトリー21代表取締役/マスター講師
過去、金融市場の営業や外資系生保エージェントとして経験を積み、税務・財務・法務案件を解決するコンサルティング企業で、経営コンサルや医療コンサルの実務と知識を習得。2019年5月から2020年1月まで介護老人保健施設で理事長代行として職員の定着に尽力し、半年間に渡り離職者0を達成する。「中堅・管理職・リーダー育成等階層別研修」をはじめとした「階層別研修」「リーダーシップ」「経営業務改善」「意識改革」「コーチング」等のジャンルで指導を行い、幅広い年齢層の人材育成に力を注ぎ、公益財団法人等の諸団体をはじめ介護施設や企業等で指導・セミナー及び講演を多数行う。
人材不足が深刻な介護業界において、介護の質を向上させるための教育はますます重要になっています。一方で、内部リソースの制約から、施設内での教育には限界があり、外部に人材育成を委託する施設も増えています。
そこで今回は、人材育成の外部委託を検討する際のメリットや注意点を解説します。
人材育成の重要性
介護業界では多くの人材が必要とされており、厚生労働省が発表した「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について*1」では、2022年度の介護職員数と比較して、2026年度には+約25万人、2040年度には+約57万人の人材が必要になるといわれています。一方で、労働人口の減少は続いており、施設運営者様にとって人材の確保は安定した施設運営に関わる重要な課題です。このような背景から、新たに流入する人材の育成はもちろんのこと、定着率向上の手段としても人材育成の重要性は高まっています。
人材育成は、従業員のスキルを向上させ、結果として介護の質の底上げにつながるという利点もあります。しかし、人材不足の中、自施設内で研修担当者を確保することは難しく、仮に確保できても担当者に多くの負担がかかってしまいます。さらに、通常業務の合間で教育に必要な最新知識を修得するのも容易ではありません。こうした背景から、人材育成の「外部委託」という選択肢が注目されています。
研修を外部委託するメリット
人材育成を外部委託する場合、研修の運営自体を委託するケースが一般的です。内部研修だけではカバーできない知識の習得や、教育担当者の負担軽減などが期待できます。ここでは、外部委託によって得られる主なメリットを紹介します。
専門的な知識とスキルを得られる
外部の研修会社や講師は複数の介護施設で専門的な研修を数多く実施しており、実績も豊富です。そうした経験を反映させ、効率的に学べる教育プログラムを提供しています。また、専門の研修会社のミッションとして、常に最新情報を追求し、業界の変化にも迅速に対応しています。内部研修ではカバーしきれないマネジメントやリーダーシップなどの知識、人的スキルの習得にも役立てられます。
研修担当者の負担を減らせる
教育プログラムの設計や研修実施にかかる担当者の負担を軽減できるのも、メリットの一つです。外部委託すれば、自施設内で一から計画するのと比較して、少ないリソースでより効果的な研修を実施できます。
教育の水準を一定に保てる
外部委託は教育水準の標準化にも効果的です。内部で研修を行う場合、体制が整っていないと内部の講師担当者が都度異なり、研修内容にばらつきが生じてしまう恐れがあります。一方、研修会社が提供する研修プログラムは標準化されており、すべての従業員様が同じ内容を学べるため、知識やスキルに差が生じにくくなります。
外部委託する際の主な研修形式
外部委託する際の研修形式は主に3種類が考えられます。それぞれの特徴と、目的に応じた研修のタイプについて紹介します。
集合研修
集合研修は、複数人の従業員が一箇所に集まり、講師から直接教育を受ける形式です。実務に即した実践的な教育が可能で、実技を伴う技術研修や、ロールプレイなどを用いるマナー研修、コミュニケーション研修などに効果的です。また他の職場の従業員と一緒に受講する場合は、意見交換を通して視野や知見を広げられるという利点があります。
オンライン研修
オンライン研修は、インターネットを介して講義やディスカッションを行い、リアルタイムで講師とやり取りしながら学べる形式です。階層別研修やリスク管理・感染症対策などの知識の伝達や解説が主となるテーマでよく利用されます。集合研修と同様にリアルタイムのコミュニケーションが可能でありながら、場所の制約が少なく、受講者の都合に合わせやすい点が特徴です。
eラーニング
eラーニングは、学習プラットフォームやアプリケーションを活用し、定型のコンテンツを通して学習する研修形式です。介護に必要な基本的な知識や技術を幅広く学べるため、新人研修などの基礎的な研修で利用されることが多いです。通常業務の合間に自分のペースで柔軟に学習を進められるため、受講者への負担が少なく、効率的に教育を進めやすいのが主なメリットです。
学習管理システム(LMS:Learning Management System)が搭載されたeラーニングであれば、誰がどれだけ学習を進めているかをリアルタイムで把握することもできます。従業員一人ひとりの進捗状況や得意・苦手分野に応じて個別のフォローを行い、教育の効果を高めることにもつなげられます。
外部委託する際に注意すべき点
外部委託には多くのメリットがある一方で、コストや適合性の面で課題が生じてしまう場合もあります。ここでは外部委託を検討する際の注意点と、その対策について解説します。
コスト効率を高められるか
通常、外部研修は内部研修に比べて費用がかかります。短期間のプログラムでは、投資に対する効果が十分に感じられない可能性もあり、長期的に見ると内部研修の方が、コスト効率が高くなる場合もあります。
外部研修を受講した従業員を内部の教育担当者として配置し、研修内容を自施設に展開する体制を整えることで、コスト効率の向上も期待できます。ただし、担当者の負担軽減や教育の標準化といった外部委託のメリットを損なわないために、担当者の役割を明確化し、限定的に設定することが重要です。外部研修で得られた知識やスキルを社内に展開する担当者とは別に、社内のニーズを把握し、研修内容を企画・実施する担当者や、研修効果の測定とフィードバックを行う担当者を設け、一人あたりの負担軽減に繋げましょう。外部研修と内部研修を効果的に組み合わせることで、コスト効率を高めつつ、質の高い人材育成を実現できます。
内部研修と外部研修に共通して言えるのは、プログラムをどのように構成するかでコスト効率が格段に違ってくる点です。時間的制約もありますが、単発ではなく年間を通じたプログラムを策定し、2週間に1回、もしくは月に1回のペースで、定例的に研修を実施することを推奨します。これにより、研修の効果が計画的に蓄積され、結果的にコスト効率の向上にもつながります。
施設特有のニーズに適応できるか
外部研修は一般的な内容で構成されることが多いため、施設特有の課題や文化に十分対応しきれない可能性も考えられます。施設ニーズに合わせてフルカスタマイズされたプログラムを依頼するのも一つの方法ですが、追加の費用や手間がかかることも考えられます。
その時々において必要な特有のニーズは存在するため、十分考慮したうえで実施することをおすすめします。
また、フルカスタマイズされた研修プログラムを一度策定すれば、同一のプログラムを複数年で運用することもできます。同じ内容を複数回受講してもらうことで、職員が入れ替わっても施設の文化を浸透させやすくなる点や、一度では習得しきれなかったスキルも定着させやすくなる点でメリットがあります。
まとめ
介護分野の人材育成を外部委託することは、教育の質を高め、効率化を図るための有効な手段です。目的に合った教育方法を選び、従業員様の成長と定着率の向上につなげましょう。
参考:
厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」
公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度「介護労働実態調査」結果の概要について」
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