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コラム

2020年3月31日更新

2020年度からフレイル健診が開始 そもそもフレイルって何?

2020年度から後期高齢者医療制度の健康診査(以下、健診)で、フレイル状態のチェックが始まります。2019年度までの健診ではメタボリックシンドローム対策に着目した「標準的な質問票」が使われてきましたが、今後はフレイルなど後期高齢者(75歳以上)の特性を踏まえた健康状態を総合的に把握するための「後期高齢者の質問票」に代わります。

厚生労働省の「平成28年 国民生活基礎調査の概況」では、要支援または要介護と認定された方の「介護が必要になった主な原因」のうち、「高齢による衰弱」(フレイル)が全体の13.3%を占めたと報告されています。これは認知症、脳卒中に次いで高い割合です。

国策としてフレイル対策が進められている今、要支援者や要介護者、在宅復帰を目指すご利用者様と直接関わるスタッフ様も、現場で働く一員としてフレイルの知識を身に付けていただければと思います。

本記事では、フレイルに関する基礎的な内容をお伝えします。フレイルの概要説明に加えて、新たな質問票が作成された経緯や、健診で使用される質問票もご紹介します。

 
そもそもフレイルとは?

フレイルとは、加齢によって身体と心の活力が低下した状態のことです(Friedらによる定義)。
具体的には、筋肉の減少・肺活量の低下といった「身体的な衰え」、記憶力の低下・気分的なうつといった「精神・心理的な衰え」、社会的な孤立・経済力の不足・引きこもりといった「社会的な衰え」が挙げられます。これらはそれぞれ、「身体的フレイル」「精神・心理的フレイル」「社会的フレイル」と呼ばれます。また、後期高齢者の方は前期高齢者(65歳~74歳)と比べてフレイルの進行が顕著になるといわれています。

 3つのフレイルを表した図。「身体的フレイル」、「精神・心理的フレイル」、「社会的フレイル」が互いに矢印を指し合っている。身体的フレイルとは、筋肉の減少、肺活量の低下などが生じている状態。精神・心理的フレイルとは、記憶力の低下、気分的なうつなどが生じている状態。社会的フレイルとは、社会的な孤立、経済力の不足、引きこもりなどの状態。

「身体的フレイル」「精神・心理的フレイル」「社会的フレイル」が互いに矢印を指し合っているように(上記の図を参照)、フレイルはこれらが相互に影響し合って発症・悪化します。

例えば、加齢によって食欲が低下することで低栄養状態になり、筋量が減少するとします(身体的フレイル)。すると、筋力・体力に加えて歩行能力が低下するため、外出する気力がなくなり(精神・心理的フレイル)、その結果、引きこもりになってしまう(社会的フレイル)というような関係です。

フレイルは健康状態と要介護状態の中間に位置し、多くの場合、フレイルを経て要介護状態になります。

身体的フレイル、精神・心理的フレイル、社会的フレイルを放置して状態が悪化すると、要介護のリスクが高くなります。平成29年11月に公表された地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの研究によると、「フレイル群」は「フレイルなし群」に比べ、自立喪失(要介護発生または死亡)の発生リスクが約2.4倍と推定されています。

ただし、フレイルは適切な介入・支援により生活機能の維持・向上が期待できる状態でもあります。フレイルを予防するためには、栄養バランスの取れた食事や継続的な運動、社会参加をすることが大切です。

ちなみに、「フレイル」という用語は平成26年に日本老年医学会がfrailtyの日本語訳として提唱したものです。もともとは「虚弱」などと訳されていましたが、それでは身体的、精神・心理的、社会的側面のニュアンスを十分に表現できていないといった理由から「フレイル」と表すことになったようです。

 
フレイル健診開始の経緯

厚生労働省は2019年9月、フレイルなど後期高齢者の特性を踏まえた健康状態を総合的に把握するものとして、新たな質問票「後期高齢者の質問票」の活用を促す事務連絡を発出しました。ここでは、質問票が変更された経緯を説明します。

「後期高齢者の質問票」に変更された経緯

後期高齢者医療制度の健診は、これまで「特定健康診査(以下、特定健診)」に準じて実施されており、質問票も特定健診と同様の「標準的な質問票」を使用していました。ところが、そもそも特定健診はメタボリックシンドローム対策に着目した健診であり、標準的な質問票の内容もまたメタボ対策の視点で作られたものでした。

これに対し、厚生労働省の「高齢者の保健事業のあり方検討ワーキンググループ(以下「あり方検討WG」)」は、標準的な質問票について「高齢者の特性を把握するものとして十分ではない」ことを課題とし、「高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン」で適切な質問票の作成を引き続き検討事項としました。その後、あり方検討WGで検討が重ねられ、今回の「後期高齢者の質問票」が策定されました。

こうして新たな質問票が作られましたが、新たな質問票の役割は高齢者の特性を把握することだけではありません。高齢者のフレイルに対する関心を高め、生活改善を促す目的もあることから、特定健診時に限らず、市町村の介護予防・日常生活支援総合事業における通いの場や医療機関など、さまざまな場面での活用が期待されています。

フレイル健診で使用される「後期高齢者の質問票」

新たな質問票は、高齢者の健康状態を総合的に把握できるよう、「健康状態」「心の健康状態」「食習慣」「口腔機能」「体重変化」「運動・転倒」「認知機能」「喫煙」「社会参加」「ソーシャルサポート」で構成されています。

質問は15項目で、あり方検討WGの資料や日本転倒予防学会監修の「認知症者の転倒予防とリスクマネジメント第 2 版」といったこれまでのエビデンスを生かしつつ、保健事業・回答者の負担を考慮して作られました。

厚生労働省が公表している「資料_別紙1_後期高齢者の質問票の解説と留意事項」には、質問文に関する解説が記載されています。例えば、3問目「1日3食きちんと食べていますか」という質問は、以下のようなねらいがあって作成されたことが分かります。

▼質問文
No03:1日3食きちんと食べていますか

▼解説
● 欠食等による、低栄養のリスクをスクリーニングする質問である。
● “きちんと”という文言から、食事内容、食事時間を想定した回答を得られる。

厚生労働省「資料_別紙1_後期高齢者の質問票の解説と留意事項」より抜粋・一部編集

フレイルに関する情報をより具体的に知りたい方は、質問票と併せて一読してみてはいかがでしょうか。

執筆:花王プロフェッショナル業務改善ナビ【介護施設】編集部

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