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トイレ介助 編

排泄は、健康状態を保つために不可⽋な⽣理現象です。しかし介護の現場ではトラブルが発⽣しがちで、気を使うことが多い介助でもあります。認知症症状や不安だけでなく、羞恥⼼など繊細な感情もあるため、介護者は利⽤者の気持ちに寄り添うことが⼤切になります。
⽂/⾼野千春 イラスト/⽥上千晶

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監修/伊東美緒
東京都健康⻑寿医療センター研究所研究員、看護師、保健師。介護施設や在宅での認知症ケアを研究。著書に『認知症の⽅の想いを探る〜認知症症状を関係性から読み解く〜』など。

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何度もトイレに⾏きたがる⼈にはどうしたらいい?

Aさんは、職員を⽬にするたびに「トイレに⾏きたい」と訴えます。トイレには少し前に⾏ったばかりで、本当に排泄したいようには思えないこともあります。あまりにも頻繁で、業務が滞り気味で困っています。

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失敗体験や、相⼿にしてほしい気持ちから、トイレを訴えていることがあります。

トイレに行っても実際には排尿や排便がない場合は、ほかに理由があると考えられます。過去にトイレでの失敗体験があり不安になっている、寂しさから介護者を求めているなど、その理由を考えるところから始めましょう。

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この場合、誰かにそばにいてほしいと思って、介護者の関心を引こうとしているケースがあります。その理由は「不安」「寂しさ」「所在なさ」などさまざまですが、まずは介護者が「あなたを見ていますよ」というサインを送ることが重要です。そばにいても、少し離れていても、その利用者と目を合わせ、数秒でも笑顔で見つめるようにしましょう。このアイコンタクトを続けるだけで、利用者は安心し、落ち着いてきます。それが訴えを減らすことにつながるはずです。
もちろん、何らかの疾患の可能性もありますから、その間も体調や排泄物の変化は注意して見ていく必要があります。

こんな対応をしてみましょう

訴えがなくても声かけをして安⼼できるように

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⽇常的に「今⽇もいいお顔をしておられますね」など短時間でよいので頻繁に声かけをしてみましょう。短いコミュニケーションでも、周囲のスタッフが代わる代わる⾏うことで、「みんなに気にかけてもらっている」と感じることができ、利⽤者の気持ちが落ち着きます。

トイレ以外に気持ちを向ける工夫をする

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洗濯物を畳むなど、その人が好きな役割を担ってもらうことで、訴えの原因となっていた気持ちをほかのことに向けるようにします。その際「助かります」「ありがとうございます」など、感謝を示すことが大切です。目先の変わったレクへの参加や散歩に行くなど、気分を変えることも有効です。

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トイレに行きたがらない人はどうしたらいい?

タイミングを見計らって声かけをしても、トイレに行こうとしないBさん。しまいには、そわそわ、もじもじしてきて、失敗につながることもあります。なぜトイレに行かないのか、わかりません。

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行きたくない理由を探り、その人の気持ちに配慮した対応を心がけましょう。

排泄は生理現象なので、理由もなく我慢することはありません。トイレに行かないのには、その人なりの理由があるはずです。まずは本人の気持ちになって、何が嫌なのか、気になるのか、探ってみるようにしましょう。

こんな対応をしてみましょう

パッドやおむつを捨てたくない人には……

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最近のパッドやおむつは濡れた感じや不快感が少なく、利用者の中には「まだ使える。もったいない」という気持ちになる人が少なくありません。そこで、パッドやおむつを目の前でゴミ袋には捨てずに、「洗ってまた使いますね」と洗濯物のように回収してみましょう。利用者を納得させることも必要です。

羞恥心が強い人には……

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いくら介助が必要であっても、人前で下着を下ろすことは羞恥心を伴います。布にひもを縫いつけて前掛けのようなものを作り、前面を隠してから下着を下げてもらうようにしましょう。羞恥心が減り、抵抗感を和らげることができます。

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トイレや便器以外の場所に放尿してしまう人はどうしたらいい?

Cさんは、部屋の隅や廊下の観葉植物のあたりなど、トイレ以外の場所に放尿してしまいます。一方、Dさんは、トイレには行くものの、便器にうまく放尿できません。どうしたらうまく誘導・介助できるのでしょうか。

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認知症の影響による可能性も。原因を見極め、症状に合った工夫をしましょう。

トイレの場所がわからない、トイレまで間に合わない、便器が見分けられないなどは、認知機能や身体機能の低下が原因であることが少なくありません。原因を解消できない場合は、排泄に困らないような工夫が必要です。

こんな対応をしてみましょう

トイレ以外の場所で放尿する人には……

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トイレの場所がわからなくても、放尿しやすい場所はわかるようです。ビニールをかぶせて底にトイレットペーパーを丸めて入れたゴミ箱を放尿しがちな場所に置いておくと、そこで用を足してくれます。使用後はゴミ袋ごと廃棄し、再度ゴミ袋やペーパーをセットしておきます。

便器に排尿できない人には……

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便器全体が白っぽいものが多いので、認知症による失認のために便座の内側をうまく認識できないことがあります。その場合、フタの上部や便器の内部、便器の前の床などにテープで目印をつけてみましょう。可能であれば、シートなどで壁や床の色を変え、便器とコントラストをつけるのも効果的です。

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本記事は世界⽂化社の提供により掲載しています。
[出展]レクリエ 2017 11・12⽉

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