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コラム

2024年8月27日更新

介護現場のチーム力を上げるための目標設定とは?リーダーの役割も解説

著者 本間義昭氏のプロフィール写真

著者プロフィール本間 義昭(ほんま・よしあき)
株式会社キャリアファクトリー21代表取締役/マスター講師
過去、金融市場の営業や外資系生保エージェントとして経験を積み、税務・財務・法務案件を解決するコンサルティング企業で、経営コンサルや医療コンサルの実務と知識を習得。2019年5月から2020年1月まで介護老人保健施設で理事長代行として職員の定着に尽力し、半年間に渡り離職者0を達成する。「中堅・管理職・リーダー育成等階層別研修」をはじめとした「階層別研修」「リーダーシップ」「経営業務改善」「意識改革」「コーチング」等のジャンルで指導を行い、幅広い年齢層の人材育成に力を注ぎ、公益財団法人等の諸団体をはじめ介護施設や企業等で指導・セミナー及び講演を多数行う。

介護現場はチームワークが重要ですが、チームのケアの方向性を定めるために目標設定が欠かせません。チーム全員が同じ目標に向かって動くことで、よりケアの質が高まります。そのために重要な役割を果たすのが介護リーダーです。

そこで今回は、チーム目標の重要性や設定の仕方、目標設定におけるリーダーの役割などを、介護施設向けに数多くの人材育成研修を行っている本間義昭氏に解説いただきました。

チーム目標は質の高いケア提供のために必要

介護現場において機能的なチームを作り上げていくためには、介護の質を高めるために何をすればよいのかを現場で十分に話し合い、短期・長期の目標を設定した上で、職員全員に質の高いケアを提供する意識を芽生えさせることが不可欠となります。

これを実現するためには、全職員が目標設定に関わり、明確な目標を共有することが重要です。現場で共通の目標を持つことにより、ご利用者様の個別ニーズに合わせたケアを提供する方向性を導き出せるようになります。

チームの年間目標がご利用者様の個別目標にもなる

チームの年間目標をご利用者様の個別目標につなげることはとても重要です。なぜなら、ご利用者様の個別目標はチーム全体の具体的な行動指針となるからです。取るべき行動の透明性も高まるため、効率性と成果を向上させるためにも重要と言えます。
そのうえで、各職員が年間目標に向けて行動することになりますが、職員個人の捉え方がバラバラだと目標は達成できません。
まずはチームの年間目標をしっかりと共有することがスタートラインになります。その後、ご利用者様の個別目標の達成に向けて、職員個々の目標も設定していきます。

【事例紹介】

ある介護施設では、施設の年間目標として「ご利用者様一人ひとりが自立した日常生活を送れるよう支援する」という共通の目標を掲げています。それを受けて、チームの年間目標は「個別リハビリを100%実施する」と設定。このチーム目標に基づき、ご利用者A様に対してはこれが必要、ご利用者B様には別のメニューが必要というように、ご利用者様の個別目標となるリハビリメニューの検討、立案、作成に発展させています。
チームの年間目標とご利用者様の個別目標が定まったら、職員個々の目標に落とし込んでいます。個人スキルを向上させるための継続的な学習やトレーニングなどを目標に設定しています。

▼目標設定の相関図

目標設定の相関図。施設の年間目標とチームの年間目標を受けて、ご利用者A様の目標「関節可動域を運動を実施する」、ご利用者様B様の目標「筋力トレーニングを実施する」と定めた。そこから職員個々の目標に落とし込み、職員A様「上位資格を目指した学習」、職員B様「コミュニケーションスキルの向上」、職員C様「筋力トレーニングの勉強会に参加」、職員D様「適切なアプローチの学習」と目標を設定した。

目標設定の狙いと期待できる効果

チームの年間目標設定は介護技術と人間力の向上にターゲットを絞った「人財の育成」につながっています。
こうした明確な目標があることで、職員は自身の業務に対する理解を深め、ご利用者様に対してより良いケアを提供するための方向性を持つことができます。また、具体的な目標設定は、ご利用者様の生活の質(QOL)を向上させることや、職員の介護技術の向上で事故・怪我の発生を減少させるなどの成果にもつながります。

目標設定は長期と短期で設定

チームの目標設定は、長期目標と短期目標に分けて考えることが重要です。長期目標は半年から1年、短期目標は1日単位から数週間を目安に設定するとよいでしょう。長期目標は最終的に達成したいことです。そのためのステップとして短期目標を設定します。短期目標は結果が確認しやすいため仕事へのモチベーションを向上させる効果もあります。

【事例紹介】

ある介護施設ではご利用者様が自分らしい生活を送るためのサポートを重視するために、チームの長期・短期目標を以下のように掲げています。

【チームの長期目標】1年間でご利用者様の自立支援率を20%向上させる
【チームの短期目標】毎月、ご利用者様の自立度を評価し、個別の支援計画を見直す

目標設定の狙いと期待できる効果

チームの長期目標を職員個々の目標に置き換えた場合、第一にコミュニケーションスキルの改善が挙げられます。ご利用者様がやりたいことを実現するためには、コミュニケーションを通してご利用者様の要望とその意図を把握し、支援内容を検討しなければならないからです。具体的には傾聴、禁句対応、接遇、ノーマライゼーションといったスキルを向上させていきます。

達成に向け重要になってくるのはリーダーの役割です。職員のスキルを十分把握し、各職員に対し適切な指導およびアドバイスが適宜必要となります。リーダーは分かりやすい指導の仕方を自ら学び、より効果的な方法を見いだすスキルを身に付ける必要があります。
1日単位から数週間という短いスパンで短期目標を達成していくことで、職員のモチベーションアップ、チームワークの高まりも期待できます。

目標達成のためのリーダーの役割

リーダーは、目標達成に向けてチームを導くため、「ミーティングの実施」「コミュニケーション」「調整役」という3つの重要な役割を果たさなければなりません。
「ミーティングの実施」では今後の予定や進捗を確認し、各職員のやるべきことを明確にします。「コミュニケーション」では、職員が困っていることを聞き出し、解決に導きます。
「調整役」では職員間の意見の相違を調整し、対立ではなく議論を行うことで互いを尊重し合う職場を作り上げます。

目標達成を左右する、多職種連携時の調整

目標達成に向け、多職種連携が必要な場合は特に調整力が問われます。多職種間で意見の相違が発生した際は、以下で紹介するような方法で調整を試みましょう。

多職種連携の調整方法


協力を促すための対話

相手との対話を通じて、お互いの立場や意見を理解し、妥協点を見つけることができます。
コミュニケーションを重視し、共通の目標に向かって協力することが大切です。


ルールやガイドラインの設定

意見の相違が生じる可能性のある状況で、事前にルールやガイドラインを設定しておくことで、対立を防ぐことができます。


議論の冷却期間を置く

意見の対立が激しい場合、一時的に議論を中断し、冷静になる時間を設けることが有効です。
感情が高ぶっている状態では、建設的な解決策を見つけることが難しいことがあります。


共通の目標を再確認

意見の相違が生じた際に、共通の目標や価値観を再確認することで、問題解決に向けた方向性を見つけることができます。相手との共通項目を探し、協力して解決策を模索しましょう。


これらの方法は、その時の状況や相手との関係に応じて選択することが重要です。柔軟に対応し、円滑に連携ができるような調整を心がけてください。

まとめ

紹介してきたように、目標設定とリーダーの役割は深い関係にあります。目標達成のためにさまざまな役割はありますが、ご利用者様へのサービスの質を高めるものでもありますし、結果的に自身の成長にもつながります。ぜひ前向きに取り組んでいきましょう。

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