2025年3月25日更新
【アンケート項目例あり】介護施設における利用者満足度アンケートの実施方法
監修者プロフィール/瀬戸 恒彦(せと・つねひこ)
1956年生まれ。1979年神奈川県庁入庁。1993年から福祉部福祉政策課で高齢社会対策に関する各種調査、介護保険制度の立ち上げに従事。2001年(社)かながわ福祉サービス振興会専務理事兼事務局長に就任。2014年6月理事長に就任。現在、シルバーサービス振興連絡協議会会長、一般社団法人かながわ福祉居住推進機構理事長、一般社団法人神奈川県介護支援専門員協会監事も務める。
共著として、『評価が変える介護サービス』法研2003、『介護経営白書』日本医療企画2006、『居宅介護支援・介護予防支援給付管理業務マニュアル』中央法規2007、『新・社会福祉士養成講座第11巻第7章』中央法規2010、『業務改善ハンドブック第1章~4章、7章』中央法規2012。単著として、『基礎力を鍛えるコンプライアンス経営』日本医療企画2014、『介護の現場で人間力を磨く』中央法規2020などがある。
サービス業において、ご利用者様のニーズに応じたサービス提供は満足度に直結し、継続して選ばれるための鍵となります。介護施設も同様で、いかにニーズに沿ったサービスを提供できているかが、施設運営の重要なポイントになります。
それを調べる方法の一つに、利用者向けの満足度アンケートがあります。介護の品質や食事、レクリエーション内容、安全対策など、自施設のあらゆる側面を定量的かつ定性的に評価できるため、運営改善に役立ちます。
そこで今回は、介護施設における利用者向けの満足度アンケートの重要性と、実施方法を紹介します。
ご利用者様の施設満足度アンケートの重要性
ご利用者様の施設満足度アンケートは、単なる施設の客観的評価手段にとどまらず、数ある介護施設からご利用者様に選ばれる施設になるために重要な指針を与えてくれます。ここでは、満足度アンケートの重要性について解説します。
利用者視点のサービス改善
介護ニーズが高まり続ける中、サービスの質向上は介護業界全体で継続して取り組むべき課題であり、そのためにはご利用者様やそのご家族様のニーズを正確に把握することが欠かせません。
満足度アンケートを実施することで、ご利用者様が施設に抱いている満足点・不満点を把握できます。また、介護する側からは気付きにくい、あるいはご利用者様が直接伝えにくい問題を明らかにするためにも効果的です。アンケートで得た情報を基に改善策を講じることで、ご利用者様の視点に立った質の高いサービス提供にもつながります。
施設の信頼性向上
満足度アンケートの実施は、施設への信頼性を高める効果的な手段でもあります。定期的にアンケートを実施して改善を行おうとする姿勢は、施設がご利用者様に対して真摯に向き合っている証であり、施設運営の透明性と誠実さのアピールにつながります。
アンケート結果を公開することで、施設の利用を検討している方や地域社会に対して信頼性をアピールできるという利点もあります。これらの情報は他施設との明確な差別化要因となるため、「選ばれる」ために重要な取り組みと言えます。
アンケート項目の設定
アンケートを効果的なものにするためには、ご利用者様の満足度や意見を的確に引き出せる質問項目を設定することが重要です。ここでは基本的な質問事項と、ご利用者様の心理的ケアに関する質問に分けて具体的な項目を解説します。
基本的な質問事項
まずは、施設サービス全般に関する満足度を把握できるよう、介助内容や施設環境など基本的な項目を設定します。具体的には、以下のような質問が考えられます。
利用者の心理的ケアに関する質問
介護施設における満足度は、環境やサービスだけでなく、ご利用者様の心理的な安心感や幸福感も大きく影響します。そのため、心地よく過ごせているか、職員とのコミュニケーションに満足しているかなど、心理的ケアに関連する質問を取り入れることも重要です。
答えやすい回答形式にする
文字を書くことは手間もかかるうえに、ご利用者様によっては自分で記入が難しいケースも考えられます。職員が代筆する方法もありますが、お互いの手間が増えることになるため、極力、自由回答欄のない回答形式が望ましいです。
「大変満足・満足・普通・やや不満・大変不満」というような選択式にするなど、回答者の負担を減らす方法を検討しましょう。
アンケートの実施頻度と回収方法
アンケートは半年や年に1回など定期的に実施します。ご利用者様の個別の事情に配慮し、書面、口頭でのヒアリング、ご家族様を通じたヒアリングなど複数の回答方法を用意すると良いでしょう。
できるかぎり匿名性を確保することも重要です。ご利用者様が本音で回答しやすいよう、書面には記名を求めず、専用回収ボックスを用意するなどの配慮を行いましょう。また、ご家族様向けのアンケートを同時に実施すれば、ご利用者様本人とは異なる視点からの意見を得ることができます。
アンケート結果の分析と改善策の実施
アンケート結果は今後の施設運営において重要な指針となるため、適切に分析し、改善に役立てることが重要です。
ニーズの把握と改善実施
アンケート結果を基に、ご利用者様のニーズに応じた具体的な強化策や改善策を立案します。例えば、「食事の質が評価されている一方で、メニューの多様性が求められている」場合、献立の選択肢を増やす取り組みを行うなど、具体的な施策まで検討します。また、結果を職員全体で共有し、日常業務の改善につなげるために研修や指導を行うことも重要です。全職員が寄せられた意見を真摯に受け止め、積極的に考え、継続的な改善の仕組みを構築してこそ、アンケートの実施が真に意味を持つといえます。
結果はご利用者様にも共有
アンケート結果をご利用者様やご家族様にわかりやすく公開することは、信頼関係の構築に欠かせません。課題とその改善計画をまとめた書面を作成し、施設内での掲示や資料の配布、ホームページなど通して情報を提供します。アンケート前後の変化を実感しやすくするために、改善策の進捗状況について随時公表するのも効果的です。
ご利用者様目線がサービスの質向上の鍵
いくらサービスの質向上に努めていても、それが管理者や職員の偏った視点で行われていては、本質的な改善にはつながりません。ご利用者様が本当に求めていることを理解し、改善に役立てるためにも、満足度アンケートを実施してみてはいかがでしょうか。初めて実施する場合は、職員の負担を軽減し、学びの効果を最大化する観点から、第三者機関に依頼するのも一つの方法です。
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