嚥下
えんげ
嚥下(えんげ)とは、咀しゃくした食べ物を飲み込んで食道から胃へ送ることです。嚥下は舌の運動や嚥下反射、食道の蠕動(ぜんどう)運動など多くの器官・機能が関わって行われる動作です。加齢によって嚥下機能が低下すると嚥下障害が起こり、肺炎や栄養不足などに陥るリスクがあるため、介護施設ではご利用者様の食事ケアを正しく行うことが重要です。
嚥下障害の症状とリスク
嚥下障害が起こると、食べ物が飲み込みにくくなる「嚥下困難」や、食べ物や唾液が気管に入ってむせる「誤嚥」が発生します。具体的には、以下の症状が嚥下障害に当てはまります。
【嚥下障害の症状の例】
嚥下障害によって食事がうまく摂れない場合、体重の減少・低栄養・脱水などが起こることがあります。また、誤嚥によって窒息したり、唾液や食べ物の細菌が肺に広がって肺炎を起こしたりするリスクもあります。
嚥下障害の原因
嚥下障害の原因は、嚥下に関わる器官の構造に問題がある「器質的原因」、器官を動かす神経や筋肉に問題がある「機能的原因」、心因性の疾患によって起こる「心理的原因」の3つに分けられます。
このうち、高齢者が嚥下障害を引き起こす原因の多くは、咀嚼や嚥下に必要な筋肉が衰える機能的原因です。筋肉が衰えると食べ物を飲み込んだときに気道を閉じることができず、誤嚥を起こしやすくなります。
食事ケアを行う際の注意点
嚥下障害をお持ちのご利用者様に対して食事ケアを行う際は、以下の点を意識しましょう。
【食事ケアを行う際の注意点】
また、栄養士などに相談して、嚥下障害がある方でも食べやすい形に食事を変えることも重要です。例えば、パサついた食べ物やサラサラした飲食物にはとろみをつけたり、噛み切りにくい食材は小さく切ったりなどの工夫が挙げられます。
さらに、食後の口腔ケアを丁寧に行うことも大切です。嚥下障害があると食べ物が口に残りやすいため、口内細菌が繁殖して歯周病になったり、残った食べ物を誤嚥して肺炎になったりする可能性があります。口腔内を清潔に保つために、食後の歯磨きはしっかり行いましょう。
引用・参考文献:
日本歯科医師会「嚥下障害」
日本気管食道科学会「気管食道科に関連する疾患・症状」
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