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介護現場の用語集

QOL

きゅーおーえる

QOL(Quality of Life)は、日本語では「生活・生命の質」と訳される言葉です。QOLの定義は多種多様ですが、WHO(世界保健機関)は「一個人が生活する文化や価値観のなかで、目標や期待、基準、関心に関連した自分自身の人生の状況に対する認識」と定義しています。QOLには身体能力だけでなく精神面や社会的関係、周囲の環境などさまざまな要因が関係しています。介護施設においてご利用者様のQOLを評価・測定するときは、QOLとはどこまでの範囲を指すか、共通認識を持つことが大切です。

QOLに関係する要素

QOLは、個人の心理的な状態や価値観を始め、身体的な状態、経済的な状態、社会関係、社会環境などさまざまな要素によって左右されます。例えば睡眠や休息が十分に取れてない場合は身体的状態が悪く、QOLは低下してしまいます。

 
ご利用者様のQOLを高めるためには、QOLが低下する原因を理解して対策を考えることが重要です。

高齢者のQOLが低下する原因

高齢者のQOLが低下する背景には、加齢による身体機能・口腔機能・認知機能などの衰えが関係しています。


これらの機能が低下すると食生活の乱れ・低栄養、運動量・活動量の低下、慢性的な身体の痛みなどが起こり、自由な生活を送ることが難しくなります。この不自由さがストレスにつながり、心の健康が損なわれてしまいます。そして日々の生活に充実感がなくなり、QOLの低下につながります。


また、不自由な生活や身体の痛みはストレスの原因になるため、心理的な側面からQOLが低下してしまうことがあります。

QOLとADL(日常生活動作)の関係

ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)とは、日常生活を送る上で最低限必要な日常生活動作のことです。食事や入浴、更衣、排泄、階段昇降などが該当します。
 
ADLを維持することは、QOLを高めることにつながります。例えばご利用者様が自分で階段を上り下りできれば行動範囲が広がり、生活の充実度も上がります。

しかし、ADLとQOLはある程度比例するものの、工夫次第ではADLに関わらずQOLを高めることも可能です。階段昇降の例で考えると、施設内にエレベーターがあれば筋力が低下したご利用者様でもある程度の行動範囲を確保することができます。

このように、ご利用者様のQOL向上を考える上では、ADLの維持と合わせて生活環境の整備も重要です。

ご利用者様の生活環境を整えるためには

生活環境の整備は、エレベーターの設置など設備を充実させることだけではなく、日頃の業務の中で工夫することでも実現できます。
 
一例ですが、ニオイケアの取り組みも快適な生活環境をつくることにつながります。ニオイケアを実施することで、排泄臭や体臭などによって食欲やコミュニケーションに支障が出てストレスにつながることを未然に防ぎます。
 
また、日常的なケアでもご利用者様の生活を快適にすることができます。例えば、排泄記録表を活用した生活リズムの改善です。適切なおむつ交換のタイミングを把握し、ご利用者様一人ひとりに合わせた排泄ケアに取り組むと生活リズムが改善されることがあります。
さらに肌トラブルによる痛み・かゆみもストレスの原因となるため、日々の入浴時のスキンケアを丁寧に行うこともご利用者様の快適な生活につながります。

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