2023年5月30日公開
除菌
じょきん
「除菌」とは「増殖可能な菌を対象物から有効数減少させる」ことです。取り除く微生物の種類や程度について決まりはなく、除菌表示に関しては業界団体によって独自に統一基準が設けられています。
除菌の定義は業界によって異なる
日本の法律の中で「除菌」についての定義が見られるのは、食品衛生法の省令で「ろ過等により、原水等に由来して当該食品中に存在し、かつ、発育し得る微生物を除去することをいう」と規定されているのみです。加えて、法律による規制が設けられていないため、各業界(分野)で除菌の意味付けや程度の範囲を規定しています。
「除菌」という表示は、洗剤や漂白剤、アルコールスプレーといった製品(雑貨品)で使われています。定義と同様、表示するための一定基準が各団体によって定められています。以下に述べる「殺菌」のような、薬機法*3に抵触する表示をしないことも定められています。なお、除菌という言葉は学術的な用語としてはあまり使われず、医薬品・医薬部外品には表示できません。
除菌の定義・製品に「除菌」を表示させるための基準
【例1】洗剤・石けん公正取引協議会の場合
■除菌の定義
合成洗剤または石けんについて「物理的、化学的または生物学的作用などにより、対象物から増殖可能な細菌の数(生菌数)を、有効数減少させること」*1と定義。
■表示させるための基準
合否判定のための菌種を黄色ブドウ球菌、大腸菌の2菌種とし、それぞれの菌種で「除菌効果のない対照試料」に対して生菌数を1/100以下に減少させる(除菌活性値が2以上の)能力。*1
【例2】日本衛生材料工業連合会の場合
■除菌の定義
対物・対人用のウェットワイパー類について「拭き取ることにより、対象とする硬質表面(手指などの身体部分を含まない)から増殖可能な細菌数(生菌数)を有効量減少させること」*2と定義。
■表示させるための基準
日本衛生材料工業連合会の表示基準(環境クロス)試験菌種:黄色ブドウ球菌、大腸菌の2菌種
除菌活性値:上記試験菌種すべてに対し、2以上*2。
抗菌・消毒・殺菌・滅菌との違い
除菌と似た言葉に、抗菌、消毒、殺菌、滅菌などがあります。それぞれ定義や表示できる製品が異なります。
抗菌
抗菌は、「菌の増殖を防止する」という意味です。経済産業省の定義では、抗菌加工製品における抗菌の対象は細菌(カビや酵母などの真菌類を除く)としています。肌着・下着、家電製品、風呂製品、キッチン用品、文具用品などさまざまな製品に表示されています。
消毒
消毒は、病原性微生物(細菌やウイルス)の数を減らしたり、除去したりして無毒化することです。薬機法で分類された「医薬品」や「医薬部外品」に表示することができます。
殺菌
殺菌は、細菌などの微生物を死滅させることです。ただし、対象とする微生物の種類や死滅させる程度に定めはなく、一部を死滅させただけでも殺菌したということになります。薬機法で分類された「医薬品」や「医薬部外品」に表示することができます。
滅菌
滅菌とは、有毒・無毒に関わらず、対象物に存在する微生物やウイルスを完全に死滅させ除去することです。国際的には、微生物の生存する確率を100万分の1以下(無菌性保証水準10-6以下)にすることと定められています。薬機法で分類された「医薬品」や「医薬部外品」に表示することができます。
引用・参考文献:
厚生労働省「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)」
厚生労働省「食品衛生法施行規則及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について」
*1 洗剤・石けん公正取引協議会「台所用/住宅用の洗剤について、「除菌」と表示できる基準を設定」より引用
*2 一般社団法人 日本衛生材料工業連合会「除菌を標榜するウエットワイパー類の自主基準」より引用
*3 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(本稿では以下薬機法と記載)
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