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コラム

2018年7月18日更新

施設で取り組む熱中症予防 高齢者向けの対策とは?

熱中症は気温が高くなる梅雨時から、残暑の厳しい9月頃まで発生します。ご利用者様はもちろん、スタッフ様も含めて施設全体で熱中症対策に取り組むことが大切です。

施設内でも気を付けたい熱中症のリスク

熱中症は高温多湿な環境下で、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破たんすることで起こります。体温の上昇やめまい、頭痛、吐き気などといったさまざまな症状の総称です。ご高齢の方は体力が低下している場合が多く、また暑さに対する感覚も鈍くなり体温調節が難しくなることから、熱中症のリスクが高いとされています。
さらに、個人の体調や持病によっても熱中症のリスクは異なります。一例を挙げると、利尿剤を服用しているご利用者様は、薬の効果のため脱水しやすい傾向があります。小さな変化を見逃さないよう、細心の注意が必要です。
 
また、施設で働くスタッフ様にも熱中症のリスクがあります。例えば入浴介助は高温多湿な環境に長く滞在するため、熱中症のリスクが高まります。一人が連続して入浴介助を担当することがないよう、休憩を挟むなどの工夫が必要です。また、忙しさのあまり水分補給を怠り、体調を崩してしまうケースもあります。業務の合間の水分補給や、市販の冷却グッズを使用するなど、熱中症予防に努めましょう。

熱中症を予防する3か条

夏場は水分補給と冷房の適切な使用を心がけ、熱中症に備えましょう。ここでは熱中症を予防するポイントを3点ご紹介します。

1.水分摂取が基本

水分補給は熱中症対策の第一歩です。高齢者は水分不足に対し鈍感になっているため、周囲が積極的に声を掛けて水分補給を促しましょう。「起きたらコップ1杯のお茶を飲んでいただく」など、水分摂取を習慣化することも一つの対策です。
 
また、おやつの時間に果物やゼリーなど、水分の多い軽食を用意したり、食事に味噌汁やスープなどの汁物を追加することでも水分を補給できます。トイレが近くなることを心配してお水を嫌がる方もいますから、飲み物以外で水分を補給する方法についても検討してみるのも良いですね。

2.快適な「室温」を意識する

クールビズのために室温を28度と設定している企業や学校もありますが、介護福祉施設について、冷房の温度を具体的に定めた法律やマニュアルはありません。ご利用者様の体調に合わせて調整することが求められます。
 
複数のご利用者様が生活する多床室では、エアコンの位置によって寒暖差が生まれることもあります。エアコンに風よけカバーを付けたり、ベッドの配置をずらしたりしてご利用者様が快適に過ごせるよう工夫してみましょう。
 
また、エアコンは汚れやホコリが溜まると機能が低下し、部屋を十分に冷却できなくなります。2週間に1回を目安にフィルターを清掃するなど、定期的なメンテナンスも冷房効率を向上させるポイントです。

冷房を嫌うご利用者様にはどうしたら?
ご利用者様の中には冷房を嫌がる方も少なくありません。冷房の使用を嫌がられたら、扇風機を併用するなどして室温を適切に保ちましょう。
カーディガンなどを羽織っていただき冷房の風が直接当たらないようにすることもおすすめです。また、レースカーテンを閉めたり、屋外にグリーンカーテンを作ったりすることで室温の上昇そのものを抑える方法もあります

3.入浴時・就寝時にも注意を

熱中症は炎天下で起こるとは限らず、入浴中・睡眠中に熱中症を起こす事例も報告されています。特に入浴中は汗をかいても分かりづらいため、注意が必要です。入浴や睡眠の前後にはコップ一杯(約200ml)の水を飲んでいただくなど、水分補給を行って脱水状態に陥らないよう配慮しましょう。なお、お茶やコーヒーは利尿作用があるため、就寝前の水分補給はお水が良いとされています。

また、睡眠不足や体調不良の方は熱中症になりやすいと言われています。ご利用者様はもちろん、スタッフ様を含めたみなさまの健康管理が大切です。

様子がおかしいときはすぐ病院へ

もしご利用者様が熱中症になってしまった場合は、日光の当たらない涼しい場所で安静にし、水分や塩分を補給します。休憩すると症状がおさまることがほとんどですが、ご利用者様の様子に異変があれば病院へ相談してください。水分補給や気温・室温に気を付け、快適な環境づくりを心がけましょう。

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