排尿日誌とは、起床から翌朝までの排尿時刻や排尿量などを記録する日誌です。これらの情報を記録することで、ご利用者様の排尿状態や失禁タイプを把握・推測することができます。記録するにあたり、専門的な知識や難しい技術は必要ありません。
日誌から排尿パターンを把握することは、排尿ケアの質を高めるうえでも有効です。医師が診察・診断する際にも役立つ資料となるため、定期的に記録することをおすすめします。
排尿時刻や排尿量のほか、尿モレの有無や回数、状態などを細かく記録することで、ご利用者様のより詳しい排尿状態を知ることができます。
また、薬剤の効果を確かめるための有効な資料になるほか、適切なおむつタイプの選択、おむつ交換時間の推測などにも役立ちます。
●排尿障害の把握
⇒排尿障害のタイプを推測できる(治療可能な排尿障害であれば泌尿器科の受診を検討できる) ●排尿と水分摂取の関係の把握
⇒おむつ交換の適切な時間やトイレ誘導のタイミングがわかる
●尿量やモレ量の把握
⇒排尿量に合ったおむつタイプを選べる ●使用している薬剤と排尿の関係の推測
⇒治療の効果がわかる ●膀胱訓練の基本情報を得られる
⇒ケアの成果がわかり、施設のスタッフ様など介護者のモチベーションにつながる
排尿日誌は、1日を通した記録を、3日以上継続して行うことが望ましいです。特に自ら尿意を訴えることができない方を対象とする場合は、1時間おきに記録するなど小まめな確認が大切です。
また、ご利用者様の状態によって尿量の測り方なども変わります。例えば排泄の自立度が高い方の場合は、失禁パッドの汚れ具合の確認や、紙コップなどを利用して排尿量を計測します。一方、排泄の自立度が低い方の場合は、使用後のおむつから使用前のおむつの重さを引いて算出します。
排尿日誌のつけ方
❶最低でも24時間連続してつける。 ❷できれば3日以上継続してつけることが望ましい。 ❸膀胱訓練の期間中は継続してつけることが望ましい。 ❹排尿時刻・量、尿意の強さ、モレの有無・状況・量をつけることが理想。 ❺排尿状況をより具体的に理解するため、水分摂取時刻・量・種類をつける。
❻認知症のある方を記録する場合は、誘導時の状況も加える。
❼意思表示できない方を対象とする場合は排尿の法則性を読み取るため、一定の時間に関わる。
排尿日誌の規則
❶夜間排尿は就寝してから起床までの時間とする。 ❷起床時の排尿は寝ている間につくられたものであるため、前日の夜間排尿の量とする。
❸日中排尿は起きている時間の排尿を示す。 ❹排尿量とモレ量は区別する。
❺導尿した場合は、自尿量と導尿量を区別する。
「新・排泄ケアワークブック―課題発見とスキルアップのための70講」西村かおる(著)を参考に作成
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