2021年10月19日更新
介護施設のケアマニュアルを作る際のポイントと注意点
ご利用者様のケアに関わるマニュアル(ケアマニュアル)は事故やトラブルを防止し、個人の経験や勘に頼らないサービスを提供するうえで重要なツールと言えます。しかし、通常の業務が忙しくケアマニュアル作成になかなか手を付けられない介護施設様も少なくないでしょう。また、多忙な業務の合間を縫ってケアマニュアルを作成しても現場で活用されていないケースがあり、実用的なマニュアルの整備は一筋縄ではいきません。
そこで今回は、介護施設におけるケアマニュアルの重要性を改めて確認するとともに、現場で活用されるケアマニュアルを作成するために意識したいポイント・注意点を解説します。
介護施設におけるケアマニュアルの重要性
ケアマニュアルは、介護施設様が日頃から追求している「事故やトラブルの防止」「生産性の向上」に大きく関わっています。この2つの観点から改めてケアマニュアルの重要性を考えてみましょう。
事故やトラブルの防止につながる
ケアマニュアルには、スタッフ様個人の判断による事故やトラブルを防止する役割があります。ケアの基本をマニュアルにまとめておくことで、スタッフ様一人ひとりが正しい手順・方法でご利用者様のケアができるようになるからです。
一方で介護においてはご利用者様ごとに配慮したケアが重要であることから、「マニュアルを導入すると画一的なケアになってしまうのでは」と心配になるかもしれません。しかしマニュアルに基づいたケアは、あくまで事故・トラブルの予防を目的としています。マニュアル遵守によってリスクを軽減した上で、ケアプランに基づく個別の対応を行うことでご利用者様一人ひとりに合わせたケアを実現できます。
さらにケアマニュアルの導入は、ご利用者様だけでなくスタッフ様を守ることにもつながります。万が一事故やトラブルが発生してしまった場合でも、スタッフ様がマニュアルに基づいたケアを行っていれば個人の過失を責められることから防ぐことができます。
生産性の向上につながる
基本的なケアを仕組み化することでスタッフ様それぞれが業務の方法や手順を一から考える必要がなくなり、業務を効率的に行うことができます。効率化によって生まれた時間はご利用者様への個別のケアに充てることができますし、無駄な作業がカットされれば、スタッフ様の負担軽減にもなります。
また、ケアマニュアルは業務の属人化を防ぐ側面もあります。例えば担当スタッフ様が急遽休んだ場合でも、他のスタッフ様がマニュアルに沿ってケアを実施でき、ケアを途切れさせることがありません。
さらにスタッフ様の育成にも活用できます。十分な説明が載っているケアマニュアルがあれば新人でも一人で業務を進められるため、スタッフ様一人ひとりの戦力化を早めることにつながります。
ケアマニュアルを作る際のポイントと注意点
ケアマニュアルは、最終的に日常的なケアの場面で活用されなければ意味がありません。スタッフ様が活用しやすいケアマニュアルにするには、作成時のポイント・注意点がいくつかあります。
実際のケアの場面でできない内容は書かない
ケアマニュアルを作る際は、「歩行時は常に側で付き添う」など実際の現場で行うことが難しい内容を書かないように注意しましょう。ケアマニュアルは施設におけるルールとなるため、つい理想を高く設定してしまい現実とかけ離れた内容になってしまうことがあります。実行に移せない内容ばかり書いてあるとスタッフ様は「読んでも参考にならない」と判断し、ケアマニュアルは次第に使われなくなります。
また、理想が高すぎるケアマニュアルを作ってしまうと、内容を遵守しなかったことで事故が発生した場合に事業者の過失が問われるリスクもあります。
現場で活用されるケアマニュアルを作るためには、施設の設備環境や人材の状況などを鑑みて内容を検討することが大切です。
読み手を意識して誰でも理解しやすい内容にする
各業務の理解度はスタッフ様によって異なるため、ケアマニュアルを作成するときは誰が読んでも理解できる「読み手視点」の説明を心掛けましょう。
マニュアル作成でよくある失敗は、作成者が自分の知識・技術のレベルを基準に「これくらい当たり前だから、書かなくても大丈夫だろう」と判断して、説明不足になることです。
以下のようなポイントを意識し、十分な説明が載った読み手視点のケアマニュアルを作りましょう。
情報を視覚的にまとめる
ケアマニュアルは、文章だけで説明するのではなく図や表などを用いて視覚的にまとめることでより理解しやすくなります。
例えば、業務の流れを説明する部分はフローチャートを載せたり、手順が多く作業ミスが発生しそうな内容はチェックリストにしたりといった工夫ができます。
業務の流れをフローチャートにする
業務の流れをフローチャートにまとめることで、スタッフ様は仕事内容の全貌をひと目で把握することができます。また、フローチャートによって個々の作業の関係性が見えると、スタッフ様は「この作業を行わなければ後の業務でトラブルが発生してしまう」と想像しやすくなります。それぞれの作業の重要性を理解してもらうことにつながり、慣れや気の緩みから起こる事故・トラブルの防止にもなります。さらに、フローは様々なパターンを想定して作ることで、ご利用者様の状態や施設の状況に合わせた判断に役立てることができます。
フローチャートを簡単に作るためのコツがあります。まずふせんなどの紙に手順を一つずつ書き出し、普段の業務風景を思い出しながら紙を並び替えるようにして整理しましょう。紙を並び替えたら手順の過不足を確認してください。フローをいくつかのパターンに分ける場合は、分岐点にふせんを追加していきます。
手順が多い作業をチェックリストにする
チェックリストを用いると「まだ終わっていない作業」が明確に分かるため、ケアレスミスを防ぐことにつながります。
チェック項目を作る際は、スタッフ様によって作業の基準が変化しないよう、数字などを用いて具体的に記載するようにしましょう。またチェックボックスを設けて作業の抜け漏れがないかひと目で分かるようにすると、より確実にケアレスミスを防止できます。
ケアマニュアル作成に合わせて業務のチェック体制も整える
ケアマニュアルが「作って終わり」にならないよう、マニュアル内容に基づいて業務が行われているかどうかを定期的にチェックする仕組みを整えることも重要です。例えば、数カ月に1度、管理者やサービス責任者が一人ひとりのスタッフ様のケアの様子を確認するなどが良いでしょう。
何よりスタッフ様にケアマニュアルに則った業務を行ってもらうためには、「ケアマニュアルが業務の基本である」と強く認識してもらうことが大切になります。チェックによってマニュアルが遵守されていない業務が見つかったら、スタッフ様への研修の機会を設けたり、評価に反映したりするなど工夫しましょう。
ただし、マニュアルに沿ったケアが行われない背景として、そもそもケアマニュアルの内容が施設の実態に即していない可能性もあります。実態に合わせて内容の見直しも検討することが重要です。
ケアマニュアル整備に役立つ資料のご案内
ケアマニュアルの整備が重要だと理解してはいても「スタッフ様によってケアの手順・方法が違いすぎて何を標準としたらいいか分からない」「ケアの仕方を一から整理する時間がない」といったケースもあるでしょう。
業務改善ナビには、手洗い方法や汚物処理方法などを分かりやすい動画形式でご視聴いただける勉強会用コンテンツを掲載しております。ケアマニュアルの内容を検討する際の参考の1つとしてご活用ください。
また、お役立ちツール・資料ダウンロードでは、浴室清掃や紙おむつのあて方などのオペレーションマニュアルとして活用できるダウンロード資料を掲載しています。例えば、紙おむつのあて方であれば、「リリーフあて方のポイント」としておむつのタイプ別に手順をまとめた資料がございます。これらもケアマニュアル作成時の参考としてお役立てください。
オペレーションマニュアルにご活用ください
「浴室清掃」や「紙おむつのあて方」などのダウンロードコンテンツをご用意しております。
オペレーションマニュアルや、ケアマニュアル作成時の参考としてにぜひご活用ください。
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