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コラム

2023年9月19日更新

認知症介護基礎研修の完全義務化!事業者の責務や対象者は?対応内容を再確認

厚生労働省は令和3年度(2021年度)の介護報酬改定で、「認知症介護基礎研修」の義務化を決定しました。2024年度からは完全義務化となりますが、介護事業者にどのような影響があるのでしょうか。
 
今回は義務化の目的や基礎研修の対象となる職員、免除されるケースについて解説します。施設として対応が必須となりますのであらためて確認しましょう。

認知症介護基礎研修の義務化。事業者の責務は?

「認知症介護基礎研修」とは、認知症介護に求められる基本的な理解や対応方法を習得するための研修です。2021年4月から受講が義務化され、3年間の猶予期間を経て、2024年4月以降は研修受講が必須となります。以下に義務の対象などをまとめています。


対象の事業者

すべての介護サービス事業者。

  • 無資格者がいない訪問系サービス(訪問入浴介護を除く)、福祉用具貸与、居宅介護支援を除く

受講対象者

認知症介護に携わるすべての介護職員。
詳しくは後述の「認知症介護基礎研修の対象者」にて紹介。


新たにスタッフを採用した場合

採用後1年間の間に研修を受講させる。


受講義務を怠った場合

対象者に研修を受講させていない事業者は行政処分の対象になる。


義務化の目的は?

認知症施策推進関係閣僚会議が取りまとめた「認知症施策推進大綱」に義務化した理由が記載されています。

認知症についての理解のもと本人主体の介護を行い、できる限り認知症症状の進行を遅らせ、BPSDを予防できるよう、認知症介護基礎研修、認知症介護実践者研修、認知症介護実践リーダー研修、認知症介護指導者養成研修を推進する。

引用元:認知症施策推進関係閣僚会議「認知症施策推進大綱」

高齢化が進む中、認知症患者の増加も見込まれており、認知症介護の知識やスキルを持った人材がより必要になってきます。そうした状況においても適切なケアを提供できるようにするため義務化を決定しています。

ちなみに大綱で推奨されている「認知症介護実践者研修」「認知症介護実践リーダー研修」「認知症介護指導者養成研修」は、受講条件に実務経験が含まれています。その他、詳しい受講条件などについては「認知症介護に活かせる研修・資格10選!取得方法や費用も紹介」でご紹介していますので、あわせてご覧ください。

認知症介護基礎研修の対象者

受講対象は認知症介護に携わる介護職員全員です。
認知症介護の基礎知識・技術と実践する際の考え方を身につけ、基本的なサービスを提供することが研修目的でもあるため、働いている施設の規模やサービスの種類は要件に含まれていません。
ただし、以下のケースにあてはまる場合、受講が免除されます。

免除されるケース

●医療・福祉関連の資格を持っている人

医師、看護師、准看護師、介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員初任者研修修了者、生活援助従事者研修修了者、介護職員基礎研修課程修了者、訪問介護員養成研修一級課程・二級課程修了者、社会福祉士、理学療法士作業療法士言語聴覚士管理栄養士、栄養士 など

●一定の研修を修了している人

  • 認知症介護実践者研修、認知症介護実践リーダー研修、認知症介護指導者研修などを修了済みの人
  • 福祉系高校で認知症に関わる科目を受講し、卒業している人
  • 養成施設で認知症に関わる科目を受講し、履修を証明できる人

●その他

  • 人員配置基準上、従業員として算定されない人や、直接介護に携わる可能性がない人

外国人スタッフも受講対象になる?

外国人スタッフも従業員の員数として算定され、直接介護に携わる可能性がある場合は受講が義務づけられています。ただし、医療・福祉関係の有資格者(EPA介護福祉士、在留資格「介護」など)は義務づけの対象外です。
日本人向けの基礎研修を受講することが難しい場合、やさしい日本語(日本語能力試験のN4レベル)、英語、ベトナム語、インドネシア語、中国語、ビルマ語の補助テキストを選択して受講できます。なお、日本で就労するうえで日本語が必須なことから、受講は全て「やさしい日本語」表示となります。

認知症介護基礎研修はeラーニングで受講可能

認知症介護基礎研修は自治体ごとに実施され、ほとんどの場合eラーニングで受講できます。受講費用も自治体により変わりますが、1,000円〜3,000円程度が多いです。動画視聴は約150分ですが、各章ごとに出題される「確認テスト」や「入力問題」に要する時間が別途必要となります。修了試験はなく、認知症介護基礎研修の全科目を受講終了した方に修了証書が発行されます。

研修内容

厚生労働省が示す標準カリキュラムに基づいた内容になっており、講義動画の視聴と確認テストを行いながら学びます。確認テストは各章で5問ずつ出題され、全問正解しないと次の章に進めません。ご参考までに社会福祉法人認知症介護研究・研修仙台センターが実施するeラーニングの内容をご紹介します。

序章:認知症を取り巻く現状

認知症や認知症介護に関する国の考え方や方向性を、「認知症施策推進大綱」の概要を通して学びます。

1章.認知症ケアにおいて基礎となる理念や考え方

認知症の方やその家族の視点を理解するため、認知症本人の言葉や日々の行動を通して学びます。認知症に対する過去の誤解と現在の違いを把握し、認知症の方中心の視点を身につけます。

2章.認知症の定義と原因疾患

「アルツハイマー型認知症の原因と症状」「血管性認知症の原因と症状」など、認知症の種類やその特徴について学びます。

3章.認知症の中核症状と行動・心理症状の理解

アルツハイマー型認知症を例に、中核症状が生活・心理面に与える影響などを学びます。
また、望ましい生活環境や健康管理方法などについても学びます。

4章.認知症ケアの基礎技術

認知症の治療やご本人様への具体的な関わり方を学びます。また、認知症の方を介護するご家族様への支援方法についても学びます。

まとめ

認知症介護基礎研修の義務化は超高齢社会が進む時代背景を考慮し決定されましたが、介護の質の底上げにも必要な研修といえます。受講を怠ると施設としての責任が問われますので、受講対象者、免除されるケースをしっかり把握して対応しましょう。


参考:
認知症施策推進関係閣僚会議「認知症施策推進大綱
社会福祉法人東北福祉会 認知症介護研究・研修仙台センター「認知症介護基礎研修 eラーニングのご案内

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