コラム

2021年5月25日更新

排泄物が感染源になることも… 紙おむつの適正な捨て方 

紙おむつに付着した排泄物は感染源になる可能性があるため、正しく処理することが大切です。そこで今回は、紙おむつの適正な捨て方についてご紹介します。感染性廃棄物として処理する際のフローについてもご説明していますので、感染対策を強化されたい介護スタッフ様はぜひご覧ください。

  • 本コラムは、2021年3月10日時点で公表されている情報を元に作成しております。  

紙おむつの適正な捨て方 

便や尿といった排泄物には、感染症の原因となる微生物が含まれている場合があります。介護スタッフ様は排泄物が感染源になる可能性があることを注意しつつ、紙おむつを処理しましょう。ここでは、ご利用者様が使用した紙おむつを捨てるまでの手順をご説明します。 

【1】個人防護具を着用する 

介護スタッフ様がおむつ交換時に、排泄物に含まれている(もしくは排泄物の表面に付着している)病原体に感染しないよう、個人防護具を着用します。おむつ交換時は基本的に「手袋」「エプロン」を着用しますが、感染リスクが高くなる場合はこれらに「マスク」「ゴーグル」を加えます。なお、個人防護具を着用する前に手指衛生を行うことを忘れないようにしてください。 

【2】汚れた部分を内側にして丸める 

紙おむつは一つ一つ、汚れた部分を内側にして小さく丸めます。丸め方は以下の通りです。 

紙おむつの丸め方を表すイラスト。「パンツタイプ」「2wayタイプ」「テープ止めタイプ」の3つのタイプそれぞれの丸め方を表している。

  • 汚染がひどい場合は、速やかに紙おむつをビニール袋に入れましょう。
    なお、作業中に手袋が汚染した場合、環境に病原体が付着する可能性があるので注意します。

【3】個人防護具を脱ぎ、紙おむつとともにビニール袋に入れる 

「手袋→ゴーグル→エプロン→マスク」の順に個人防護具を脱ぎ、紙おむつとともにビニール袋に入れます。このとき、ビニール袋に入れたものが外に飛び出ないよう、袋の口はきちんと縛るようにしましょう。ビニール袋の口を縛ったら、ふた付きのゴミ箱に捨てます。

【4】手指衛生を行う

介護スタッフ様の手指に病原体が付着している可能性があるため、最後に手指衛生を行いましょう。ただ、繰り返し手指衛生を行うと、手が荒れる可能性があります。手荒れは感染リスクを高めるため、皮膚への刺激が弱い手洗い剤・手指消毒剤の使用をおすすめします。 

感染性廃棄物としての処理方法

介護施設の種類や廃棄物の状態によっては、紙おむつを感染性廃棄物として処理する必要があります。ここでは、「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」(以下、マニュアル)などを元に、感染性廃棄物の定義から感染性廃棄物としての処理フローまでご説明します。 

そもそも感染性廃棄物とは?感染性廃棄物の判断基準

感染性廃棄物とはどのようなものを指し、何を基準に判断すると良いのでしょうか。マニュアルによれば、感染性廃棄物は以下のように定義されています。 

【感染性廃棄物の定義】 
「感染性廃棄物」とは、医療関係機関等から生じ、人が感染し、若しくは感染するおそれのある病原体が含まれ、若しくは付着している廃棄物又はこれらのおそれのある廃棄物をいう。 

つまり、感染性廃棄物とは、以下の(ア)かつ、(イ)もしくは(ウ)に該当する廃棄物を指します。 

(ア)医療関係機関等から生じる廃棄物
 ▼医療関係機関等
 ・病院
 ・診療所(保健所、血液センター等はここに分類される。)
 ・衛生検査所
 ・介護老人保健施設
 ・介護医療院
 ・助産所
 ・動物の診療施設及び試験研究機関(医学、歯学、薬学、獣医学に係るものに限る) 

(イ)人が感染し、もしくは感染するおそれがある病原体が含まれ、もしくは付着している廃棄物 

(ウ)人が感染し、もしくは感染するおそれがある病原体が含まれ、もしくは付着しているおそれのある廃棄物 

通常、介護老人保健施設や介護医療院といった医療関係機関等から排出される廃棄物は、マニュアルに示されている「感染性廃棄物の判断フロー」に沿って判断します。 

感染生廃棄物の判断フロー

 感染性廃棄物の判断フローを3つのステップで表した図。  ステップ1で形状を確認し、次のいずれかに該当する場合、感染性廃棄物と判断される。  1,血液・血清・血漿及び体液 2,病理性廃棄物 3,病原微生物に関連した試験、検査等に用いられたもの。 4,血液等が付着している鋭利なもの  ステップ2で排出された場所を確認し、次のいずれかに該当する場合、感染性廃棄物と判断される。  感染症病床、結核病床、手術室、緊急外来室、集中治療室及び検査室において治療、検査等に使用されたあと排出されたもの。  ステップ3で感染症の種類を確認し、次のいずれかに該当する場合、感染性廃棄物と判断される。  1,感染症法の一類、二類、三類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症及び新感染症の治療、検査等に使用されたあと、排出されたもの 2,感染症法の四類及び五類感染症の治療、検査等に使用されたあと、排出された医療器材等(ただし、紙おむつについては特定の感染症に係るもの等に限る)

なお、新型コロナウイルス感染症(※)は、令和3年2月13日に法改正によって「新型インフルエンザ等感染症」に定められました。

  • 病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和2年1月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)であるものに限る。

感染性廃棄物の処理フロー

ここでは、感染性廃棄物を処理するまでの流れについて、それぞれ簡単にご説明します。感染性廃棄物のうち、医療法、感染症法、薬機法などによって規制されている廃棄物は、マニュアルのほか、当該法令に基づいて処理します。 

【感染性廃棄物の処理フロー】 

 感染性廃棄物の処理フローを表す図。

 感染性廃棄物の処理フローを表す図。

 感染性廃棄物の処理フローを表す図。

【1】分別 

医療関係機関等から発生する廃棄物は、「感染性廃棄物」「非感染性廃棄物」「これ以外の廃棄物」に分けることができます。「感染性廃棄物」には感染リスクのある病原体が付着、もしくは含まれている可能性があるため、それらを拡散させないよう、他の廃棄物と分別して排出します。 

【2】梱包

感染性廃棄物の収集運搬を行う場合、廃棄物は容器に収納しておく必要があります。以下のような容器に入れ、密閉させましょう。  

  • 密閉できること
  • 収納しやすいこと
  • 損傷にしくにこと 

【3】施設内における移動

ご利用者様の居室から保管場所に向かう最中に内容物が飛散・流出しないよう、感染性廃棄物が入った容器はフタをしてから、カートなどを使って移動させます。

【4】施設内における保管

感染性廃棄物は他の廃棄物と区別して保管します。また、感染性廃棄物の保管場所には、関係者が見やすい箇所に「感染性廃棄物の存在」と「取扱い注意事項」などの表示を行い、周囲の注意を促します。 

【5】容器の表示 

感染性廃棄物の容器にも、「感染性廃棄物であること」「取扱う際に注意すべき事項」を表示します。感染性廃棄物か否かをひと目で識別できるよう、感染性廃棄物であることを示すマークは、全国共通のバイオハザードマークを使用することが推奨されています。バイオハザードマークは性状に応じて「赤」「橙」「黄」と色分けすることが求められており、紙おむつは固形状であるため、橙色のバイオハザードマークがついた容器に入れて廃棄します。 

【バイオハザードマーク】 

バイオハザードマークの画像。

【6】施設内における中間処理

施設内で、自ら中間処理を行う場合は、以下の方法によって、廃棄物の感染性を失わせます。

  • 焼却設備で焼却する方法
  • 溶融設備で溶融する方法 
  • 滅菌装置で滅菌する方法
  • 消毒する方法

感染性廃棄物の処理フローについてくわしくは環境省の「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」をご覧ください。 

執筆:花王プロフェッショナル業務改善ナビ【介護施設】編集部

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