コラム

2022年10月25日更新

介護現場で求められる接遇マナーの基本

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監修者プロフィール/ 柏瀬 美奈子(かしわせ・みなこ)
学生時代「小笠原流礼法」を学び花鬘正傳(はなかずらのしょうでん)取得。
短大にて介護福祉士を取得し、卒業後は特別養護老人ホーム、在宅サービスセンター、訪問介護で約10年介護の実務経験を積む。訪問介護では、サービス提供責任者として勤務。
ホームヘルパー2級、1級、福祉用具専門相談員等の講師を行い、大手介護事業者にて社内教育に携わる。また、法的資格講座以外に、法人向け研修の講師、介護福祉士受験対策講座や看護助手講座の教材制作等を行う。
現在は、ヒューマンライフケア株式会社の人材開発担当責任者として、研修プログラムの開発・企画、教材コンテンツ(VR、eラーニング等)の制作、研修運営や社内資格「ケアテクニカルマイスター」「認知症KAIGOマイスター」の企画から携わり、現在は運営管理を行っている。また、定期的に介護雑誌の監修、法人向け、行政向けの研修講師を務める。

利用者の尊厳を守り、信頼関係を築くため、介護職には「接遇」を身につけることが求められます。もともとは主に接客業で重視されていたものですが、介護業界でも接遇マナーの向上が必要といわれるようになり、近年では研修に取り入れる施設も増えています。

介護の現場で求められる接遇マナーにはどのようなものがあるのでしょうか。今回は、介護職員が身につけておきたい接遇マナーの基本についてご紹介します。

  • 本媒体では、介護施設等の入所者とその家族を「ご利用者様」「ご家族様」、施設職員を「スタッフ様」と表記しておりますが、本記事では「利用者」「家族」「スタッフ」としております。

介護職員が身につけておきたい接遇マナーとは

はじめに、接遇の意味と介護の現場で接遇が求められている背景について説明します。

接遇とは

接遇とは、お客様が必要としていることをくみ取り、思いやりやおもてなしの心を持って接することです。百貨店やホテルなどの接客業で重視されてきたスキルですが、近年では利用者に介護サービスを提供する介護職にも求められています。

介護の現場での接遇は、よりよいサービスを提供するために、利用者が必要とするケアやサービスは何かを考えながら、思いやりを持って接することを指します。

心地よい挨拶や元気な笑顔は、相手に安心感を与えます。接遇マナーは、利用者・家族に安心してサービスを受けてもらうためにも重要な事柄です。丁寧な姿勢でコミュニケーションをとることで信頼関係が生まれ、よりよいケアを実施できるようになります。

介護現場で接遇が求められている背景

介護の現場で接遇が求められている理由には、主に次の3つがあります。

  1. 安全性の高い介護サービスを提供するため
  2. 顧客満足向上のため
  3. 利用者の尊厳を守るため

1.安全性の高い介護サービスを提供するため

利用者や家族が安心できる安全な環境を提供するためには、利用者との信頼関係が不可欠です。日常のケアには利用者に直接触れて行うものもあるため、信頼関係を築けていないと、必要なケアを実施しようとした際に利用者から抵抗されてしまい事故につながってしまうなどのおそれがあります。

事故を防ぐためにも、スタッフ一人ひとりが利用者とその家族から信頼されるように、利用者が「大切な存在である」ことを態度で示す必要があるのです。

2.顧客満足向上のため

医療や介護の現場でも、利用者は顧客であるという意識が浸透しつつあります。顧客である利用者へよりよい対応・サービスを行うことは、家族の満足度向上にもつながります。

顧客満足の向上は、施設を経営するうえでも欠かせないものです。介護施設では、利用者をケアするスタッフ一人ひとりの対応が施設全体としての信頼につながります。多くの方に安心してもらえる施設として認知されるためにも、接遇マナーを浸透させ、信用を得ることが重要です。

3.利用者の尊厳を守るため

利用者は、ほとんどの場合スタッフよりも年長者です。人生の先輩への敬意を持って接し、失礼がない対応を心がける必要があります。常に利用者に失礼のない対応をとるためにも、接遇スキルは重要です。

接遇マナー向上のメリット

接遇マナーの向上によって得られるメリットは複数あります。

まず挙げられるのは、利用者や家族が心地よく過ごせる環境を提供できることです。前述したように、接遇マナーを持って接することで利用者との信頼関係を築けます。スタッフを信頼している利用者の姿や、利用者への日ごろの対応から敬意や思いやりを感じることができれば、家族にも安心してもらえるでしょう。

スタッフ同士のやり取りに接遇スキルを活かせば、よりよい職場環境を構築できます。スタッフ同士のコミュニケーションが円滑になり、働きやすい職場をつくれます。

また、スタッフ間の雰囲気は利用者をはじめ周囲に伝わるものです。円滑なコミュニケーションによって職場の雰囲気がよくなれば、働くスタッフだけでなく、利用者や訪問される方にも気持ちのよい環境になります。働きやすい環境は質の高いケアの提供にもつながり、スタッフ・利用者双方の満足度も向上します。

これらにより、スタッフそれぞれが高いモチベーションをもって仕事に取り組めるようになるのも大きなメリットです。

介護現場で求められる接遇マナーの基本

介護の現場で必要な接遇マナーとは、具体的にどのようなものなのでしょうか。ここからは、介護職が身につけておきたい、代表的な接遇マナーをご紹介します。

気をつけたい代表的なマナー

介護職が常に気をつけておきたいのが次の5つのマナーです。

  1. 身だしなみ
  2. 挨拶
  3. 言葉づかい
  4. 表情
  5. 態度

1.身だしなみ

いつも清潔感のある身だしなみを心がけましょう。服装・髪型は清潔感が重要です。

服装については、機能性にすぐれたものを選択し、足元は事故を防ぐためにスニーカーのような動きやすい靴を選びます。また、服のほつれや破れは事故につながることもあるため、毎日着用前にチェックするようにしましょう。

髪の毛が肩にかかる長さの場合は束ねるようにし、頭皮や髪を清潔に保ちます。アクセサリーは着用しないのが一般的です。利用者の皮膚などを傷つけないように爪も毎日チェックし、爪切りややすりで整えます。

気付きにくいニオイにも要注意です。着用している服や靴、手などは常に清潔を保ちましょう。

2.挨拶

利用者や訪問される方に対してだけでなく、スタッフ同士での挨拶も忘れず行います。明るい挨拶は円滑なコミュニケーションやより良い環境づくりに有効です。

挨拶の際には、「笑顔ではっきりと元気よく」を心がけます。言葉と合わせてお辞儀をして、態度でも敬意を表しましょう。挨拶の際の距離感も重要です。急に近づいて大声で挨拶をすると、利用者や訪問された方を驚かせてしまいます。

3.言葉づかい

誰に対しても敬語を使います。場合によっては少しフランクな話し方が適切な場合もありますが、利用者に対して子どもや自分の家族のように接してはいけません。

重要なのは、敬意の念を持って接することです。愛称や下の名前で呼ばないように、また必要以上になれなれしくしないようにしましょう。

会話例

<会話例> NG例 :○○さん、今日はお風呂に入る?/ ○○さん、食堂まで連れて行ってあげるね/ 今日のレクリエーションに参加する? OK例:○○さん、今日はお風呂を利用されますか?/○○さん、食堂までお連れします。/ 今日のレクリエーションには参加されますか?

<会話例> NG例 :○○さん、今日はお風呂に入る?/ ○○さん、食堂まで連れて行ってあげるね/ 今日のレクリエーションに参加する? OK例:○○さん、今日はお風呂を利用されますか?/○○さん、食堂までお連れします。/ 今日のレクリエーションには参加されますか?

<会話例> NG例 :○○さん、今日はお風呂に入る?/ ○○さん、食堂まで連れて行ってあげるね/ 今日のレクリエーションに参加する? OK例:○○さん、今日はお風呂を利用されますか?/○○さん、食堂までお連れします。/ 今日のレクリエーションには参加されますか?

話しかける際には、利用者が聞き取りやすいよう、ゆっくり・はっきりと話すよう気を配ります。また、声のトーンにも注意が必要です。近年ではマスクを常に装着していることから表情を読み取りづらく、正しい言葉づかいだけでは冷たい印象を与えてしまうことがあります。物腰柔らかく、落ち着いたトーンを心がけて安心感を与えましょう。言葉だけでは伝えるのが難しいときには、身振り手振りを加えると伝わりやすくなります。

お願いやお断りをするときには、「恐れ入りますが」「申し訳ありませんが」などのクッション言葉を入れると受け入れてもらいやすくなります。

4.表情

利用者や家族、スタッフ同士で会話する時にも、笑顔を心がけます。加えて、相手の目を見て話すようにしましょう。

常に明るい表情でいることによって、印象が良くなるだけでなく利用者が話しかけやすくなります。

不機嫌な顔や無表情は、利用者や訪問される方、同じスタッフにも不快感を与えてしまいます。話しかけにくい雰囲気を出してしまうため、いつでも笑顔を心がけます。

5.態度

立っているとき、歩いているとき、座っているときの姿勢も重要です。お腹に力を入れて背筋を伸ばして正しい姿勢を保ちます。腕組みや足組みなど、ぶしつけな印象を与えてしまう姿勢・態度はいけません。

歩くときにもお腹を突き出したり前屈みになったりしないよう正しい姿勢を保ち、かかとを引きずらないようにします。歩き方に不安がある場合は、自分の歩いている姿を鏡でチェックしてみましょう。

座る際には、深く腰をかけたり、足を投げ出したりしないよう注意してください。毎日自分の立ち居振る舞いを意識していれば、習慣化されいつでも正しい姿勢を保てるようになります。

仕事の前にチェック!接遇マナーのチェックリスト

自分では気付きにくいポイントもありますので、下にチェックリストを記載しました。毎日繰り返し確認することで、接遇マナーが習慣化されますのでぜひご活用ください。

接遇マナーのチェックリスト

<接遇マナーのチェックリスト>

<接遇マナーのチェックリスト>

<接遇マナーのチェックリスト>

これらとあわせて、マスクの下の身だしなみにも注意しましょう。近年では、常時マスクの着用が必要なことから、マスクで隠れている部分の身だしなみがなおざりになっているケースがあるようです。髭など口・鼻まわりの毛の処理を忘れず行いましょう。

また、利用者と目線を合わせるために屈んで対応する際に、膝を床につけてしまうことがあります。床に衣類がつくと雑菌が付着するため、しゃがみ込むときには床に膝を付けないように注意してください。

まとめ

スタッフ一人ひとりが業務中に接するすべての人に接遇の意識を持ち行動することによって、利用者に快適な環境とよりよいサービスを提供できるようになります。

また、利用者の尊厳を守り敬意を持って接することで利用者との間に信頼関係が生まれれば、介護サービスの安全性の向上も期待できます。

接遇は職場環境の改善にも役立つものです。スタッフ間でも互いに接遇スキルを用いて関わり合い、連携を深め働きやすい職場づくりを目指しましょう。

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