コラム

2023年2月28日更新

介護現場のミーティング改善!会議の無駄をなくすために意識すべきこと

監修者 高室成幸氏のプロフィール写真

監修者プロフィール高室 成幸(たかむろ・しげゆき)
ケアタウン総合研究所代表  ケアプラン評論家
1958年京都市生まれ。日本福祉大学社会福祉学部卒。21世紀の日本福祉社会を創造するために、地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと「新しい福祉の人材育成」を掲げて活躍をしている。「わかりやすく元気が湧いてくる講師」として全国の市町村、ケアマネジャー団体、社会福祉協議会、地域包括支援センター、民生児童委員等の研修会などで活躍している。また、施設長や管理職向けに人材マネジメントに関する研修も行っている。
テーマはケアマネジメント、モチベーションから高齢者虐待、個人情報保護、施設マネジメントまで幅広い。外資系企業の管理職経験から人材育成マネジメントもテーマとし、出版・編集者の経験をもとに文章・記録の研修も行う。著書・監修書多数。ほかに業界紙誌への寄稿も多い。

介護・看護の現場では、日々さまざまな会議やミーティングが開かれています。朝・夕の申し送りからフロア会議、リーダー・主任会議、テーマ別会議などは、チームケアには必要不可欠なものです。

しかし、会議の数が多くなることで直接介護にあたる時間が圧迫されてしまうことがあります。そこで今回は、効率よく効果的な会議・ミーティングを実施するためのポイントを解説します。

介護施設の会議の種類

ご利用者様の安全や質の高いケアを提供するためには、施設内での情報共有や業務改善が重要です。さまざまな職種が連携しケアにあたるため、会議やミーティングは必須といえます。名称は施設によって異なる場合があるものの、一般的には、次のような会議が実施されています。

  • フロア会議
  • ユニット会議
  • リーダー・主任会議
  • 職員会議
  • 管理職会議
  • 医務・栄養調理等の専門職別会議
  • サービス担当者会議
  • 入退所検討会議
  • 自宅復帰アセスメント会議
  • テーマ別委員会のミーティング

  • 一方で、定期的な会議を行っても内容が伴わない、メンバーが揃わず質の高い話し合いができないなどのケースも少なくありません。

    会議を、効率的かつ効果的に実施するにはどうすればよいのでしょうか。

    会議の設定前から終了後まで 意識すべきポイント

    会議の見直しを図る際には、会議中だけでなく会議前や会議後について、以下のようなことが意識できているか確認してみましょう。会議には、参加メンバーの拘束時間など「目には見えないコスト」が発生しています。なるべくコストを圧縮するために、次の点を意識しましょう。

    会議の設定前に意識すべきこと

    ■話し合う内容で会議をカテゴリー分けする

    会議の内容は「報告、連絡、確認、協議、審議、決定」などのカテゴリーに分けられます。1つの会議で同じカテゴリーに属する内容をまとめることにより、複数の議題があっても参加者の混乱を防げます。

    ■話し合う内容と順番を精査する

    会議の前には、取り上げるべき内容と話し合う順番、必要な時間の検討を行います。会議開始後におおよその流れを説明しておくと、議論が本筋からそれたり、時間をオーバーしてしまったりすることを防ぎます。無駄のない内容にするために、これまでの会議内容を振り返っておくことも大切です。

    ■出席メンバーを精査する

    会議の内容に応じて適切なメンバーを招集しましょう。決定を目的とした会議なら意思決定者の参加が必須です。加えて、進行役も定めておき、時間通りの進行を任せます。

    ■開催タイミングを見直す

    会議の開催日時、所要時間、開催頻度についても見直しを図ります。開催日時は、より効果的・効率的な会議にすることを意識して設定します。

    ■開催方式を見直す

    対面で行うのか、オンラインで行うのか、対面とオンラインのハイブリット方式にするのかを検討します。出席率向上のためには、対面にこだわらない姿勢も大切です。

    会議前・会議中に意識すべきこと

    ■開催者が意識すること

  • 出席、欠席、途中退席、途中出席の確認
  • 進行役が協議すべきことや会議の流れを把握しているか確認する
  • 会議で配布する資料を確認する
  • 「○○については15分」というようにテーマ別に話し合いの時間を提示する
  • 協議のポイントを参加者に伝える
  • 終了時、次回開催の会議について確認する
  • ■進行役が意識すること

  • 参加者の発言を引き出す
  • 話し合いのまとめ方を意識して会議を進める
  • 会議を活かすために終わった後にすべきこと

  • すみやかに議事録を作成し、欠席者を含めた参加メンバーに回覧する
  • 一貫したスタイルを継続できる議事録シートを使用し、振り返りをしやすくする
  • オンライン会議(ハイブリッド会議含む)では、レコーディング記録を視聴できるURLを参加者に送る
  • 議事録を上司に報告する
  • 会議で決定した内容が実行できているのかを定期的に確認する
  • 会議の種類、参加者、進め方を定期的にブラッシュアップしてマンネリ化を防ぐ
  • 会議の効果を高めるための見直しポイント

    会議がうまく運営できていないと感じる方は、以下のポイントを元に自施設の会議を振り返りながら、次の会議に反映させていきましょう。

    目的を明確にする

    会議を行う目的が明確化されていない状態では、熱量を持って参加することが難しくなってしまいます。「定例だから」と何となく会議を開くのではなく、以下を明確化し、参加者には事前に周知して意識の統一を図っておくのが大切です。

  • 何を話し合うのか
  • 何をどこまで決定するのか
  • 課題の洗い出しを行うのか、解決策についてまで話し合うのか
  • 報告や連絡など、情報共有が目的なのか
  • 出席者が議論に参加しやすくなるような働きかけを行う

    よりよい会議にするためには、参加者が発言できる環境を整える必要があります。司会進行役が参加者に発言を促すだけでなく、参加者に「どのようにして発言すればよいのか」の例も示すとよいでしょう。

    発言するために必要な情報収集の方法や、発言内容のまとめ方、話の組み立て方などについて伝えていくと、会議中にも円滑かつ的確な発言を行ってもらえるようになります。

    また、出席者間の情報共有の方法も検討する必要があります。文字や写真、動画などを用いて、参加者が情報を整理しやすい資料づくりを心がけます。

    運営ルールを決める

    途中出席(遅刻)が多い場合は時間厳守を徹底します。会議の5分前には集合するよう参加者には事前に伝え、徹底してもらいます。
    途中退席(早退)が多い場合、会議の設定時間帯と終了予定時間の検討を行い、予定時間を過ぎないような配慮が必要です。目的とは外れた会話に時間を取られるようであれば、事前配付する資料に時間配分を記載し、進行役が会議の本筋に戻るよう働きかけるなど工夫します。

    また、会議の構成と時間配分をルール化し、それに則って進行すれば開催側も参加者側も会議内のルーティーンに沿って行動できるようになります。

    短時間のミーティングを毎日行うのも効果的

    まとまった時間がとりづらい場合は、毎日5分程度のミーティングを実施する方法もあります。短時間ミーティングはその日の出来事をすぐに共有して問題解決に取り組めるだけでなく、スタッフ間のコミュニケーション強化にも有効です。問題を先延ばしにせず協議する体制が整い、ケアの質の向上にもつながります。

    申し送りのタイミングで行うなら、立ったままで行う「スタンドアップミーティング」がよいでしょう。会議の短時間化を実現できます。

    このように、毎日短時間のミーティングを行うことは毎月の定例会議の時間短縮にも効果的です。常に情報共有が行われている状態から会議をスタートでき、議題も減らせることから会議進行の円滑化を期待できます。

    会議・ミーティングの効率化はケアの質の向上にもつながる

    ご利用者様に関する情報共有をはじめ、業務や施設運営の課題解決のためにも会議・ミーティングは必要不可欠なものです。

    会議の質の向上は、毎日のケアの質の向上にもつながります。情報共有やスタッフ間のコミュニケーションに課題を抱えている場合は、短時間ミーティングを導入するなどして業務の円滑化を図りましょう。

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