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コラム

2023年8月29日更新

認知症介護に活かせる研修・資格10選!取得方法や費用も紹介

介護施設で行う認知症介護には、認知症について正しい知識をもつことはもちろん、症状に応じた対応方法や職場のチームワークなども求められます。それらの専門性を高めるには資格取得を通して体系的に学ぶことも大切です。

そこで今回は、認知症介護に特化した研修・資格を紹介していきます。

  • 2023年6月時点の情報をもとに作成

国が推進する認知症介護の公的研修

厚生労働省が2019年にとりまとめた「認知症施策推進大綱」では、介護従事者の認知症に対する対応力を強化する方針が打ち出されました。大綱では認知症の方の意思を尊重した介護を行い、できるだけ認知症の進行を遅らせるための介護手法が重要視されています。それを実現するために推進されている研修が4つありますので、以下に紹介していきます。

認知症介護基礎研修

認知症ケアに携わる方が業務を行う上で最低限必要な知識・技術と、実践する際の考え方の習得を目的とした研修です。令和3年度(2021年度)の介護報酬改定を受け、認知症介護に従事する方全員の受講が義務化されました(2024年3月までの3年間は経過措置期間)。なお、医療や福祉関係の資格がある場合、受講義務はありません。

■受講資格

  • 事業所が所属する自治体により異なりますので、必ず自治体のホームページ等をご確認ください。

・自治体に所属する介護保険施設・事業所に従事している介護職員等

■受講概要
受講はeラーニング(オンライン講義)で行い、標準的な視聴時間は150分程度です。研修内容は「認知症ケアにおいて基礎となる理念や考え方」「認知症の定義と原因疾患」「認知症ケアの基礎技術」などです。
受講料は自治体により異なりますが、多くの場合1,000円〜3,000円程度です。

認知症介護実践者研修

認知症ケアの専門的知識や具体的な支援方法を実践的に学ぶ研修です。認知症の方だけではなく、そのご家族の生活の質の向上を図るスキルを身に付けます。

■受講資格

  • 事業所が所属する自治体により異なりますので、必ず自治体のホームページ等をご確認ください。

  • 自治体に所属する介護保険施設・事業所に従事している介護職員等
  • 認知症介護の実務経験が2年程度以上の方。
 
■受講概要
基本講義+自施設実習を行います。研修内容は「認知症ケアの理念・倫理と意思決定支援」「QOLを高める活動と評価の視点」「アセスメントとケアの実践」などで、研修期間や受講料は自治体によって変わります。
 
●東京都の場合
講義・演習6日間+自施設実習(約2週間)。受講料は無料。
 
●大阪府の場合(介護老人保健施設協会で受講する場合)
講義・演習6日間+自施設実習(4週間)で受講料は30,800円(テキスト代は別)。

認知症介護実践リーダー研修

施設において認知症ケアの指導役になるための研修です。チームで効果的に認知症ケアを展開するスキルを学びます。認知症の方の自立した生活を支えるため地域リソースの活用や連携方法の習得も目指します。「認知症専門ケア加算」の算定要件にも関わる資格です。

■受講資格

  • 事業所が所属する自治体により異なりますので、必ず自治体のホームページ等をご確認ください。

  • 認知症介護の実務経験が5年以上の方
  • 認知症介護実践者研修を修了から1年以上経過している方
  • 介護現場において認知症介護の実践リーダー役の立場、またはリーダーになる予定の方認知症支援の質の向上について役割を担う意欲がある方

■受講概要
講義+自施設実習を行います。研修内容は「施策の動向と地域展開」「チームケアを構築するリーダーの役割」「認知症ケアにおけるチームアプローチの理論と方法」などです。研修期間や受講料は自治体によって変わります。
 
●東京都の場合
e ラーニング約330分+講義・演習7日間+他施設実習代替カリキュラム(3日間程度)+自施設実習(約4週間)
受講料は無料。
 
●宮城県の場合
講義・演習5日間+自施設実習(4週間)。受講料は15,000円。

認知症介護指導者養成研修

前述の認知症介護基礎研修、認知症介護実践者研修、認知症介護実践リーダー研修の企画・立案を行い、講義、演習、実習の講師を担当するための知識・技術を習得できる研修です。また、介護保険施設や事業者の介護の質改善について指導できる人材の養成も目的としています。

■受講資格

  • 事業所が所属する自治体により異なりますので、必ず自治体のホームページ等をご確認ください。

  • 医師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士のいずれかの資格を有する方、またはこれに準ずる方
  • 以下のいずれかに該当し、相当の介護実務経験を有する方
    • 介護保険施設・事業所などで働いている方(過去も含む)
    • 福祉系大学や養成学校等で指導的立場にある方
    • 民間企業で認知症介護の教育に携わる方
  • 認知症介護実践者研修および認知症介護実践リーダー研修を修了した方
  • 認知症介護基礎研修または認知症介護実践研修の企画・立案に参画し、または講師として従事することが予定されている方
  • 地域ケアを推進する役割を担うことが見込まれている方
 
■受講概要
研修は、認知症介護研究・研修センターの3拠点(東京、大府、仙台)で行われます。以下の研修内容で講義と実習が行われ、研修修了まで約9週間かかります。
  • 認知症介護研修総論(11h)
  • 認知症ケアにおける教育の理論と実践(61h)
  • 認知症ケア対応力向上のための人材育成(214h)
  • 地域における認知症対応力向上の推進(22h) 

受講料はいずれのセンターで受講しても230,000円です。

認知症介護の実務経験が必須の民間資格

続いて民間資格の中から「認知症ケア専門士」と「認知症ケア上級専門士」をご紹介します。

認知症ケア専門士

一般社団法人日本認知症ケア学会が認定している資格です。認知症ケアに対して高い学識とスキル,倫理観を備えた専門職として、国内における認知症ケア技術の向上に貢献できる人材養成のために創設された資格です。

■受験資格
認知症ケアに関する施設、団体、機関等において、試験実施年の3月31日より過去10年間で3年以上の認知症ケアの実務経験(教育・研究・診療を含む)がある方。
 
■試験概要
【一次試験】
五者択一式のオンライン試験が実施されます。試験は「認知症ケアの基礎」「認知症ケアの実際Ⅰ:総論」「認知症ケアの実際Ⅱ:各論」「認知症ケアにおける社会資源」の分野で行われます。
 

  • 合格基準:すべて分野で正答率が70%以上
  • 合格率:53.7%(2022年度)
  • 受験料:3,000円×受験分野数(4分野で12,000円)
 
【二次試験】
試験は論述と面接が実施されます。1分間のスピーチとグループディスカッションの総合評価で判断されます。

  • 2020年より新型コロナウイルスの影響により面接試験は中止中

 

  • 合格基準:論述で「適切なアセスメント」「認知症の理解」「適切な介護計画の立案」「制度および社会資源の理解」「認知症の人の倫理的課題を理解」の5つの要件を満たしていると評価されれば合格
  • 合格率:99%(2022年度)
  • 受験料:8,000円 

一次・二次の両方に合格しなければ資格は取得できません。また、5年ごとの更新が必要であり、セミナーや学会に参加し、30単位を取得しなければ資格を維持できません。
 
参考:一般社団法人日本認知症ケア学会認定 認知症ケア専門士 公式サイト

認知症ケア上級専門士

一般社団法人日本認知症ケア学会が認定している資格です。チームリーダーとしてはもちろん、地域のアドバイザーとしても活躍できる人材養成のために創設された資格です。

■受験資格
以下の要件をすべて満たしている方。

  • 認知症ケア専門士としての経験が3年以上の方
  • 試験実施年の3月31日より過去5年間において、認知症ケア専門士の単位を30単位以上取得している方
  •  認知症ケア上級専門士研修会を修了している方
  • 次のいずれか1つ以上の条件を満たしている方
    • 認知症ケア上級専門士制度規則にある学術集会,地域部会研修会等での演題発表ならびに事例報告(筆頭者のみ)
    • 認知症ケア上級専門士制度規則にある,査読制度のある機関誌等での論文・事例発表(筆頭者のみ)
 
■試験概要
五者択一式のオンライン試験が実施されます。「認知症ケアにおける倫理」「認知症ケアのためのケアマネジメント」「介護関係者のためのチームアプローチ」から出題されます。
 
  • 合格基準:正解率70%以上
  • 合格率:44.7%
  • 受験料:10,000円
 
参考:一般社団法人日本認知症ケア学会認定 認知症ケア専門士 公式サイト

認知症介護の実務経験がなくても取得できる民間資格

認知症介護の実務経験がなくても取得できる資格もいくつかあります。ここでは、実務経験がなくても取得できる4つの民間資格をご紹介します。

認知症ケア指導管理士(初級・上級)

認知症ケア指導管理士は、一般財団法人職業技能振興会および一般財団法人総合ケア推進協議会が認定している資格です。
認知症の方への適切なケアだけでなく、ケアを行うスタッフへの指導・管理を行える人材育成を目的とした資格です。
初級と上級に分かれており、試験概要や対象者も異なります。

認知症ケア指導管理士初級

認知症の方への適切なケア方法や基礎知識を高めたい方に適しています。

■受験資格
なし

 
■試験概要
試験はマークシート方式で行われます。出題範囲は認知症高齢者の現状、認知症の医学・心理的理解、認知症への薬物療法、家族への支援などです。
 

  • 合格基準:正解率7割以上を基準として、問題の難易度で補正した点数以上を取得
  • 合格率:59.2%(第1回~第23回の累計受験者数・合格者数より)
  • 受験料:【一般】7,500円、【学生】4,000円
 
参考:一般社団法人 職業技能振興会 認知症ケア指導管理士[初級]

上級認知症ケア指導管理士

認知症への理解を高め、介護スタッフの指導や管理など人材育成を担う人のための上級資格です。

■受験資格
認知症ケア指導管理士初級に合格して1年以上経過している方。ただし、医療や介護関係の資格を持っている方は初級と併願して受験できます。

 
■試験概要
一次試験はマークシート方式、二次試験は論述形式で行われます。両方に合格しなければ資格は取得できません。出題範囲は、認知症ケアを含めたケア全般に関する状況設定問題、ケアに関する思考を問う論述。
 

  • 合格基準:【一次試験】合格最低点を合否通知時に通知、【二次試験】課題に対する対応力、判断力を問う
  • 合格率:7.6%
  • 受験料:【一次試験】12,000円、【二次試験】6,000円
 
参考:一般社団法人 職業技能振興会 上級認知症ケア指導管理士

認知症介助士

公益財団法人日本ケアフィット共育機構が認定する資格です。認知症の方に寄り添ったコミュニケーション方法や接遇、高齢者に適した環境作りの習得を目的にした資格です。

■受験資格
なし

 
■試験概要
受験方法は次の4通りです。

  • 検定試験がセットになっている認知症介助セミナー受講する(主催団体開催)
  • 共育センターで検定試験を受験する(マークシート式)
  • 全国にあるCBTテストセンターで受験する(パソコンによる受験)
  • 自宅のパソコンでインターネットを経由して受験
出題範囲は「認知症介助士の基本理念」「認知症の人への介助」「認知症の予防」「関連法規および制度」などです。
  • 合格基準:1問1点の30点満点中、21点以上取得
  • 合格率:90%以上
  • 受験料:3,300円
 
参考:公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 認知症介助士

認知症ライフパートナー

認知症ライフパートナーは、一般社団法人日本認知症コミュニケーション協議会が認定する資格です。現在までの受験者数は約3.5万人です。認知症の方の価値観を重視し、家族と共に日常生活を支援する目的で設置されました。認知症の方が好まれるコミュニケーション技術やアクティビティ・ケアを実践する技術を養います。

資格は1級から3級まであり、キャリアプランに合わせて取得可能です。3級は基礎的知識、2級はコミュニケーションや環境作り、1級は認知症予防や指導に関する知識が身に付きます。

■受験資格
2・3級:なし ※2・3級の併願受験も可能です
1級:認知症ライフパートナー2級合格者
 
■試験概要
【2・3級】
マークシート式試験が実施されます。2・3級ごとにある「認知症ライフパートナー検定試験 公式テキスト」から出題されます。
 
【1級】
前半はマークシート式試験、後半は記述式試験が実施されます。「認知症ライフパートナー検定試験 公式テキスト」から出題されます。
 

  • 合格基準:【2・3級】100点満点とし、70点以上の取得、【1級】前半・後半で各100点満点とし、前後半共に70点以上の取得
  • 合格率:【3級】76.4%、【2級】62.1%、【1級】33.3%
  • 受験料:【3級】6,500円、【2級】10,500円、【1級】15,000円
 

参考:一般社団法人 日本認知症コミュニケーション協議会 認知症ライフパートナー

認知症ケア准専門士

認知症ケア准専門士は、一般社団法人日本認知症ケア学会が認定する資格です。認知症に関する理解を深め、自分自身の課題として捉えるのを目的に設立されました。

■受験資格
18歳以上で過去10年間の実務経験が3年未満の方が対象者です。
 
■試験概要
「認知症ケアの基礎」「認知症ケアの実際Ⅰ:総論」「認知症ケアの実際Ⅱ:各論」「認知症ケアにおける社会資源」の4つの試験分野があります。試験はパソコンまたはタブレットを使用しインターネット上で実施されます。
 

  • 合格基準:すべての分野で得点が70%以上
  • 合格率:43.5%(2022年度)
  • 受験料:12,000円
 

参考:一般社団法人日本認知症ケア学会認定 認知症ケア専門士 公式サイト

まとめ

国が方針からも分かるように、認知症介護の重要性は高まっています。資格取得を通して、認知症介護のスキルを高めることは介護の質向上にもつながり、今後のキャリア形成にも大きく役立つといえます。
なお、今回紹介している資格は内容、費用、期間、受講条件が変わることがありますので、最新情報は必ず自治体のホームページや公式サイト等をご確認ください。


参考:
認知症施策推進関係閣僚会議「認知症施策推進大綱

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