2023年9月26日公開
ESBL産生菌
いーえすびーえるさんせいきん
ESBL産生菌とは、ESBLという「抗菌薬を分解する酵素」を産生する菌種のことです。薬剤耐性菌の一種であり、特定の細菌を示す名称ではありません。
ESBL産生菌は腸内の細菌に多いのが特徴で、尿路感染症などの原因となることがあります。
ESBL産生菌とは
ESBLは、「基質特異性拡張型βラクタマーゼ(extended-spectrum β-lactamase)」の略称です。βラクタマーゼはペニシリンなどの抗菌薬を分解する酵素の名称で、この酵素を産生する菌をESBL産生菌と呼びます。
βラクタマーゼは現在までに1500以上報告されています。基本的なβラクタマーゼであるペニシリナーゼに対しては耐久性のある抗菌薬が開発されましたが、このペニシリナーゼが変異して生まれたのがESBLです。ESBLはほとんどの「βラクタム系」薬剤に耐性化しており、ペニシリン系・セフェム系など多くの抗菌薬を分解します。
ESBLを産生する細菌の種類
ESBLを産生する細菌は、主に大腸菌と肺炎桿菌です。その他、セラチア、エンテロバクターなどの腸内細菌科細菌もESBLを産生することがあります。
ESBLは接合伝達という遺伝情報交換により、同一菌種間だけでなく異なる菌種間にも耐性遺伝子が伝達する特徴があるため、幅広い菌種に水平伝播する危険性があります。
ESBL産生菌に感染した際の症状
ESBL産生菌は、健康な方の腸管内からも検出されることがありますが、健康上の問題になることはありません。ただし、免疫力が低下している方の場合、敗血症や髄膜炎、肺炎、創部感染症、尿路感染症などを引き起こす恐れがあります。
前記したように、ESBL産生菌は多くの抗菌薬を分解し無効化するため、治療薬が限られており、治療が難しいという問題があります。そのため高齢者介護施設ではESBL産生菌への感染を防止することが重要です。
ESBL産生菌への対応策
ESBL産生菌の感染経路は基本的に接触感染です。介護施設で行うケアにおいては、おむつ交換、尿道カテーテル留置による尿廃棄、気道吸引の場面等で、日常的に標準予防策を遵守することも大切です。万が一、ESBL産生菌による感染者が発生した場合は、接触感染予防策を適用する必要があります。以下に予防策の例を紹介します。
<接触感染予防策の例>
咳や痰、下痢や便失禁、褥瘡からの排膿など、周囲に耐性菌を広げやすい状態が見られる場合は、日頃の標準予防策に加えて以下の対応をすることが望ましいです。
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