環境整備の基本

2024年8月2日更新

介護施設における環境整備の重要性

環境整備とは居室・洗面所・トイレ・浴室などの清掃のみに留まらず、清掃しやすいように整理整頓することも意味します。不衛生で雑然とした環境は病原体が生存しやすく、感染のリスクが高まります。
感染経路を有効に遮断するポイントは手指衛生を徹底することですが、手指衛生を行えば、環境整備を行わなくてよいわけではありません。環境から伝播していく病原体の存在を考慮する必要があります。

環境由来の病原体とは

病原体の中には、居室やトイレなどの環境に長期間生存し、環境を介して間接的に感染する「環境由来の病原体」が存在します。インフルエンザウイルスやノロウイルスレジオネラ属菌などがその代表です。B型肝炎ウイルスのように、環境表面で1週間以上生存するものもあります。

病原体の一例とその生存期間の目安

病原体の一例と環境表面におけるその生存期間の目安の表。B型肝炎ウイルスの生存期間は1週間以上、インフルエンザウイルスの生存期間は1〜2日間、ノロウイルスとネコカリシウイルスは8時間〜7日間となっている。

病原体の一例と環境表面におけるその生存期間の目安の表。B型肝炎ウイルスの生存期間は1週間以上、インフルエンザウイルスの生存期間は1〜2日間、ノロウイルスとネコカリシウイルスは8時間〜7日間となっている。

病原体の一例と環境表面におけるその生存期間の目安の表。B型肝炎ウイルスの生存期間は1週間以上、インフルエンザウイルスの生存期間は1〜2日間、ノロウイルスとネコカリシウイルスは8時間〜7日間となっている。

参考文献:
Kramer A, Schwebke I, Kampf G.
How long do nosocomial pathogens persist on inanimate surfaces? A systematic review
BMC Infectious Diseases. 2006,6:130

ただ、「感染が心配だから…」ということで、すべての環境を消毒しなければならないわけではありません。
ご利用者様の生活の場である介護施設においては、環境消毒の徹底よりまず目に見える汚れを除去し、居心地のよい住みやすい環境づくりを優先するのがよいでしょう。

環境整備の基本は清掃

環境整備の基本は「清掃による汚染の除去」です。居室や浴室、トイレなどは洗浄剤を用いた湿式清掃を行いましょう。目に見える汚れを取り除き、住みよい環境作りを目指しましょう。

環境表面の消毒は低水準消毒薬で

厚生労働省の通知や米国CDCのガイドラインによれば、日常的な環境表面の清掃について高レベルの消毒薬を使用する必要はないことが示されています。消毒薬にはさまざまな種類がありますが、日常的な環境表面の消毒には低水準消毒薬(塩化ベンザルコニウムなどの第4級アンモニウム塩など)が最適です。

参考文献:厚生労働省「医療機関等における院内感染対策について」
CDC「Guideline for Disinfection and Sterilization in Healthcare Facilities, 2008.」

微生物の消毒薬抵抗性の強さ、および消毒薬の抗菌スペクトル

微生物の消毒薬抵抗性の強さ、および消毒薬の抗菌スペクトルを表した図。消毒薬に対する抵抗性が強い順に、細菌芽胞、ウイルス・結核菌、糸状真菌、MRSAや大腸菌などの一般細菌、カンジダ等の酵母様真菌が並んでいる。 次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒薬は、一般細菌、酵母様真菌から細菌芽胞まで広く有効。 次に広いスペクトルを示すのは、ポビドンヨードやアルコール(消毒用エタノール・イソプロピルアルコール)で、一般細菌、酵母様真菌からウイルス・結核菌まで有効。 塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシンなどの低水準消毒薬は、一般細菌、酵母様真菌に有効。

微生物の消毒薬抵抗性の強さ、および消毒薬の抗菌スペクトルを表した図。消毒薬に対する抵抗性が強い順に、細菌芽胞、ウイルス・結核菌、糸状真菌、MRSAや大腸菌などの一般細菌、カンジダ等の酵母様真菌が並んでいる。 次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒薬は、一般細菌、酵母様真菌から細菌芽胞まで広く有効。 次に広いスペクトルを示すのは、ポビドンヨードやアルコール(消毒用エタノール・イソプロピルアルコール)で、一般細菌、酵母様真菌からウイルス・結核菌まで有効。 塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシンなどの低水準消毒薬は、一般細菌、酵母様真菌に有効。

微生物の消毒薬抵抗性の強さ、および消毒薬の抗菌スペクトルを表した図。消毒薬に対する抵抗性が強い順に、細菌芽胞、ウイルス・結核菌、糸状真菌、MRSAや大腸菌などの一般細菌、カンジダ等の酵母様真菌が並んでいる。 次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒薬は、一般細菌、酵母様真菌から細菌芽胞まで広く有効。 次に広いスペクトルを示すのは、ポビドンヨードやアルコール(消毒用エタノール・イソプロピルアルコール)で、一般細菌、酵母様真菌からウイルス・結核菌まで有効。 塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシンなどの低水準消毒薬は、一般細菌、酵母様真菌に有効。

参考文献:尾家重治「器材・環境消毒法」
花王ハイジーンソルーションNo.6 2004

消毒前の洗浄が肝心

消毒薬を使用する際には、事前に消毒範囲をきちんと洗浄しておくことが重要です。消毒薬は病原体に接触することで効果を発揮しますが、汚れの中に入り込み汚れを除去する働きがありません。そのため、手あかなどの汚れに覆われた病原体に対しては消毒効果を発揮できず、汚れの中の菌が温存されてしまったり、かえって汚染を拡げてしまうことがあります。

 不十分な洗浄のまま除菌作業をした場合と、洗浄してからの除菌作業を比較した図。洗浄が不十分な場合、汚れが除菌成分の働きを阻害し効果が低下してしまいます。血液や卵などのタンパク質汚れは、洗浄せずに次亜塩素酸ナトリウムを使用すると凝固してしまい落としにくくなってしまうため、洗浄することがポイントとなります。洗浄してから除菌作業を行うことで、除菌成分を菌まで届かせることができます。

 不十分な洗浄のまま除菌作業をした場合と、洗浄してからの除菌作業を比較した図。洗浄が不十分な場合、汚れが除菌成分の働きを阻害し効果が低下してしまいます。血液や卵などのタンパク質汚れは、洗浄せずに次亜塩素酸ナトリウムを使用すると凝固してしまい落としにくくなってしまうため、洗浄することがポイントとなります。洗浄してから除菌作業を行うことで、除菌成分を菌まで届かせることができます。

 不十分な洗浄のまま除菌作業をした場合と、洗浄してからの除菌作業を比較した図。洗浄が不十分な場合、汚れが除菌成分の働きを阻害し効果が低下してしまいます。血液や卵などのタンパク質汚れは、洗浄せずに次亜塩素酸ナトリウムを使用すると凝固してしまい落としにくくなってしまうため、洗浄することがポイントとなります。洗浄してから除菌作業を行うことで、除菌成分を菌まで届かせることができます。

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