2018年1月15日更新
老健における在宅復帰率向上にむけて
介護老人保健施設(老健)は病院から在宅復帰するための中間施設と位置付けられていることを今まで2回にわたって述べてきました(詳しくはコラムをご参照ください:2017年11月13日 老健の現状と課題①、2017年12月22日 老健の現状と課題②)。今回は老健が在宅復帰率などから3種類に分類されていること、平成30年の報酬改定で老健について議論されている概要、そして在宅復帰推進のために老健が取り組むべき課題について触れてみたいと思います。
着実に増えている強化型、加算型老健
老健は在宅復帰支援機能によって①在宅強化型(強化型)②在宅復帰・在宅療養支援機能加算算定施設(加算型)③それ以外(従来型)に分類されます。
強化型は在宅復帰率50%超(加算型は30%超)、ベッド回転率10%以上(加算型は5%以上)などの要件を満たしていることが要件となっています。平成28年10月時点で在宅強化型は13.6%、加算型は29.3%、従来型は57.1%でした(調査に回答した老健施設1807施設)。従来型はまだ6割を占めていますが、平成26年6月時点では74.5%が従来型でしたから強化型、加算型老健の数は着実に増えていると言ってよいでしょう。
また、独立行政法人福祉医療機構が発行した「平成27年度 介護老人保健施設の経営状況について」の中でも、在宅強化型の施設は事業収益も増加し赤字施設の割合が減少傾向にあるため、経営の安定化のためにも、在宅強化型への転換を検討することが求められている、との提言が見られます。
在宅復帰率向上を促進させたい国の意向 きめ細やかな評価の提出が求められる可能性も
老健の報酬・基準については、平成30年度の介護報酬改定に向け、社会保障審議会介護給付費分科会で議論されています。
介護給付費分科会の資料から、これまでの主な意見を紹介してみましょう。「在宅復帰率が高くなることでベッド稼働率が低下し、経営に支障が生じることもあるため、リハビリテーション専門職、支援相談員の数等の指標も用いた、きめ細かい評価が必要」「本人の意向に沿って家族が安心して在宅復帰が行われるためには、入所者の家族に対して、在宅復帰や在宅療養支援に関する説明が早期に実施されることが重要」「医師がしっかり関与したリハビリテーションとリハビリテーションマネジメントの提供を強化する必要がある」「かかりつけ医との連携を深めることが必要。ポリファーマシーの解消も重要で、薬剤師等も含めた多職種での取組みを評価していくべき」などです。
厚生労働省からは、このような議論を踏まえて、介護報酬の改定案が示されています。在宅復帰率を上げていくためには、きめ細かな評価と多職種の連携が必要ですが、これをきちんとPDCAサイクルの中で進めていれば、報酬改定にむけて一喜一憂することも少ないのではないでしょうか。
退所、在宅復帰にあたっては、ご家族のサポートも不可欠に
在宅復帰は、医療費や介護費用の上昇を抑えるという目的もありますが、多くの老健入所者にとって希望へとつながるものである、という点もおさえておくべきポイントです。
そして在宅へ移行する際に、ご本人やご家族の不安や負担をできるだけ少なくすることが重要です。そのためには、訪問介護サービスや、デイサービス、ショートステイなどを上手に組み合わせて、地域包括ケアシステムにスムーズにつなげていくことも老健の大事な仕事となります。
さらに、ご本人がご自宅にもどってからは、今まで同様気持ちよく過ごしていただくために、ご家族へのサポートが必要となります。
サイトではお役立ち資料として「在宅介護サポートブック」をご用意しています。これは、ご家族がスムーズに在宅介護にシフトできるように、施設で行われていたケアをお伝えし、ご本人のADLやQOLの低下につながらないサポートを目ざす内容となっています。
排泄ケア、ニオイ対策、スキンケアにテーマが分かれていますので、状況に応じてご家族様にお渡しください。施設様の在宅復帰支援の一助になれば幸いです。
監修:株式会社エス・エム・エス
在宅復帰されてからも、介護施設様でのケアを続けていただけるようサポートする資料です。在宅へ戻られる方のご家族へお渡しください。サービス向上にお役立ていただけると幸いです。
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