コラム

2023年5月30日更新

介護職の足の痛みに!自分でできるフットケア

執筆者 石垣英俊氏のプロフィール写真

著者プロフィール石垣 英俊(いしがき・ひでとし)
「神楽坂ホリスティック・クーラ」代表
一般社団法人日本背骨養生協会代表理事
心身健康科学修士
鍼師、灸師、按摩マッサージ指圧師
オーストラリア政府公認カイロプラティック理学士(B.C.Sc)、応用理学士(B.App.Sc)
静岡県出身。臨床家の父に鍼灸治療を師事。2004年に開業し、体の痛みや不調に悩んでいる人々へ、よりよい施術、環境、アドバイスを提供すべく研鑽を積んでいる。「コリと痛みの地図帳」(池田書店)をはじめ、著書多数。

介護職の職業病でまず頭に浮かぶのは腰痛ですが、足の痛みに悩んでおられる方も多いと言われています。ほとんどが立ち仕事であるため、足への負担が大きいためと考えられます。
 
今回は少しでも介護職の方の負担を減らせるよう、足の痛みの原因やセルフケアの方法を紹介していきます。

腰だけではなく、足の痛みにも悩む介護職

足の痛みや疲労の原因は?

介護の仕事は、ご利用者様の車イス移乗・寝返り介助・オムツ交換・シーツ交換・着替え介助・トイレ介助などさまざまですが、ほとんどが立ち仕事であるため足に大きな負担がかかります。
 
特に中腰や前かがみの姿勢、持ち上げる動作では、姿勢を保持するためにふくらはぎにある筋肉(腓腹筋とヒラメ筋)を中心に筋活動が高まります。また、そんきょ(体を丸くしてしゃがむ動作)や膝を曲げ伸ばしする動作でも、足首などで体の動揺を防ごうとすることで筋活動が高まります。こうした動作から筋緊張が生じ、筋血流量(筋肉の血流量)が低下します。
 
筋疲労のメカニズムは諸説ありますが、筋血流量の低下は筋疲労と密接な関係があるとされています。筋血流量が低下すると老廃物の蓄積により神経を刺激し、足の痛みを誘発します。痛みが長期化すると、組織が酸素欠乏状態となり、各種発痛物質が産生されることで痛みの悪循環が生じることにもつながります。

腰や臀部が原因の場合も

ふくらはぎや膝へ負担がかかっていなくても、腰や臀部(お尻まわり)に繰り返し負荷がかかることが原因で、足に痛みや不調を生じることもあります。
 
例えば、臀部にトリガーポイント(筋肉の硬い結節状のコリで、離れた部位に痛みやしびれなどを生じる)があると、太ももの外側から外くるぶしにかけて痛みやしびれを生じることがあります。
このようなケースでは、痛みが出ている足をケアしても改善が期待できません。臀部を傷めたり、トリガーポイントが形成されたりする主な理由として挙げられるのが、臀筋群の柔軟性の低下です。日ごろから臀部のケアも意識してみましょう。

今日からできるフットケア

ここからは自分でできる足のマッサージ方法を部位ごとに紹介します。疲れがたまっていてだるい、痛みがあるなど、気になる部位のケアにお役立てください。

ふくらはぎのマッサージ

ふくらはぎの筋肉をマッサージし、血液循環やリンパの流れをよくします。

肘置きのない椅子に座って、左の足首を右の太ももの上に載せているイラスト

① 椅子に座り、左の足首を右の太ももの上に乗せる

左のふくらはぎを左右の手のひら全体でつかんでいるイラスト

② ふくらはぎを左右の手のひら全体でつかむ

③ つかんだまま10秒~30秒ほど持続圧迫をかける

④ 圧迫する場所を2〜3カ所変えたら、反対足も同様に行う

すねのマッサージ

ふくらはぎの筋肉の拮抗筋にあたる前脛骨筋をマッサージすることで、足の運びがスムーズになります。

マットを敷いた床に長座し、左足を曲げているイラスト

① 床に長座し、左足を曲げる

② 左右の手を組んですねに当て、手のひらのつけ根部分で挟むように圧迫する

組んだ左右の手を、すねに圧を加えた状態で上下に動かしているイラスト

③ 圧を加えたまま、円を描くように筋肉をほぐしながら上下に2往復する

④ 反対足も同様に行う

足首のマッサージ

足首の関節可動域を広げ、膝、股関節、骨盤とつながるアライメントを調整し怪我を予防します。

肘置きのない椅子に座って、左の足首を右の太ももの上に載せているイラスト

① 椅子に座り、左の足首を右の太ももの上に乗せる

② 左足の足首を左手でつかんで固定し、右手指を左足の指の間に入れる

左手で足首を押さえながら、左足のゆびとからめたの状態の右手をにぎり足首を回しているイラスト

③ 左手で固定した足首を動かさないよう、指をからめた右手で足首をゆっくり回す

④ 右回り、左回り、いずれも3回~5回ほどを目安に行う

⑤ 反対足も同様に行う

足指ほぐし

膝から下の筋肉ともつながる足指を意識的に使うことで筋肉がほぐれ、足が疲れにくくなります。

右足の指をすべて曲げているイラスト

① 足の指を全て曲げる

右足の指を大きく広げているイラスト

② 足の指を大きく広げる

③ ゆっくりと大きい動きでグーパーを5回~10回繰り返す

④ 反対足も同様に行う

※足の指を曲げた時に足の裏が痛い場合は、次に紹介する足の裏のケアを先に行いましょう

足裏のマッサージ

硬くなった筋肉をほぐすことで足のアーチと感覚に変化が生じ、立位や歩行時のバランスが改善します。

床に置いたボールの上に足裏の中心にボールが当たるように片足を乗せているイラスト

① 床に置いたボールに片足を乗せ、ボールが足裏の中心辺りにくるようにする

壁に片手をつきながら、片足を乗せたボールに体重をかけている様子のイラスト

② ボールに体重をかけ、気持ちのよい強さで10秒~30秒持続圧迫する

※バランスがとれない方は壁に片手をついて行ってください

③ 反対足も同様に行う

臀部ほぐし

立つ歩く動作を担う臀筋群をほぐすことで、骨盤が安定し足の負担が軽減されます。

① 椅子に座り、左の足首を右の膝の上に乗せる

肘置きのない椅子に座った状態で両手を骨盤の上に当て、背筋を伸ばしているイラスト

② 両手は骨盤の上に当て、背中が丸まらないよう背筋を伸ばす

背筋を伸ばした状態で上半身を前に傾けている様子のイラスト

② 上体を丸めずに前に傾けていき、3~5呼吸ほどお尻の筋肉をストレッチする

④ 反対足も同様に行う

油断禁物!足は第二の心臓と言われるほど大切

静脈は血液を心臓に向かって戻す血管ですが、動脈と異なり自分で血液を運ぶ力がほとんどありません。そこで、足の静脈血を下から上へと送り出す役割を果たすのが、ふくらはぎの筋肉です。ふくらはぎの筋肉が収縮したり弛緩したりしてポンプのように血液を押し流すことから、足は「第二の心臓」と言われています。
 
ふくらはぎの筋肉が硬くなって血液を押し上げるポンプ機能が阻害されると、静脈の還流量が減少してしまいます。すると、健康な人でも下肢にむくみが生じ、痛みやだるさを引き起こすことになります。ふくらはぎの筋肉の緊張をほぐすことで、歩行がスムーズになり、ふくらはぎのポンプ機能が改善し、結果として心臓への静脈還流が促され、全身の血流も改善することになります。
 
ふくらはぎだけでなく、足は体全体を支え日々の活動に欠かせない役割を果たします。メンテナンスを大切にすることは仕事の効率を高め、怪我の予防とともに健康の質を高めることが期待できます。今回ご紹介したマッサージやストレッチを上手に取り入れてみてください。

「今日からできるフットケア」ダウンロード

いつでもご活用いただけるように、フットケア方法をダウンロード資料にまとめました。
ご自分用はもちろん、スタッフ様への配布などにもぜひご活用ください。

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