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飲食店は売り上げに占めるディナー比率を下げていこう

2021年11月30日 更新

ディナー時間帯の売り上げはもう望めないかもしれない

「もう時短要請ばっかりでやってられない!うちの店、潰れちゃうよ!」
この1年半で何十万人もの飲食店経営者が何度も心の底から叫んだ言葉だと思います。

海外ではまだ猛威を振るっている新型コロナですが、日本では少しだけ落ち着いている感じですね。「営業時間を制限されずに」飲食店を開けられるというのが、こんなにも幸せなことだとは、つい2年前までは想像もしませんでした。

営業時間に縛りはなくなったものの、まだほとんどの飲食店では「夜のお客様の入りが悪い。コロナ前に比べてまだ50%程度にしか戻っていない」というのが実情ではないでしょうか。お店は開けている。お酒もご提供している。でも、お客様は戻らない。本当に苦しいですね。

このままディナー時間帯のお客様が50%という状態が続いてしまうと、給付金などのサポートがなくなった今、お店をたたまなければならないお店も増えるでしょう。

ディナー時間帯の売上比率を計算してみよう

新型コロナ発生前の飲食店の時間帯別売上分布を見てみると、80%以上がディナー時間帯だった、というお店も多いでしょう。

月に300万円売り上げのあるお店は、ランチをやっている場合昼2万円、夜8万円、合計10万円×30日で300万円という感じですね。
あなたのお店はどうですか?ランチをやっていなければ、100%がディナー売上だったということになります。自店のディナー時間帯の売り上げ比率を計算してみてください。

新型コロナ発生以降は時短要請がなくなった今でも、この「ディナー時間帯の売り上げ」がほとんど取れず、なんとかランチとテイクアウトで凌いでいる、というお店も多いはずです。
このまま時短要請が出ず、ディナー時間帯も自由にお店を開けられるとして、また夜に8割以上の売り上げをたたき出すことは可能でしょうか?

正直なところ、その期待はあまりされないほうが良いでしょう。

どれだけワクチン接種率が高くなり、時短要請が解除されようとも、多くのお客様の心には「人がたくさん集まり、お酒を飲んで声が大きくなっている人がいるような飲食店に行くと、もしかしたら自分が感染してしまうかもしれない」という思いが残っているため、コロナ発生前のようにディナー時間帯にお客様が戻ってくることはあまり期待できないと思われます。

「じゃあ、どうしたら良いの?ランチの2万円とテイクアウト代だけでは潰れるしかないよ」と思われますよね?

朝から昼に売上のピークを作ろう

その答えは、「今まで夜に頼っていた売上のピークを、朝とお昼に作っていく」というものです。
朝2万円+昼4万円+夜2万円+テイクアウト2万円で、コロナ前と同じ1日10万円の売り上げを作れます。

この話を聞いた瞬間は「朝と昼で6万円も売れるわけがない」と思われますよね?でも、すでに実践しているお店が多くあります。

実は、

  • リモートワークが多くなり、お客様がお店に来られる時間帯の融通が利きやすくなった
  • マスク文化の定着により、ニンニクやスパイスなどが効いた料理を朝や昼に食べることに抵抗がなくなった

などの理由により、これまでディナー時間帯でのみ提供していたコース料理やニオイの強い料理を、お客様が日中から召し上がっていただけるようになったのです。

これは、実は飲食店にとってすごいチャンスと言えます。
コロナ前に想定していた客単価は、ディナーは5,000円程度だけど、ランチはせいぜい1,000円だね。という感じだったことでしょう。

でも、ディナー時間帯にご提供していたコース料理やセットメニューを朝やお昼に提供することで、その時間帯の客単価を4,000円程度にすることも可能なのです。朝とお昼はお酒を多く召し上がっていただけないことが多く、従来の夜の客単価よりも少しは落ちるかもしれませんが、朝と昼に従来の夜メニューをご提供することで、売上のピークを夜以外に持って来ることは可能なのです。

「朝からガッツリ食べたい」方は意外に多い

医療従事者やコールセンターのオペレーターなど、夜勤がある方たちに対して食に関するインタビューをすると、面白い答えが返ってくるそうです。

それは、「どの飲食店も朝メニューはライトなものしかないので残念。夜勤明けは無性にガッツリたべたいことが多いのに」というものです。

お客様は朝からそんなにガッツリしたメニューを提供しても食べてくれないだろう、という先入観は捨て、これからは朝メニューにボリューム満点でコテコテな脂モノをご提供するなどすると、人気が出るかもしれません。

実際にこれまではお昼から深夜までの営業時間帯だったラーメン店が、朝5時からの営業かつ朝だけ食べられるガッツリラーメンを提供し始めたところ、SNSでバズり、売上がコロナ前の2倍になったというケースもあります。

お昼にはコースメニューをご提供しよう

同様に「ランチタイムでは、食べ終わるまでに1時間ほどかかるようなコースメニューをご提供しても、誰も食べてくれないよ」という考えは捨て、思い切ってお昼のコースメニューを充実させてみましょう。

先ほどもお伝えした通り、リモートワーク(在宅勤務)の普及に伴い、サラリーマンでも日中に長時間かけてランチを食べられる方が増えてきています。また、夜の飲み会がなくなったことで浮いたお金を使って、これまでよりもかなり豪華なお昼を食べるようになったという方も多いのです。

従来の、朝やランチは短い時間で安い料理をパッと食べるお客様しかいらっしゃらない、という固定概念を捨て、「このご時世ですから、今日のランチは少し豪勢に行きませんか?」とお店側からお誘いすることで、朝と昼に売上のピークを作っていくことが可能となります。

「見せ方・魅せ方」は工夫しよう

もちろん、朝と昼に売上のピークを作っていくためには、これまでのディナーメニューに書いてあった「こちらのメニューは17時~ラストオーダーまでのみです」などという記載に×をつけて「お昼から頼めます」と書くだけでは足りません。

お客様に、「あ、じゃあせっかくだからお昼のコースメニューを頼んでみようかな」と思わせるストーリーを作り、見せる(魅せる)ことが必要なのです。

「こちらのコース料理は、これまで夜の時間帯に5,000円でお出ししていたものです。でも、コロナ禍でなかなか外食ができないお客様から、『お昼にもコースを食べたいから出してよ』というお言葉を頂戴し、特別にお昼にもご提供させていただくこととなりました。

食材から調理方法まで、すべて夜にご提供していたものと同じものを3,500円でご提供いたします。ぜひ、おいしいものを食べて、日ごろのストレスをご発散ください。もちろん、ワインリストやカクテル類もご用意しております。お酒が難しい方は+500円で、ノンアルコールドリンクを何杯でもお楽しみいただけます。」

このようなメッセージが、お店の経営者やシェフの直筆で書いてあれば、お客様の目に留まるはずです。印字してある文字は人の心に訴えかけませんが、たとえ達筆でなくても、直筆で書かれた文字には人の目を引き寄せる力があるのです。

なぜこのようなコースメニューをお昼からご提供しているのか、どのようなメリットがお客様にあるのかということを伝えるメッセージを直筆で書き、積極的にお客様に訴えていきましょう。

もちろん、せっかく新しいメニューや営業時間帯で勝負をかけるのならば、「冷やし中華はじめました」ならぬ「昼コースメニューはじめました」というように、店前を通るお客様にしっかりとそのことが伝わるようなPOPや看板を作り、訴求していきましょう。

こちらも無理にお金をかける必要はなく、手書きや手づくりの看板のほうが目に留まって良いかもしれませんね。

売上のピークを朝からお昼に作れるように、コロナ前とはやり方を変える。
飲食店が生き残る道はここにあるのではないでしょうか。

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