「働き方改革」が話題になったこともあり、飲食店経営者であれば、「最低賃金」という言葉を聞かれたことがあるでしょう。最低賃金とは「使用者が労働者に最低限支払わなければならない、賃金の下限額」のことです。
「最低賃金」は都道府県ごとに定められ、物価の高騰の影響もあって年々引き上げられています。
では、最低賃金未満の賃金でスタッフを働かせたらどうなるのでしょうか?
厚生労働省の最低賃金に関するWEBサイトでは、次のように示されています。
(https://pc.saiteichingin.info/point/page_point_what.html)
最低賃金額より低い賃金で契約した場合どうなるの?
仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同様の定めをしたものとみなされます。
仮に労働者(スタッフ)が最低賃金以下の賃金しかいらない、と言っている場合でも、それ以下の賃金で働かせることは違法なのです。仮に2009年から働いてくれているスタッフがいるとして、当初の時給700円の賃金のまま昇給をさせていないとなると、これも違法ということになってしまいます。
使用者が最低賃金を支払っていない場合にはどうなるの?
使用者が労働者に最低賃金未満の賃金しか支払ってない場合には、使用者は労働者に対してその差額を支払わなくてはなりません。
地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められています。
なお、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められています。
同じく厚生労働省のWEBサイトでは、「最低賃金額以上を支払わない場合には、50万円以下の罰則(罰金)が定められている」と罰則が示されています。
つまり、「ごめん。俺は飲食のことしか分からなくて、法律には詳しくないから、最低賃金とか難しいことは知らなかったんだよ。許してね。」では済まされない話なのです。最低賃金未満の賃金しか支払をしていなかった場合は、少なくとも過去3ヶ月分、最長2年分遡って最低賃金との差額を支払わなければなりません。
また、「最低賃金法4条」という法律に抵触したことになり、悪質な場合には司法処分の結果、50万円以下の罰金を科せられる可能性もあるので、要注意です。
高校生などは最低賃金の対象外でしょうか?いえ、そんなことは決してありません。地域別最低賃金においては、高校生であろうが、65歳以上の高齢者であろうが、全ての労働者(アルバイトやパートタイマー含む)が対象になります。確かに特定(産業別)最低賃金は18歳未満又は65歳以上の方々は適用対象外ですが、地域別最低賃金においては、全ての労働者が対象となるのです。
「高校生で経験の浅い子を雇ってあげてるんだし、若いんだから700円くらいの時給を支払っておけば十分だろう。」などの安易な考え方で時給設定をしてしまうと、大変なことになります。今すぐ、ご自分のお店のある都道府県の最低賃金額を確認し、最低賃金以上の賃金をスタッフにしっかりと支払っているかどうかを確認してみてください。
なお、現在は「売り手市場」と言われ、飲食店がどれだけ人材募集をかけても、なかなか応募者が集まらない時代です。東京都心部の飲食店などでは、時給1,200円、1,300円など、最低賃金に数百円上乗せをした時給で募集をかけても、働きたいというスタッフからの応募が集まらない、ということが多く、経営者の頭を悩ませています。
スタッフは「時給の良い仕事は探せばたくさんあるし、それ以外のプラス要素がないと、この飲食店で働きたいってことにはならないんですよね。」とかなり強気の発言をされます。
そんな売り手市場の現在においては、募集をかける飲食店としては、「給与以外のプラスアルファのメリットや情報」をスタッフに提供できるようにしましょう。
スタッフ側が知りたいこと、興味があることとしては、
などでしょう。特に最後の「給与の支払いターム(期間)」については、「今週働いた分は翌週には振り込みますよ」など、週払いできますよ、としておくと人気が出ます。
また、面接時には応募者に履歴書を持参してもらうと思いますが、こちら側も、「店のプロフィール」と「店長(経営者)のプロフィール」などを用意して提示をすると、安心感と親近感を感じてもらいやすくなるのでおすすめです。
でも、まずは自店のある都道府県の最低賃金を確認し、スタッフ全員に問題なく支払えているかの確認をしてみてください。
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