2019年1月29日更新
介護職のキャリアを考える 資格別の平均給与比較も
介護職の方の中には「ご利用者様のために、何を身に付ければいいのだろう」「今後のキャリアが見通せない」「キャリアアップに何が必要かわからない」とお悩みの方もいるかもしれません。
介護職でキャリアアップや給与アップを狙うには、実践的なスキルを身に付けられる資格を取得することも有効です。ただし、将来マネジメント職を目指すのか、介護の専門職を目指すのかによって取得すべき資格は異なります。
今回は、マネジメント職と専門職それぞれのキャリアパスや必要資格についてご紹介します。
1.マネジメント職と専門職、どちらを目指す?
介護職のキャリアパスについて、ここでは厚生労働省の資料「介護人材のキャリアパス全体像」を参考に考えます。これは介護職未経験の方がまず目指すべきステップや、介護福祉士の資格を取得した後にどのようなキャリアを選択できるかを示した一例です。介護職の最終的なキャリアは施設長などの「マネジメント職」か、認定介護福祉士などの「介護のプロフェッショナル」の2つに大きく分けられます。それぞれに必要な資格や職種の役割を把握し、自身のキャリアステップを考えてみましょう。
2.「マネジメント職」を目指す人のキャリアパスの一例
「マネジメント職」とは介護現場の人材をマネジメントする立場です。一般には介護職員から現場のリーダーを経て、事業所の管理者や副施設長、施設長などの役職を目指します。立場によって給与は異なりますが、例えば施設長なら平均月給は356,679円となっています(2017年介護労働実態調査調べ)。
仕事内容も役職によって異なりますが、マネジメント職であれば採用活動や人事考課、新しいご利用者様やそのご家族との面談・契約、業者対応などが主な仕事となるでしょう。介護の現場から一歩引いた立場から、施設の運営方針や経営に関わるようになります。ご利用者様に適切なサービスを提供することはもちろん、施設に在籍する介護職員が働きやすい環境を整えることも大切です。そのため、「ご利用者様のために理想の介護を実現したい」と考える人や、「職員が働きやすい環境を作り介護サービスの質を向上させたい」という思いがある人にはぴったりのキャリアと言えます。
なお、特養や老健の施設長・管理者には下記の資格要件があります。
施設の種類
要件
特別養護老人ホーム(特養)の施設長
のいずれかに該当していること
介護老人保健施設(老健)の管理者
・都道府県知事に認められた医師
3.「介護のプロフェッショナル」を目指す人のキャリアパスの一例
「ご高齢者様とのコミュケーションが好き」「人の上に立つよりもずっと現場で働きたい」と考える方には介護のプロフェッショナルを目指す道もあります。
介護のスキル・資格を評価する目安の一つが、「介護職員処遇改善加算」です。これは介護職員の待遇改善を目的とした加算で、介護施設や事業所の91.2%が加算を取得(届出)しています(2017年時点)。これらの事業所では処遇改善加算が給与に反映されるため、保有資格やスキルの高さがしっかりと給与で評価されます。
介護職員の平均給与額の状況
資格の有無
平均給与額(月給)
(平成29年9月)
全体
29万7,450円
保有資格あり
29万9,850円
介護福祉士
31万0,620円
実務者研修
28万9,700円
介護職員初任者研修
28万1,550円
保有資格なし
26万0,560円
介護のプロフェッショナルを目指す場合は、介護職員初任者研修から始めて実務者研修を経て、介護福祉士を目指すコースが一般的です。
まずは取得したい「介護職員初任者研修」
介護職員初任者研修は、介護に関する基礎知識・技能を身に付けるための資格です。厚生労働省が認定する公的資格であり、かつての「ホームヘルパー2級」資格に相当します。
資格の取得には130時間の講習を受け筆記試験に合格する必要がありますが、講習の一部は通信教育で受講できます。
■受講科目・時間数:9科目・130時間
■受講料:研修実施校によって異なる。5万~15万程度と幅がある。
■試験
筆記試験(1時間)あり。学習内容の確認程度で、難易度はそう高くない。
試験問題は実施校によって異なるが、不合格でも追試を受けられるところが多い。
■特徴
キャリアアップを目指すなら「介護福祉士実務者研修」
既に基礎を身に付けた介護職員向けの研修で、応用的な介護技術の修得を目的としています。かつての「ホームヘルパー1級」に相当する資格です。試験の実施義務はありませんが、研修実施校によっては学習内容を確認するために簡単な試験を設けているところもあります。介護福祉士国家試験を受けるためには、この実務者研修の修了が必須です。
■受講科目・時間数:20科目・450時間
■受講料:研修実施校や免除科目の数によって異なる
■特徴
介護のプロフェッショナル「介護福祉士」
「介護福祉士」は介護のプロフェッショナルとも呼ばれる存在で、介護福祉系では唯一の国家資格です。介護に関わる高いスキルを証明できるため、就職・転職でも有利に働く一生モノの資格とされています。初任者研修・実務者研修のような講義はなく、試験による認定を行いますが、受験資格を得るためには2つの方法があります。
■既に介護施設で働いている方の場合
3年以上(実働日数540日以上)介護の仕事に従事している方のうち、実務者研修を修了している人が対象になります。雇用形態不問のため、パートやアルバイトで働いている方も受験資格を得られます。
■福祉系の高校や厚生労働省指定の介護福祉士養成施設に通っている方の場合
高校や養成施設で所定のカリキュラムを修了し、卒業した人が対象となります。
■試験
試験は筆記試験と実技試験。筆記試験はマークシート方式で、介護やコミュニケーション、医療的ケアなどの11科目から出題。実技試験は介護に関する専門的技能を確認するもので、実務者研修を修了している場合は免除される。
■受験料:15,300円
■合格率:70.8%(2018年度実績)
■特徴
「ケアマネジャー」を目指す
ケアマネジャー(介護支援専門員)とは、介護サービスのご利用者様の自立を促すためのケアプラン(介護のサービス計画)を作成する仕事です。介護施設や居宅介護支援事業所などに所属し、ご利用者様やそのご家族と相談しながらケアプランを立てていきます。
ケアマネジャーになるためには介護支援専門員の試験を受ける必要があります。
■受験資格
介護福祉士の資格を持っている場合は、「介護福祉士の資格登録日以降」に介護福祉士としての実務経験が5年以上かつ900日以上ある方
■試験
120分 60問 マークシートによる五肢複択方式
■受験料:都道府県によって異なる
■合格率:21.5%(2017年度実績)
■特徴
「マネジメント職」や「介護のプロ」を目指したキャリア設計を
介護職のキャリアアップ先にはマネジメント職や介護福祉士、ケアマネジャーなどがありますが、資格を取得したり十分な経験を積んだりするには長い時間を要します。「3年後、5年後、10年後に自分がどのようなスキル・技術を身に付け、どのように活躍したいか」と段階的に考えることで、より具体性のあるキャリアパスの作成が可能になるでしょう。
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