2023年5月23日更新
介護医療院の開設状況と転換にまつわる課題
介護療養型医療施設の廃止が2024年3月に迫っている中、介護医療院へ転換している施設は増加してきています。好意的に受け止めている実態がデータとして見えてきた一方、課題も明らかになってきています。
今回は厚生労働省などが発表している調査資料から介護医療院の転換状況について紹介していきます。
介護医療院の転換元は介護療養病床が最も多い
厚生労働省の報告書「介護医療院の開設状況について」によると、2022年12月31日時点での介護医療院の合計数は751施設で、療養床数は44,689床です。転換元の施設は介護療養病床が最も多く、468施設となっています。
◆介護医療院の施設数と転換元の施設数
地域によって整備状況に差が見られ、福岡県が45施設、北海道は43施設、熊本県は41施設であるのに対し、滋賀県は4施設、岩手県・山形県・山梨県は3施設となっています。
介護医療院の療養病床の数が最も多いのは福岡県の2,802床で、次いで京都府2,595床、北海道2,460床、静岡県2,358床、広島県2,251床となっています。
介護医療院へ転換するメリット
メリットは収益増加と心理的安心感
日本介護医療院協会が行った調査(※)によると、調査に協力した141施設のうち、67.2%が介護医療院の開設を総合的に「よかった」と回答しています。具体的な理由は以下の通りです。
介護療養病床が廃止になるという不安からの解放、収益増加による経営の安定など、経営面での心配事が減り、心理的なメリットを得られているようです。その他、ご利用者様のメリットも多いことが分かります。
メリットについては、「介護医療院に移行するメリットとは?前編・後編」でも詳しく紹介しています。併せてご覧ください。(「移行定着支援加算」は終了しています)
介護医療院への転換にまつわる課題は?
転換前の課題
介護医療院への転換にメリットがある一方、課題を感じている施設もあります。厚生労働省の報告書(※)では転換前の課題として次のような回答が掲載されています。
◆介護療養型医療施設の回答
◆介護療養型老人保健施設の回答
転換をためらう背景にはコストがかかることや施設経営への不安に加え、人材確保への不安も課題としてあるようです。
転換後の課題
日本介護医療院協会が行った調査(※)によると、介護医療院への転換後に顕在化する課題として、下記の意見が挙げられています。
介護スタッフの不足は転換前の課題にも挙がっていましたが、転換後もやはり課題として大きな割合を占めています。2番目に多い「地域との交流・地域貢献」は新型コロナウイルス感染症の影響で、交流を控えざるを得ない状況も影響しているようです。
介護医療院への転換を考えている際に役立つ、収支シミュレーションツール
経営者の不安を解消するために、独立行政法人福祉医療機構が「介護医療院への移行に係る収支シミュレーションツール」を無償提供しています。
同ツールをダウンロードして必要情報を入力すれば、転換するために必要なコストと転換後の収益を試算できます。シミュレーション結果では収入と支出とあわせてキャッシュフローが表示され、資金計画や借入金返済に関するシミュレーションも行えるため、資金に関する不安を解消するために役立ちます。
詳しくは独立行政法人福祉医療機構が運営するサイトWAM NETのページでご確認ください。
●介護医療院への移行支援について
https://www.wam.go.jp/hp/kaigoiryoin/
参考:
厚生労働省老健局「介護医療院の開設状況について」
厚生労働省「介護医療院」
厚生労働省「医療提供を目的とした介護保険施設等のサービス提供実態及び介護医療院等への移行に関する調査研究事業(結果概要)(案)」
日本介護医療院協会「日本介護医療院協会2022年度調査結果 」
独立行政法人福祉医療機構「介護医療院への移行支援について」
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