2018年3月28日更新
排泄ケアから考えるご利用者様の生活リズムの改善
生活リズムとは?
生活リズムとは、ご利用者様一人ひとりの固有の生体リズムをもとにした日常生活の過ごし方を言います。
ご利用者様の生活リズムは、それまでの人生や現在の生活環境と心身の状態に大きく影響を受けているといわれており、ご利用者様一人ひとりの人生が異なるように、生活リズムも個々異なるものと考えられます。一人ひとりの生活リズムを見てみれば、起床の時間、食事の時間、入浴の時間、就寝する時間、それに排泄の時間が、毎日同じように繰り返されていることに気が付きます。
また生活リズムが整っていれば、食事や入浴、排泄の声がけの目安にすることができるので、ご利用者様とスタッフ様双方の負担を減らすことができます。
重要なのは夜間の安眠を確保すること
日中うとうとしていて、夜になると眠れず、何度もナースコールを鳴らしたり、離床してウロウロしたり。このようなご利用者様はいらっしゃいませんか。これは昼夜が逆転して、生活リズムが崩れている状態です。
このような方を見つけたら、夜間眠れない原因をしっかりと把握し、対応策を検討することが大切です。以下に例を挙げてみましょう。
夜間眠れない例と対処
医師と相談してお薬を使用することも検討しましょう。
夜間の排尿量をしっかり把握し、夜間交換の必要がない大きな尿とりパッドを使用したり、寝ている時の姿勢やご利用者様の体型に合わせて、おむつのあて方を工夫しモレの発生を防ぎます。
また、起床時間を把握し、目が覚める時間に合わせて、1日の最初のおむつ交換をしたり、トイレ誘導をします。
痛みや痒みに対するケアを検討する。保湿剤を使用したケアなどで痒みを低減したり、クッションなどを使用した寝具の工夫、体位交換や除圧を行います。
日中の過ごし方を工夫してみましょう。ご利用者様をレクリエーションに誘ったり、できる作業を手伝ってもらうなど、ご利用者様の参加を促すようにコミュニケーションを取ってみましょう。
ご本人からだけでなく、ご家族からもご利用者様が興味を持てることは何か、ご自宅ではどのように過ごしていたかなどをお聞きしておくことも大切です。
眠たくなるまで無理に寝かせない。ご利用者様との日頃のコミュニケーションで「声がけ」などの方法を工夫してみましょう。
【事例】生活リズムの改善がQOL(生活の質)向上につながる
夜間しっかり眠ることで、生活リズムが整い、ご利用者様のQOLが向上した例をひとつご紹介したいと思います。
きっかけは、スタッフ様からいただいたご利用者様に関する相談でした。ある男性のご利用者様は日中いつもウトウトしていることが多く、スタッフ様が声をかけても反応が少ない状態でした。また、その男性は夜間モレを発生しスタッフ様を悩ませている状況でした。状況を把握するために、ご利用者様が就寝してから、翌朝、目が覚めるまでの夜間の尿量を測定していただき、どこからのモレが多いのかも合わせて観察していただきました。その結果、就寝時の姿勢から片方の脚周りからモレることが多いとのことでしたので、尿とりパッドの大きさ、あてる位置を工夫し、ユニットのスタッフのみなさまで手技を統一していただくことにしました。
結果的に、夜間モレが心配で2時間おきに行っていたおむつチェックをやめることができ、ご利用者様に朝までしっかり寝て頂くことができるようになりました。次第にご利用者様は、ご自分からスタッフ様に話しかけるようになり、表情も明るく、食事もしっかり取っていただけるようになりました。また、普段ご自宅でしていたように、朝は必ず新聞を読むようになったと言うことです。
生活リズムを整え、ご利用者様に充実した毎日を過ごしていただくためには、ご利用者様一人ひとりの排泄に関する情報の把握やアセスメント、スタッフ様間での情報の共有・連携がとても大切になってくると思います。
執筆:花王プロフェッショナル業務改善ナビ【介護施設】編集部
メールマガジンにご登録いただくと、
コラムの更新をいち早くお知らせいたします!
営業時間 / 9:00~12:00、13:00~16:00
(土・日・祝日・年末年始・夏季休暇を除く)
ご返信できますようお客様の氏名、
電話番号、ファクシミリ番号をご記入ください
お電話の混雑状況によって、つながりにくい場合がございますので、
メールによるお問い合わせも併せてご利用ください。
ご不便とご迷惑をおかけいたしますが、ご理解賜りますようお願い申し上げます。
製品の誤飲・誤食、製品が目に入ったなど、緊急の場合は、すぐ医療機関にご相談ください。
また、製品サポート・Q&Aもご参照ください。