コラム

2024年1月30日更新

高齢者向け脳トレ!体操・計算・クイズのレクリエーション13選

著者プロフィール/尾渡 順子(おわたり・じゅんこ)
介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、認知症ケア上級専門士、介護予防指導士、介護教員資格等を取得。介護技術や認知症介護、コミュニケーションに関する研修講師も務める。
2014年、アメリカ・オレゴン州のポートランドコミュニティカレッジにて、アクティビティディレクター資格を取得する。2018年4月より医療法人中村会 老健あさひなに勤務し認知症介護レクリエーション実践研究会を立ち上げる。現場において高齢者に「人と触れ合う喜び」を伝え、介護従事者に「介護技術としてのレクリエーション援助」を広める一方で、介護情報誌やメディアにおいて執筆などを手掛けている。著作として「みんなで楽しめる高齢者の年中行事&レクリエーション」(ナツメ社)、「おはよう21増刊号 楽しい!盛り上がるレクリエーション大百科」(中央法規出版)、「介護現場で使えるコミュニケーション便利帖」(翔泳社)、「介護で使える言葉がけシーン別実例250」(つちや書店/滋慶出版)、「笑わせてなんぼのポジティブレクリエーション」(日総研)、「DVDレク担さん必見!もう悩まない 笑顔を引き出す介護レク入門」(BABジャパン)、「認知症の人もいっしょにできる高齢者レクリエーション」(講談社)、高齢者のための機能向上レクリエーション(レクリエ編集部)などがある。「寄り添いコミュケーション 星輝しおり」(YORICOM株式会社)のコンサルティングも担当している。

介護施設でのレクリエーションは、ご利用者様の身体機能やQOLの向上に欠かせません。特に、頭を使う「脳トレ系」のレクリエーションは記憶力や集中力などを鍛える目的でも人気があります。

今回は、介護レクの専門家である尾渡順子氏に、体を動かす体操形式からクイズ形式のものまで、さまざまな種類の脳トレ系レクリエーションを紹介していただきます。

<目次>

高齢者に脳トレ系レクリエーションが人気の理由

介護施設で行うイベントの中でも、脳トレ系のレクリエーションは高齢のご利用者様に人気があります。その理由は主に以下の7つが考えられます

(1)頭を使うので、脳(前頭前野)が刺激を受ける
(2)声や表情が表出でき、ストレスが発散できる
(3)知的好奇心が高まり、「もっとやりたい、もっと知りたい」という意欲が引き出される
(4)満足のいく結果には「自分もまだまだできる」と自己肯定感を感じられる
(5)満足のいかない結果には「もっと頑張ろう」という意欲が引き出される
(6)仲間と競ったり、協力したりすることでコミュニケーションが取れる
(7)昔を思い出すレクリエーションでは懐かしさから情緒が安定する

脳トレのレクリエーションは、できれば、みんなで楽しくわいわい行うことが大事です。次からは実際に介護施設で行っている「体操」「手遊び」「クイズ」などのレクリエーションを紹介します。

頭と手足を同時に動かす【体操編】

手は「第二の脳」とも言われており、手を握ったり開いたりすることで脳の血流が良くなります。右手と左手で別々の動きをしたり、運動をしながら頭を使ったりすること(同時処理)が脳の活性化につながります。

指折り・指回し体操

座ったままで、どこでもできる手の指を使った体操を紹介します。

親指、小指体操

左手の小指を立て右手の親指を立てるイラスト

① 左手の小指を立てる 右手の親指を立てる

右手の小指を立て左手の親指を立てるイラスト

② 右手の小指を立て左手の親指を立てる

③ ①と②を繰り返す

  • 「もしもしカメよ」などを歌いながら、リズミカルに行うのもおすすめ

グーパー1、2、3、体操

右手でグーパーを行うイラスト

① 右手でグーパーを10回行う

左手で親指から指を折り10まで数えるイラスト

② ①と同時に左手で親指から指を折り10まで数える

③ 手を反対(右手で数を数え、左手はグーパー)にして繰り返す

アロハと3を作ろう

右手で親指と小指を立ててアロハを作り、左手で3を作るイラスト

① 右手で親指と小指を立ててアロハを作り、左手で3を作る

左手で同様にアロハを作り、右手で3を作るイラスト

② 左手で同様にアロハを作り、右手で3を作る

③ 交互に指の形を変える

指回し体操

両手でりんごの形を作るように、親指、人差し指、中指、薬指、小指の指先をくっつけるイラスト

① 両手でりんごの形を作るように、親指、人差し指、中指、薬指、小指の指先をくっつける

人差し指、中指、薬指、小指の指先をくっつけた状態で親指をそっと離して、指先をぐるぐる回すイラスト

② 他の指が離れないように注意しながら親指をそっと離して、指先をぐるぐる回す。ほかの指も順番に行う

足踏み体操

体を動かすスペースが十分に用意できる場合は、足踏みを取り入れた体操もおすすめです。「桃太郎」や「浦島太郎」など、馴染みのある童謡を歌いながら取り組むとリズムも取りやすく、楽しんでもらえます。

グー・チョキ・パ―体操

両手を胸の前(肩幅)でグーにするイラスト

① 両手を胸の前(肩幅)でグー

両手を胸の前でクロスして手をチョキにするイラスト

② 両手をクロスしてチョキ

両手を広げて(肩幅)パーにして、手をポンと打つイラスト

③ 両手を広げて(肩幅)パーにして、手をポンと打つ

④ 足踏みをしながら繰り返す

ひじひじ肩ポン体操

右手で左肘を触るイラスト

① 右手で左肘を触る

左手で右肘を触るイラスト

② 左手で右肘を触る

両手で両肩を触って、手をポンと打つイラスト

③ 両手で両肩を触って、手をポンと打つ

④ 足踏みをしながら繰り返す

頭ももポン前ならえ体操

両手で頭を触るイラスト

① 両手で頭を触る

両手でももを触るイラスト

② 両手でももを触る

ポンと手を打ち、前ならえをするイラスト

③ ポンと手を打ち、前ならえをする

④ 足踏みをしながら繰り返す

スピード勝負で脳を鍛える【計算編】

簡単な計算問題を速く解くことで、脳の回転速度向上が期待できます。ただ計算するのではなく、計算式をひらがなやカタカナで見せることで、通常の計算問題より少しだけ難易度を上げることができます。

【例題】

ひらがなで表記された計算式のイラスト

ひらがなで表記された計算式のイラスト

ひらがなで表記された計算式のイラスト

【例題】

カタカナで表記された計算式のイラスト

カタカナで表記された計算式のイラスト

カタカナで表記された計算式のイラスト

コミュニケーションのきっかけにも【クイズ編】

クイズは身近な言葉や物を使ったり、ご利用者様の興味に合わせたりと幅広いレクリエーションを生み出せます。考えたり思い出したりしてもらうことで、記憶力や想像力を鍛えることが期待できます。

色読みクイズ

文字自体ではなく、書いてある文字の色を声に出してなるべく早く読むクイズです。問題を作る際は、色の名称と文字の色をバラバラにします。1枚の紙に一文字ずつ書いて、めくりながら答えてもらうといいでしょう。

【例題】

色読みクイズのイラスト

漢字クイズ

普段使わない漢字を考えたり、思い出したりしながら読むことも頭の体操になります。

難読文字クイズ

キッチン用品の名称や地名はひらがなやカタカナ表記に慣れているので、漢字になると「こんな漢字だったのか!」と盛り上がって楽しんでもらえます。

【キッチン用品の例題】

漢字で表記されたキッチン用品の名称

漢字で表記されたキッチン用品の名称

漢字で表記されたキッチン用品の名称

【地名の例題】

漢字で表記された地名の名称

漢字で表記された地名の名称

漢字で表記された地名の名称

外国の漢字名クイズ

ご利用者様に合わせてヒントを用意すると答えやすくなります。クイズだけでなく、外国旅行をされた方に思い出話をしていただいたり、ご利用者様同士で行きたい国の話をしたりしてコミュニケーションを取ってもらうことも「脳トレ」になります。

【例題】

外国の漢字名クイズのイラスト

外国の漢字名クイズのイラスト

外国の漢字名クイズのイラスト

スポーツクイズ

スポーツをして体を動かすことはもちろん、スポーツを観戦することも高齢者の健康に良い影響を与えるという研究結果があります。ご利用者様が興味のあるスポーツにまつわるクイズを作ると楽しみも増すでしょう。例としてご高齢者に人気の「相撲」をテーマにしたクイズを紹介します。

【相撲クイズ】

相撲をテーマにしたクイズのイラスト

相撲をテーマにしたクイズのイラスト

相撲をテーマにしたクイズのイラスト

言葉作りクイズ

文字を組み合わせて言葉(単語)を作るクイズです。文字の組み合わせを考えることで想像力が養われます。

【例題】
9つのひらがなを組み合わせて言葉を作りましょう。

9つのひらがなを組み合わせて言葉を作る言葉作りクイズのイラスト

 正解例 
てがら、まくら、さんま、てまり、らくだ、だんさ、くり、りく、てま、てん、てら、まんだら、など

上から読む3文字の言葉、左から読む3文字の言葉の真ん中に共通の文字を入れて意味のわかる言葉を作るクイズのイラスト

まとめ

今回紹介したもの以外にも、取り組みやすい脳トレはたくさんありますが、一番大切なのは楽しんでもらうことです。以下の点を意識してみましょう。

気をつけたいポイント

  • 難しすぎないものを用意する(プライドを傷つけないように)
  • 簡単すぎないものを用意する(子どもっぽいレクリエーションは受け入れられないことも)
  • 少しずつ難易度を上げ、飽きられないようバリエーションを考える
  • 種類が偏らないよう、さまざまな種類のクイズやパズルなどを出題する
  • 正解を求めるより、思い出すことを意識してもらう
レクリエーションは慣れてしまうと、脳をあまり活性化しなくなると言われています。さまざまな内容を用意して、ご利用者様に楽しく続けてもらいましょう。

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