飲食店を開業しようと損益シミュレーションをしてみると、毎月の家賃が非常に重くのしかかってきそうだということに気が付かれると思います。開業する飲食店の業態にもよりますが、売上高に対する家賃比率は10%程度を上限に設定をしておいたほうが良いと言えます。飲食店にはFLコストをはじめ諸々の経費がかかるため、仮に家賃比率が10%以上かかってしまっている場合には、赤字に転落してしまう危険性が高いからです。
飲食店のコストやFL比率についてはこちらのコラムをご覧ください。
では家賃代を抑えて家賃比率を10%以下にするためには、どうしたら良いのでしょうか?解決策の1つには、「比較的家賃の安い郊外や二等立地を狙う」ということが挙げられます。
例えば東京都の有楽町界隈では、多くの飲食店用賃貸物件の1坪あたりの賃料が35,000円以上もします。30坪の飲食店を開業する場合には毎月100万円以上の家賃がかかるため、家賃比率を10%以下にするためには、月商を1,000万円以上にする必要があります。一方同じ東京都内でも少し郊外に行けば、坪10,000円以下で借りられる物件も多く見つけられます。この場合は月商を300万円以上にすれば家賃比率が10%以下になります。郊外や二等立地でも集客できそうな業態ならば、繁華街以外に店を構えることも一考の余地があると言えます。
家賃代を低くするためのもう1つの解決策は、「雑居ビルに入居する」ことが挙げられます。1つのビルの中に飲食業以外も含めた様々なテナントが雑然と入居している雑居ビルには、近隣の家賃相場よりも安く入居できることが多くあります。飲食店はお客様商売のため、「路面店」と呼ばれる建物1階の通りに面した立地が最も集客効果があり望ましいとされていますが、家賃代を抑えるためには雑居ビルへの入居も十分検討に値するでしょう。
でも、家賃代が安く済むというだけで雑居ビルへの入居を決めてしまうと、色々と大変な問題やトラブルが起きてしまいがちなので注意が必要です。
雑居ビルへの入居に伴う問題やトラブルには、以下のようなものが考えられます。
それぞれもう少し詳細に見てみましょう。
①集客・看板の問題・・・・・・雑居ビルの多くは繁華街にあるため、「店前通行量」と言われるビルの前を通り過ぎるお客様の数は多いでしょう。あまり知られていないかも知れませんが、その1階にA型看板などを出す権利は、1階の路面店にしかありません。「空中階」と呼ばれる2階以上の店舗は、1階に看板を出せないのです。雑居ビルの場合は入居テナント用の看板設置機能がビル自体に無い、もしくはあっても非常に小さなものしか出せないことが多いため、雑居ビル空中階の入居テナントは集客に非常に苦労する場合があります。
②ニオイの問題・・・・・・ビルの1階などに豚骨ラーメン店や焼肉店などが入居している場合、その店のニオイが自店にも入り込んできてしまうことがあります。繊細な味付けや落ち着いた雰囲気をお客様に楽しんでいただこうと考えている飲食店にとっては、このニオイは脅威と言えます。もちろん、自店が強烈なニオイを発する飲食店の場合、他のテナントからクレームを受けてしまうこともあるでしょう。
③害虫の問題・・・・・・衛生管理状態の悪い飲食テナントが入居している雑居ビルの場合は、その店から逃げてくるゴキブリやネズミなどの害虫が、自店に侵入してきてしまうことが多くあります。自店の衛生管理を徹底するだけでは防げない問題です。階段の踊り場に各店の食材などが放置されているような衛生管理の悪そうな雑居ビルへの入居は、控えたほうが無難と言えます。
④ゴミ出しの問題・・・・・・③の衛生管理とも連動しますが、ゴミ出しのルールを守らない飲食店がテナントとして入居している雑居ビルはさらに要注意です。例えば、本来は産業廃棄物として業者に委託して処理をしなければいけないはずのグリストラップの汚泥を、一般廃棄物としてゴミ集積所に違法投棄してしまう店舗などがあります。回収してもらえなかったゴミがゴミ集積所に置き去りにされ、悪臭を放ったり害虫を引き寄せてしまったりすることがあります。雑居ビルへの入居を検討されている場合には、店舗の内見だけでなくゴミ集積所も必ずチェックをするようにしてください。
⑤エレベーターの問題・・・・・・中規模の雑居ビルの場合、最上階に大型の居酒屋が入居している場合も多くあります。そうすると、週末の混雑時間帯などには宴会の予約客が何十人もエレベーターを使って移動するため、途中階に到着するエレベーターは全て満員で乗れず、お客様が目的階にたどり着くために10分以上かかってしまうケースなどもあります。ビルの大きさに対してエレベーターが旧式で動きが遅かったり、乗降人数が少なかったりしないかなどは必ず事前にチェックしておきましょう。
⑥騒音の問題・・・・・・雑居ビルに飲食業態しか入居していない「飲食店専門雑居ビル」の場合にはあまり問題になりませんが、アパレルや不動産企業、学習塾や一般企業などが入居している場合には「酒を飲んでいる客が騒いでうるさい。」などのクレームが寄せられることが多くあります。内見時には、その他の入居業態や企業がどんなところなのかをしっかりと見ておくことが大切です。
これまで雑居ビルのマイナス点ばかりを書いてきましたが、入居をすると良いところもあります。それは、近隣(同じビル内)の店舗経営者やスタッフと仲良くなりやすいという点です。例えば、ランチタイム後のアイドルタイムなどにお互いの店で食事をしあったり、スナックからの出前要請に対して自店の焼鳥をデリバリーしたり、自店で食事を終えられたお客様を目の前にあるBarにご案内したりするなど、「ご近所づきあい」をしっかりとしていくことで、違う業態同士の飲食店の場合は連携や相乗効果を生むことも可能となります。
もし雑居ビルへ入居することが決まった場合には、同じフロアのみならず必ず全てのテナントにご挨拶に行くことを忘れないようにしましょう。最初にしっかりとご挨拶を済ませておけば、後々トラブルや問題が発生した時にきっとあなたの力になってくれます。もちろん、営業も兼ねて近隣の飲食店や商店、企業などには全てご挨拶をしてまわることをおすすめいたします。
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