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デリバリー商圏設定時のポイント

2022年4月21日 更新

コロナ禍が収まってもお客様の数は戻らない?

コロナ禍はまだ続いていますが、営業時間短縮要請などが解除され、「さあ、これからだ!」と気合が入っている飲食店も多いことでしょう。

店側の意気込みに水を差すようで恐縮ですが、仮にコロナ禍がほぼ収まったとしても、コロナ禍前と同水準でお客様が飲食店に来ていただけるかどうかは分かりません。根拠はありませんが、テレビの経済評論家は「お客様の数は80%程度まで戻れば御の字ではないか?」などと言っています。

コロナ禍が収まってもお客様の数が元に戻らない場合には、一体どうしたら良いのでしょうか?
その答えの1つが、デリバリーの実施だと言えるでしょう。

デリバリーやテイクアウトサービスをスタートする際の注意点はこちらをご覧いただきたいのですが、今回は「デリバリーの商圏設定」についてお話をさせていただきます。

飲食店デリバリー商圏調査の流れ

飲食店は通常、店舗を構えているので、お客様が色々な場所からいらっしゃいます。でもデリバリーを行う際は「商圏」と言って、「どのエリアまでのお客様が自店のデリバリーサービスをご利用いただける可能性があるのか」をしっかりと分析する必要があります。

この商圏分析しっかりと行わないと、せっかくデリバリーを行っていてもどのエリアにチラシを撒いたら良いのかなどが分からず、非効率な販促しかできなくなってしまうので要注意です。

でも、まだデリバリーをした経験がない場合は、商圏を決めようと言ってもなかなか難しいですよね。そこでおすすめなのが、「Uber Eatsや出前館など大手デリバリーサービスを『いったん』使い、自店の商圏を調査する」という手法です。

少し分かりづらいので、流れを分解してご説明しますと、

1.大手デリバリーサービスに登録(契約)をする
2.「あなたのお店の配達エリアはここ」ということが消費者向けのWebページから分かる

まずはここまででザクっと「自店の商圏はだいたいここまでかな?」ということが分かります。

さらに、

3.実際にデリバリーサービスを利用したお客様へお届けする商品(料理など)にチラシを入れて
4.次回からは直接店舗にデリバリーをお申込みいただくと、100円オフや1品無料などの特典をつける

ことで、

5.お客様から直接デリバリーの依頼が店舗に入り
6.直接お客様のご自宅やオフィスに商品をお届けすることで、実際のお客様の住所を知ることができる

のです。
お客様の住所が分かれば、

7.お客様住所のGoogle Mapへのピン止めや地図にシールを貼ることで、実際の商圏を把握することができます。

*ちなみに大手デリバリーサービスを利用しているだけでは、お客様の住所はドライバーにしか伝わらないため、店舗側は把握できません。

商圏内のお客様に対して販促を打つ

上記の流れで自店のデリバリー商圏が把握できたら、次はその商圏内のお客様に対して販促を打ちます。例えば国道沿いにある飲食店の場合、商圏は店舗を中心とした同心円ではなく、国道に沿って楕円形に広がることもあります。
 

これは、お客様に「自分の家はデリバリーのお届けエリアに入っているけど、あまり遠いところから運んでもらうと時間がかかり、料理が冷めやすいかもしれないな」などの心理が働き、すぐに届けてもらえるであろう国道に沿った家から注文が入ることが多いからです。
 

このように、自店の実際の商圏に合わせてチラシをポスティングしたり、看板を出していけば、新規のデリバリー客を開拓していけるのです。
 

デリバリーのリピートオーダーを狙うには経時劣化を考慮する

ただ、最近はデリバリーも競争が激化していますので、リピートオーダーをしていただけるように、

  • 商品と共に次回ご注文時にお使いいただけるクーポンを必ず入れる
  • できれば、ご注文の品にプラスして何か1品サービスを入れてお届けする

という工夫も必要です。

また、何よりもリピートオーダーを獲得するためには「美味しかった!」とお客様に感じていただかなくてはいけないため、お客様が食事を召し上がるタイミングで最も料理がおいしくなるように計算して、調理とお届けをする必要があります。

経時劣化(けいじれっか)と言いますが、仮にデリバリーに20分かかる場合は、20分後に美味しいと感じていただけるように商品を開発する必要があるのです。

例えば、ラーメンなどの場合は汁に麺が浸かった状態でデリバリーをするとどうしても伸びてしまうので、汁と麺を別盛にしてお届けできる容器を使う、二八そばで有名な店であっても、デリバリー用のそばは小麦粉の割合を少し多めにしてそばが切れるのを防ぐ、などが考えられますね。

やはり時間が経つと料理は冷めてしまうので、電子レンジが使える容器(包材)を使うことをおすすめします。レンジが使えない容器でお届けして、ぬるい状態で料理を召し上がっていただくのでは、リピートにはつながりづらいでしょう。コストは少しかかりますが、ここは必要経費だと割り切って、電子レンジ対応の容器を購入しましょう。

デリバリースタッフは自前で用意しよう

ここまで読まれた方の中には、「デリバリーはやってみたいけど、大手のデリバリーサービスを使わないとうちには配達できる人員がいないよ」と感じられる方もいるでしょう。

でも、少しお待ちください。大手デリバリーサービスを使うと、利用料が注文代金の35%程度取られます。3,000円のデリバリー注文が入っても、1,050円のデリバリーコストがかかるのです。

つまり、自店でしっかりと商圏調査を行い、販促を打ち、3,000円以上のデリバリーオーダーが1時間に1回以上入る状態を作れるのであれば、時給1,050円のデリバリースタッフを自店で雇っても、ペイする可能性が高いのです。

そもそもデリバリーの専門スタッフを雇う必要はなく、店舗スタッフのシフトを少し厚めに設定しておき、その内の1人がデリバリーが入ったら出動する、という役割分担にしておけば、慣れれば無理なく回していくことができるでしょう。配達も、大手同様自転車で十分です。

デリバリーの売り上げ構成比率を20%まで引き上げよう

いかがでしょうか?デリバリーをスタートすることは多少勇気がいるかもしれませんが、やってみればそこまで難しいことではありません。
大手デリバリー会社を使わずに浮いたコストは、一品サービスなどでお客様に還元していけば、きっと評判もあがり、リピートオーダーも獲得していけるようになるでしょう。

また、冒頭でお伝えした、コロナ禍収束後に80%しかお客様が戻ってこなくても、デリバリーでその20%分を取り戻すことができれば、以前と同水準の売り上げを確保できるどころか、さらにアップすることも狙えるかもしれません。

withコロナ、afterコロナに生き残るためにも、ぜひデリバリーにチャレンジされることをおすすめします。がんばりましょう!

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