飲食店において頻度高く発生してしまうトラブルが異物混入です。混入してしまう異物の代表的なものには髪の毛・虫・虫の卵・紙・ラップの切れ端・プラスチックなどがありますが、意外と多いのがばんそうこうやビニール手袋など、調理スタッフが身に着けていたものの一部です。
なかには、なんと人の歯や爪などが混入していたケースもあるようです。飲食店で注文した料理に人の歯が混入していて、もし口の中に入れてしまったとしたら、そのお客様の精神的ショックと怒りは相当なものになることでしょう。このような異物混入トラブルを飲食店が発生させてしまったら、インターネットなどを通じてあっという間に情報が拡散してしまう可能性があります。
飲食店において異物混入を発生させないためには、日常から予防を徹底することが必要です。
髪の毛の混入を防ぐためには、スタッフ全員に帽子やバンダナなどの着用を義務付けましょう。帽子などの着用前に髪の毛をクシでといておくことや、ヘアゴムで束ねておくことも効果的です。業務開始前や休憩上がりなどのタイミングでは、ロールクリーナーを使ってユニフォームについている髪の毛や異物を取り除いておくようにしましょう。
もちろん髪の毛だけでなく、スタッフが身に着けているものが混入してしまわないように予防することも重要です。勤務中は指輪・ピアス・イヤリングなどのアクセサリーはすべて外させたり、ばんそうこうをしている人は厨房で調理をさせないなどの対策を徹底しましょう。
調理用具の一部などが異物混入してしまわないように対策することも重要です。調理中に鍋・レードル・ブレンダー・マッシャー・スライサーなどについているネジやビスが外れて、料理に混入してしまうことがよくあります。調理に使用する器具はできるだけネジやビスを使わず、溶接加工してあるものを使うことで異物混入を予防できます。また、ラップは透明ではなく青い色のものを使うことで、混入してしまった際に気が付きやすくなります。
もちろん、ゴキブリなどの虫やそのフンなどを混入させないためにも、日常からの衛生管理は不可欠です。「毎日清掃を徹底して行おう!」というあいまいなスローガンではなく、生ごみは4時間に一度まとめてゴミ袋を2重にして捨てる、排水溝は毎日洗剤で除菌・洗浄する、毎週1回月曜日の23時から1時間かけて冷蔵庫内の徹底清掃を行うなどの具体的な行動項目を決めて実施していきましょう。
また、調理効率化のために半調理済み食材を外部から購入している店舗もあると思いますが、これも異物混入につながる場合があるので要注意です。
例えばカット野菜を外部から仕入れて生サラダに使用している店舗の場合、袋から野菜を取り出してそのままサラダボウルに盛り付けてはいませんか?一見キレイに見えるカット野菜でも、加工している工場で異物が混入してしまっている可能性があります。カット野菜の使用時には必ず一度水通しをした上で、盛り付ける前に異物混入が無いかなどをチェックしたほうが良いですね。
異物混入が発生してしまった場合、必ず店長や衛生管理責任者など、責任のある人が対応しましょう。「本来入っているべきでない異物が料理に入っていた」ことで、お客様は立腹されているはずです。アルバイトスタッフなどだけで対応をしていると、「この店は異物混入を起こしたのに店長が謝りに来ない。」とお客様の怒りが増幅してしまう可能性があるからです。
お客様が異物混入を訴えてこられた際は、対応するのがどの立場の人であっても、絶対に先方の話を途中で遮ったり内容を否定したりしないようにしましょう。また、「いや、当店ではそのような食材は扱っていないので、料理に混入する可能性は絶対にありません。」「本日当店にはこれだけの長い髪の毛のスタッフはシフトインしておりません。その髪の毛はお客様のものである可能性はないでしょうか?」などのように自分たちには責任がないというニュアンスのことを言うことは、お客様の怒りを増幅してしまうだけです。
異物混入が発生してしまった際は、まずは責任のある人がスピーディにお客様のテーブルにお詫びをしに行くこと、またお詫びをする際はお客様がおっしゃっていることに反論をせず、まずはじっと話をお聞きする、ということを心がけてください。
異物混入が大きな問題に発展してしまうのは、「髪の毛などの異物が入っていたこと」よりも、むしろその事実をお客様がスタッフに伝えた際に「対応者と対応内容に納得がいかなかった」こと、つまり「自分をないがしろにされたとお客様が感じてしまった」ことが原因だと思われます。明らかに反社会的勢力のゆすりである場合を除き、異物混入発生時には、真摯にお客様にお詫びをし続ける姿勢を持たれた方が良いでしょう。
もちろん、頭を下げてお詫びをするだけでなく、
などを心がけてください。
異物混入は、全ての飲食店で起こり得るトラブルです。アルバイトを含めた全てのスタッフに「もしお客様が異物混入を訴えて来られたら、即座に店長や責任者に伝えること。」を厳命し、お客様の怒りをさらに増幅させないような対応をしていきましょう。
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