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介護現場の用語集

2022年4月27日公開

ブリストルスケール

ぶりすとるすけーる

ブリストルスケールとは、便の硬さや形状から排便の状態を判断する際に使われる指標です。英国ブリストル大学のDr.Heatonらが1997年に提唱しました。ブリストルスケールを活用して、ご利用者様の便の状態を継続的に排泄日誌に記録することで、下剤の量を調整したり、排便リズムの改善に役立てたりすることができます。

ブリストルスケールによる分類

便の性状を判断するためには、下の図に示すブリストルスケールを指標にします。

ブリストルスケールによる分類を表す表。

ブリストルスケールでは、数字が小さいほど便が硬く、大きくなるにつれて水っぽくなります。一般的に正常とされている便のタイプは3~5です。1~2のタイプは便秘の状態で、無理に排便しようといきむと肛門が傷つく可能性があります。6~7のタイプの便は肛門への負担が少ないように見えますが、勢いよく通過するため肛門を傷つける、細菌が入って感染症を引き起こすといったリスクがあります。また、5~7のタイプの便は、IAD(失禁関連皮膚炎)などの皮膚トラブルにつながるリスクが高くなります。

便秘の種類とケアのポイント

便秘は、大腸や直腸の動きに異常があることで生じる機能性便秘と腸管の疾患が原因で起きる器質性便秘の2つに大別できます。機能性便秘はさらに弛緩性便秘、痙攣性便秘、直腸性便秘の3つに分けられ、一般的に便秘と呼ばれるものはいずれかに該当します。

  • 種類

  • 詳細

  • 機能性便秘

  • 弛緩性便秘

  • ● 大腸の蠕動運動が低下し、大腸で多くの水分が吸収されることで便が固くなり起きる便秘。運動不足や水分不足、食物繊維不足、腹筋力の低下などが原因。

  • 痙攣性便秘

  • ● 自律神経が乱れることで大腸の一部が痙攣し、蠕動運動が不安定になって起きる便秘。精神的ストレスが主な原因。

  • 直腸性便秘

  • ● 便が直腸に達していても排便反射が弱く、直腸内にたまることで起きる便秘。日常的に便意を我慢し続けることが主な原因。


  • 器質性便秘

  • ● 腸管の疾患で腸管内が狭くなり、便が通過しづらくなって起きる便秘。血便、嘔吐、激しい腹痛がある場合、すぐに病院に行く必要がある。大腸がん、腸閉塞、クローン病などが原因。


特に高齢者に便秘が多い理由としては以下の4つが挙げられます。

  • 種類

  • 詳細

  • 食事量が少ない

  • ● 食事量の減少に伴い便の量が少なくなると、大腸への刺激が減り、直腸に送られにくくなる。


  • 腸の動きが低下している

  • ● 便が腸に留まる時間が増え、硬くなって出にくくなる。


  • 便を押し出す力が低下している

  • ● 腹筋や肛門括約筋が弱まり、便が出にくくなる。


  • 腸の知覚が低下している

  • ● 直腸に便が達しても感じにくく、排便のタイミングを逃し直腸内にたまる。


ご利用者様の便秘予防のため、「排便の規則性」「適度な運動」「食生活」への配慮が大切です。便意がないとしても一定の時間にトイレに行くように促し、排便の規則性をつけましょう。また、適度な運動を習慣化することで、腸の活動が活発になる効果も期待できます。食生活においては、以下のポイントを押さえてケアすることが、便秘に効果的と言われています。

  • 1日3回規則正しい時間に食事を提供する。
  • 便の材料不足にならないよう一定の食事量を確保する。
  • 食物繊維を多く含んだ食事を提供する。
  • 便を出しやすくするため食事に適度な油分、酸味、香辛料を取り入れる。
  • 水分を十分に摂取するよう促す。

下痢の原因とケアのポイント

下痢は、1週間以内に症状が落ち着く「急性下痢」と1カ月以上続く「慢性下痢」の大きく2つに分けられます。

急性下痢のほとんどは、暴飲暴食や刺激物、アルコールの過剰摂取などが原因です。高齢者の場合、ウイルスや細菌の感染、治療薬の副作用や心理的な要因によってなることもあります。急性下痢は、以下に挙げる病気の初期症状として表れるケースもあり、命に関わる危険性があるため注意が必要です。

  • 敗血症
  • 心筋梗塞
  • 大動脈瘤の破裂
  • 胃腸からの出血 など

慢性下痢の原因としては以下が挙げられます。

  • 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)
  • 大腸がんなどの腫瘍
  • 乳糖不耐症
  • 過敏性腸症候群
  • ストレス
  • 治療薬による副作用

排便が水っぽくなっており、血が混じっている、異臭がする、嘔吐・発熱の症状がある場合はすぐに医師や看護師に相談しましょう。
また、下痢になったら、辛いものやコーヒーなどの刺激物を控え、冷たいものを摂取しすぎないよう配慮が必要です。ただし、下痢のときは脱水症状になりやすいため、経口補水液を活用し、適度な水分補給が大切です。

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