2022年7月27日公開
便失禁
べんしっきん
便失禁とは、無意識または自分の意思に反して肛門から便が漏れる症状のことです。便失禁の原因として、加齢や括約筋・肛門周囲の神経の損傷、直腸肛門の疾病、直腸がんの手術の影響などが挙げられます。また、便失禁の種類には「漏出性便失禁」「切迫性便失禁」「混合性便失禁」「機能性便失禁」があり、それぞれ症状が異なります。便失禁はご利用者様のQOL低下につながる恐れがあるため、自立排泄に向けたケアが必要です。
便失禁の原因
便失禁の原因は一様ではありませんが、下記のように、主に加齢、ケガ、疾病や手術の後遺症によるものが考えられます。また、高齢者の場合、認知症によるものも多く考えられます。
加齢
肛門周囲の括約筋、または神経の損傷
直腸肛門の病気
直腸がんの手術の影響
内科の病気
便失禁の種類
便失禁には主に4つの種類があり、種類によって症状や原因が異なります。
漏出性便失禁
漏出性便失禁とは、本人が気づかぬうちに便が漏れてしまう便失禁のことです。便が漏れるまでに切迫感がなく、漏れたことの自覚もありません。漏出性便失禁の原因には、神経の障害や直腸の感覚の低下、括約筋の衰えなどがあります。
切迫性便失禁
切迫性便失禁とは、便意を感じることはできるものの、短時間でも排便を我慢できずに便が漏れてしまう便失禁のことです。切迫性便失禁の原因には、括約筋の衰えや肛門周辺の神経の障害などがあります。
混合性便失禁
混合性便失禁とは、漏出性と切迫性の両方の症状があるタイプの便失禁です。漏出性便失禁と切迫性便失禁の原因が混合することで起こります。
機能性便失禁
機能性便失禁とは、トイレで排便する意志がない、トイレの場所が分からない、衣類の着脱の仕方が分からないなどの原因で便が漏れてしまう便失禁です。認知症の進行によって判断力が低下して起こります。失禁しても会陰部の湿潤や臭気に無関心なケースが多く見られます。
便失禁の対処法
便失禁の対処法は原因によって異なりますが、ここでは環境面で対処できることを3つご紹介します。
トイレ環境の整備
便意を感じたときにすぐ排便できるよう、トイレ環境を整備します。トイレ内や通路の段差や障害物をなくし、手すりをつけるなど、動作がしやすい環境をつくりましょう。トイレまでの歩行が難しいご利用者様に対しては、部屋内にポータブルトイレを設置する方法もあります。
介助方法の工夫
認知機能の低下によって便意をうまく伝えられないご利用者様に対しては、適切なタイミングでトイレに誘導することが重要です。「排泄記録表」を活用し、おおまかな排便パターンを把握してトイレ誘導のタイミングをつかみましょう。
おむつの着用
漏出性便失禁や混合性便失禁のように、気づかぬうちに便が漏れてしまうご利用者様や、自力での排便が難しいご利用者様には、おむつを着用いただくケースもあります。ただし、便はアルカリ性であり、下痢便は消化酵素を含んでいるため、皮膚障害を引き起こしやすくなります。IAD(失禁関連皮膚炎)のリスクを踏まえて、スキンケアを行うことが重要です。
なお、IADについては「IAD(失禁関連皮膚炎)とは?ベストプラクティスを活用しよう!」をご覧ください。
「介護施設向け排泄記録表(1週間)」無料ダウンロード
排泄状況を記録することで、ご利用者様の排泄パターンの把握に役立ちます。
トイレ誘導やおむつ交換のタイミングの判断、おむつ選びにお役立てください。
営業時間 / 9:00~12:00、13:00~16:00
(土・日・祝日・年末年始・夏季休暇を除く)
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